shiganosato-gotoの日記

星の巡礼者としてここ地球星での出会いを紹介しています。

2016『星の巡礼:大峰山系 弥山遭難から学ぶ』  Ⅱ

星の巡礼大峰山系 弥山遭難から学ぶ』 ②

 
5. 《健康な体調が楽しい登山を約束する》 
 
 骨折、捻挫、打撲、傷、摩擦痛(豆・靴擦れ)、中毒、下痢、噛刺(虫・蛭・蛇・蜂)などに対する救急用品セットの携行や睡眠・体力強化も安全登山に不可欠である。
 
救急用品セットをのぞいてみると、征露丸(胃腸用・傷消毒用・解毒用)・ストッパー(下痢止)・バンダナ(三角布/雑多機能)・抗生物質(テラコートリル軟膏)・副腎皮質ホルモン(フルコートF軟膏)・イソジン/塩(消毒用)・防虫スプレー(ネット)・ヒル(塩・スプレー・木酢)・蜂(服装・色彩・撤退法)・熊猪猿除け鈴・副木(ストック利用)・疲労回復栄養剤(Q&Pコーワ)・気付け飲料(疲労回復ドリンク+ウイスキー=1:1 250ml)などが入っている。
 
登山に必要な筋肉・関節・スジの強化(捻挫・握力・バランス・階段登降・土手斜歩き)、
十分な睡眠、平衡感覚の強化(直線縁石・岩場・ガレ場歩行訓練)なども常日頃心がけておくべきである。
 
 
6.《サバイバル・キットの携行は安心のもとである》
 
 登山の目的により携行するサバイバルキットの内容は異なるが、すべての携行品を書きだしておく。個人によってまた必要度に応じてその内容が異なることはもちろんである。必要に応じてサバイバル・キットに加えることにしている。
 
 □防寒・・・・雨具ツエルト/紐・等身大ゴミ袋・目出しニット帽・超軽量羽毛上下・手袋・
       24時間用カイロ1枚・固形燃料・防寒アルミシートほか
 
□積雪・・・・尻滑りプラスチック板・アイゼン・カンジキ・スプレーマーカー赤・沢歩き用
       地下足袋ほか
 
□緊急伝達機器・・携帯電話&予備バッテリー・笛・火おこし用新聞紙・ライター・防水マッチ・
         反射鏡・渓流通信用フロートセット(チャック付ナイロン袋)・
        紙と筆記具(伝達・記録用・残置用)
 
□個人情報・タッグほか・・(病名・薬名・血液型・年齢・性別・連絡先)・現金・運転免許証
         又は健康保険証
 
□道迷い・現在地確認・・・地図・磁石・高度計・長短針付腕時計・スタート地点への後退用
       GPS・撤退用赤テープ(1巻)
 
□救急用品キット・・バンダナ(三角布)・副木(ストック・現地調達)・
         テラコートリル軟膏(抗生物質)・フルコートF軟膏(皮膚炎)・オロナイン(傷)・
         正露丸(胃腸)・ストッパ(下痢)・塩・イソジン(消毒)・栄養剤(Q&P・
         総合ビタミン剤)・バンドエイド・カッターナイフ・ 針(マメ用)ほか
 
□登山用品・・・ヘルメット(転倒・落石)・ストック(登山補助・副木・獣防御・支柱兼用)・
       小型ナイフ・浄水器・膝サポーター・銅線1m・ナイロン紐3mx2本・
       布ガムテープ30㎝・超小型ラジオ・ヘッドランプ・予備電池・サバイバルノー
       予備水袋・ナイロン買物袋(3枚)・水溶性ポケットティッシュ・携帯裁縫用具
       野生動物(熊・猪・猿)除け鈴・
       タオル(救急用および雪渓・氷上・渓流滑り止め)・洗面用具
       カメラ(GPS-現在地・高度・方位・時間用&予備バッテリー)
       腕時計(日付時間・気圧・高度・方位・気温)ほか
 
 
 
7.《遭難時、悪天候下はもちろん怪我や捻挫のもとでは(生還のための)登山を続けるな!
        原則、その場に止まり誰かの発見を待つこと》
 
 
今回の大峰山系・弥山遭難を推測するに、非常食・水ともに尽き、湧水を見つけて、その場に止まり誰かの発見を待つことにしたのであろう。しかし滑落したそこは谷筋でもなく、渓流釣り人との接触も望みうすであることを後に知ることとなったと思う。日がたつに従い、道迷い・滑落時に負った肩や肋骨の骨折や打撲の改善もあり、いまこそ尾根筋へ戻る機会ととらえ、最後の気力をふりしぼって弥山の栃尾辻避難小屋(無人)あたりの登山道に到達して救助を待ったとおもわれる。そして登山者に発見され、生還を果たした。それも生存の限界を超えた13日ぶりの生還である。冷静沈着な思考と行動を賞賛したい。遭難の真相は後日明らかになることであろう。
 
遭難者は、道迷いによる滑落現場ではだれかとの遭遇または発見されえないということに気付いたときに行動を起こしたものと思われる。。それも命にもかかる危機一髪のタイミングであったであろう。かれは「遭難現場にとどまり、誰かの発見を待て」というセオリーを思い直して危機を脱した事例となるかもしれない。遭難者の的確な状況判断を讃えたい。生還はセオリー通りには行かない場合もあるということを学ぶ事例になるであろう。
 
 近年の遭難事故においては、救助要請に対して捜索隊編成とともに、まずヘリコプターによる空中からの捜索が行われるようである。遭難者は空中からの捜査に対する準備・応答ががとても大切であることがわかる。
 
 
 
遭難・滑落により失われたもの(リュックや携行品・食糧ほか)を調べる
 
体の損傷、怪我の有無を調べ、あるもので出来る限りの救急治療にあたる
 
道迷い・滑落の現場を特定または推定する(あれば地図・GPSを駆使)
 
携帯があれば、通信の有無を調べ、通信を試みる
 
通信不能または紛失の場合、また体が動くかぎり空からの捜索ヘリに見つけて
  もらう行動をおこす。
      □近くの空が開けた場所をさがし移動する
手元にあれば、発見されやすい帽子・上着に着替え、反射鏡・狼煙の準備をする
 
渓流・小川が近くにある場合は、フロート物にSOS・氏名・日時・予想遭難地点を
  書きこんで密封し流す
 
近くに水場・湧水をさがし、雨をしのげる場所を確保する(大木の下、洞窟、葉の
  茂った枝で屋根作り)
      
    □手元にあればツエルトを張る (彼は湧水だけで2週間生き延びたという)

動かずに捜索隊を待つとともに、渓流釣り人や山林関係者の偶然の発見や捜索隊を
  待つことになる
 
      捜索隊を待ちつつ、時間の長さや命の限界に怯え、自分との戦いが始まるのであろう。
      冷静沈着になれるだろうか、ならないと生還は限られるようだ。
 
 なんども繰り返し強調するが、生還の事例・法則から見ると「動き回らない」ことが生還への
 近道であることを教えていることは確かである。
今回の生還の事例は、遭難者自身の的確な判断とタイミングが重なった稀有の生還であったとしか
おもえない。
驚きであり、単独行での遭難の恐ろしさと遭難からの生還の難しさを教えられた貴重な教訓ともなった。
 
わたしの単独行でも、過去に何度も遭難の危機に出会っている。
いまこうして安全な場所にいるのが不思議な気がする。
単独行には、登山回数だけのそれぞれの無事下山・生還へのストーリがあるものである。
そして遭難への恐怖を体で知ることになる。
この恐怖の経験こそ、安全登山の精神につながっている。
準備不足・道迷い・滑落が遭難の第一歩である。
 
わたしもまた道迷いの常習者といってよい。肝に銘じたい。
 獣道への迷い込みも常である。
 正規ルートと思い込んで数キロも歩き続けることがある。
リボンサインの消滅、繁茂による視界不良、崖淵に出会って気付いたりもする。
また引き返して、この道しかない場合もあり、数回往復のあと納得で進むこともある。
 
「標識やリボンサインになかなか出会わない、登山道を外れたらしい、獣道らしい」と早く
 気付くことが道迷いや遭難を防止する第一歩である。
 
まず冷静になること。
 
地図をみながら地形を観察(ピーク・山頂・山姿・尾根筋・谷)し、方位の確認、目的地の
 方角・太陽の位置を総合的に判断し、現在地の確認をおこない分岐やサインのあるところまで撤退することにしている。
 
 また、熊笹・ブッシュでの迷い込みもおおい。
 熊笹の先に絶壁が隠れていて、踏み外してハイ松の根っ子をつかんでぶら下がり、千尋
 の谷への転落・滑落をふせいだ体験もある。
 
ほかに、時として現在地を見失うこともある。
 ほとんどが思い込みであり、絶対的自信からきているのだから始末が悪い。
 尾根の東西を間違えて反対側に下山したこともある。
 
 お笑いものである。謙虚に反省したい。
 遭難の一歩手前で助かっていることが多かったような気がする。
単独行を卒業する時に来ているようだ。
今回の遭難による教訓を生かしたい。
 
いままでの冒険に満ちた、楽しい単独行登山に感謝したい。
 これからはペアーを組んでの山行となる。
 これまでの単独行に、感謝合掌である。