『星の巡礼 比良・白滝山を巡る渓谷トレッキング登山日誌』①
梅雨空のもと、豊かな水量が勢いよく落ちる滝
緑の陰と巨岩をぬう比良の谷々
湿りの中に苔むす渓谷の飛び石
一本のロープに身を託す沢渡り
沢登りに色なすヘルメットの輝き
を求めて比良の奥座敷白滝山を取り巻く渓谷を歩いてきた。
■山行記録 :高齢者向き<比良・白滝山を巡る渓谷トレッキング>
■実施日 : 2016年7月10日(日曜日) 曇りのち晴れ 26℃
■登山届 : 滋賀県警に「ネット登山届」を提出
滋賀県警 |登山届、山岳遭難、登山に関する諸注意のページ
■コース :
306m 414m 660m 1022m 962m 955m
6:00 1:08H 7:08 1:07H 8:15 1:45H 10:00/10:15 0:15H 10:30 往復0:40H
815m 590m 470m 414m 306m
11:35 1:10H 12:45 1:20H 14:05 0:15H 14:20H 0:55H 15:15
■所要時間:8時間57分 (休憩・昼食・記録・観察・写真・探索含む)
■歩行距離:15092歩X45㎝=約6.8KM(万歩計)~7.4KM(地図実測)
■使用地図: 山と高原地図46「比良山系」 1:30000(2001年度版)
ここ比良の山々は前日遅くまで大雨が降っていた。
前夜、わが家のある志賀の里から雨煙る蓬莱山を見上げたり、天気予報に釘付けになっていた。
今年最初の大型台風1号が台湾海峡にあって、梅雨前線を押し上げ九州方面に大雨を降らせていた。
当日の比良山系の予報では、雨の確立10%で曇りという。
予定日を2日延ばしているぶん、はやる気持ちを抑えるのが大変であった。
今回のコースの特徴は、比良山系でも多くの谷が集まり、その渓谷美が織りなす沢登りのメッカである。
わたしたちの目的は沢登りではなく、滝や池、大岩や渓流の渓谷美を楽しむトレッキングである。
トレイルには白滝山に発するワサビ谷、ニシヤ谷や、
蓬莱・打見山に発し、シャカ谷、オオカメ谷、ボウダラ谷、オオカメ谷、ケヤキ谷を集めて白滝谷に
流れ込んでいる大小の沢谷がある。
この日も、たくさんのグループが沢登りを楽しんでいた。
ただ気になったのは、やはり異常に増水した水量とその水勢である。
登山者には、渡川地点でロープが張られているが、岩跳びや岩滑りには細心の注意を要した。
水流も速く、跳び岩も水没しており、一瞬躊躇する場面もあった。
仲間が沢登りで負傷し、救助を要請した救急隊を迎えにいくという若者にであった。
無事を祈りながらわたしたちは下山したが、坊村明王院前にはレスキュー隊や救急車、消防ボランティアのワゴン車などが集結していて胸をなでおろした。
翌日、負傷者は無事救援されたとの公告が掲載され、その救助を喜んだものだ。
しかし、可能な限りその救助に頼らない自己又はグループ責任での沢登り装備、肉体改良、技術、状況判断能力などの向上が不可欠であろう。
このことはわれわれ登山者にも同じことが求められている。
こころして「備えよ常に」向きあいたい。
坊村明王院より林道約350m先にあるゲート 落石・崩落の林道
林道は落石、崩落により一般車の通行は禁止されている。
林道入り口手前の空き地に駐車し、鎖でふさがれている林道をジグザグに標高差約120m先にある「伊東新道出合」(白滝山登山口)の分岐にたどり着く。
これより水量の少ないワサビ谷を遡行し、ワサビ大滝を渡り、ワサビ天井滝にでる。
伊東新道出合(白滝山登山口) 白滝ルート・ワサビ谷をのぼる
ワサビ天井滝(直登禁止・滝を右へ巻くこと) 白滝山1022mの山頂
《道迷い注意ーワサビ天井滝》
ワサビ天井滝に目を奪われていると、天井滝に沿って直登することになるので注意が必要である。
地図上の実際の白滝山への登山道は、ここ天井滝をわたり、巻道をすすむ。
2003年11月12日の山行では白滝山直登コースを選んで、地図に『道迷い』と記入している。
今回の直登コースには、進入禁止のロープが張られ、注意標識「白滝山への方向ではありません」とあった。
もちろん13年前、直登でも白滝山には行けたので、途中で気づき慌てないようにだけはしたい。
白滝山1022mの山頂は、雑木林に囲まれた広々とした平地で、ワサビ大滝より急なジグザグ登山道を上って
きただけに「ここが?」と一瞬疑ったほど山頂らしくない広場であった。
眺望は一切きかない。 ふたり向き合って早めの昼食をとった。
山頂を直角に右に曲がって「オトワ池」へ下る。途中、左手(北側)に御殿山が顔をだしている。
15分ほどで、「レスキューポイント伊東新道#3」でもある「オトワ池」に着く。
オトワ池へ下る途中、御殿山が見えた オトワ池分岐(至長池・夫婦滝方面)
「オトワ池」は長池周遊コースとニシヤ谷を下って夫婦滝にいたるコースの分岐でもある。
この辺りはこの「オトワ池」、「カシラコ池」、「スギヤ池」や「長池」で構成された散策庭園という心なごむ風景を楽しむことができる。
枯葉の絨毯を踏みしめ、池に顔だす水草に癒され、森林浴を楽しみながらそぞろ歩きをする。
びわ湖バレーのロープウエーで打見山にのぼり、汁谷を夫婦滝まで下り、ニシヤ谷を遡行して「オトワ池」に
足を向ける登山者も結構おられるようである。
跳ねまわっていた。
オトワ池よりニシヤ谷を下る 夫婦滝口分岐
「オトワ池」分岐よりニシヤ谷を下って夫婦滝へ向かうのであるが、その下り口が見分けにくい。
ニシヤ谷の源流に従って下ることに注意したい。(間違っても白滝山に登っていかないこと)
あっという間に夫婦滝口に着いた。
比良・打見山/蓬莱山の水系にその美しい姿を見せる夫婦滝(めおとたき)
夫婦滝の滝壺へは夫婦滝口より左へ下り口がある。
夫婦滝は永遠の夫婦愛を教えているようだ。
それぞれに独立し、その存在を認め合い、敬いあい、最後の滝壺で合一合体する。
そこには一切の感情はなく、あるがままの姿で寄り添っていた。
比良・白滝山を巡る渓谷トレッキング登山日誌』②につづく