shiganosato-gotoの日記

星の巡礼者としてここ地球星での出会いを紹介しています。

2017『星の巡礼・ 比叡比良全山大縦走 』 3

 

2017『星の巡礼・ 比叡比良全山大縦走 』 3 

 『星の巡礼・比叡比良全山大縦走ルート案内』 ③
          ― 34日老人てくてくトレッキング―

                   
<高齢に対する重量負担と軽減>

後期高齢者入りを果たし、体力の低下にともなう携行品総重量の限界を感じ始めた。
今回の比叡比良山系大縦走3泊4日ともなれば、全期間の食糧及び飲料水携行も増えざるを
得ない。
なぜなら、予定していたびわ湖バレーでの食糧調達が長期営業中止(2017920日現在、
ゴンドラ鋼索張替工事)で不可能になったことによる。
(注・ 2017年10月13日現在、びわ湖バレーのロープウエーは工事終了により営業再開とのこと)
 
また途中峠の麓にある還来神社での食糧デポも考慮したが、野生動物たち(猿・鹿・猪)による被害を考え断念した。
この機会に、年齢からくる体力の限界に挑戦することにして、全食料と水をリュックに詰めて縦走することにした。
もちろん全食料2200gや、満杯時の水2850gは消費と共に減量していくことになるが・・・
 
さすが水だけは①叡山・山王院堂横のご接待流水 ②還来神社(もどろぎじんじゃ)での水道水 ③びわ湖バレーでの天名水(打見山頂湧水)④中峠源流のヨキトウゲ谷(沢水)の四ケ所で給水した。
 
3年前(70代前半)のルート上での食糧や水をデポ(貯蔵)した「高島ロングトレイル縦走6泊7日」や、ルート上で食糧・水を購入できた「六甲全山大縦走2泊3日」時の総重量6~7kgに比較して、「比叡比良山系大縦横3泊4日」の総重量は約10kgとなった。
若い頃なら軽々とリュックを背負っただろうが、実に重く、体力の消耗も激しかった。
夜、体重とリュックの全重量がかかる脚の筋肉が痙攣をおこした。
切り捨ててきたテント、寝袋、コッフェル&バーナー、ダウン上下が、深夜の寒さをより一層みじめにした。
 
しかし、寒さを慰めてくれた絶品がある。
それは特製のサバイバル気付け薬「ウイスキー強壮剤」(ウイスキー:強壮剤=5:5)の自称ブランデーである。
これをスリーピングカバーの中から星空を眺め、ジャズピアノを聴きながら舐めるのだ。
ツエルト(ビバーグー野宿用簡易ザック)による至福の時間である。
 

< 流れ星 >
 詩 後藤實久
 
漆黒の闇に浮かび上がる
木々のシルエット踊りて

獣の遠吠え  虫たちの大合唱に
アメージング・グレースを唱和す

流れ星の優雅な一瞬の軌跡に
歓びのさざなみ心に響きしや

ああわれいま比良におりて
神のみもとにあるを喜ぶ



経験した者にとって、ツエルトによる野宿は人生最高の一瞬であること間違いない。
 
今夜にでも、家の庭やデッキで寝袋かブランケットにもぐり込んで夜空の星を眺めてみてほしい。
豊かな人生にひたれることをお約束する。
 
水の重量制限により十分な水携行ができなかった。
食糧もまた軽量化のため、チキンラーメンとシリアルと菓子パン(ドーナツ)に抑えた。
唯一つ味に変化をもたらせてくれたのが、マヨネーズである。
チキンラーメンに水を注ぎ(15分だぞ!)、ふやけたラーメンにマヨネーズを混ぜる、焼きそばのような絶品にかわる
 
残念だが、比良山頂の長期天気予報を読み違えていた。
9月中旬は夏山の最終章、まだ寒さは大丈夫だと判断していた。またこの時期を選んだのは暑さからくる水分補給を抑えることにあった。標高1000m級の比良山系、意外と体が震えるほどの深夜の寒さであったことに驚いている。
重ね着しても寒さ対策にはならなかったことに唯一つ誤算があった。
 
すなおに山の忠告に耳を傾け、反省したい。
 
もちろん寝袋持参であれば防げることではあったが、軽量が優先されたためであることはいうまでもない。
重量はオーバーするが、この時期(9月中旬)比良山系では、最低でもダウン上下を持参すべきであったと思う。
山には「もし」はない。比良山系が多くの命を奪っていることを考えると、遭難に直結することである。
寒さ対策、今後の課題として真摯に取り組みたい。
 
 
<比叡比良山系大縦走におけるツエルト設営環境>

ツエルト設営の条件について触れておこう。
テントではなく、ツエルトを携行するということは露営ないしは野宿することである。
テントでは、設営環境や条件が必要であるが、ツエルトはその環境や条件を必要としない利便性がある。

ツエルトは、いかなる条件のもとでも設営(といえるかどうか)を可能ならしめることである。
視界をさえぎり、体を横たえ、夜露をふせぎ、雨の侵入を防げればよいよいう思想である。
 
といっても快適性をもとめて、夕方5時前にはツエルト設営適地を物色しながらのトレッキングとなる。
流水を考えての適度な傾斜、体を横たえられる一畳ほどのスペース、ツエルトを支える木枝、風をさえぎる灌木や尾根直下、夜露や雨をさえぎる樹木葉のした、近くに動物から食糧を守る樹木があるか、快適ベットづくりの枯葉があるかなど、最低のツエルト設営の条件がある。

しかしそれ以上に大切なのは、寝ながら星空や遠くに輝く家々の明かりが見える立地、まるでその夜かぎりの物件探しである。
 
そしてツエルトによる、その場所での露営、野宿の決断をしたあとは、今夜お世話になる山の神への祈りと許し、森の住民たちとの対話の中に設営をいそぐことになる。

 
◎比叡比良山系大縦走第一日目の露営(野宿)は、「小出石越え」と「魚の子山552m」の
  中間地点にておこなう。

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第一日目のツエルト設営を終えて<小出石越え付近で>
 
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翌朝5時、ツエルト撤収を始める

 
◎比叡比良山系大縦走第二日目の露営(野宿)は、「小女郎峠」と「蓬莱山1174m」の中間地点で
  おこなう

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一晩中吹き荒れた暴風雨により、ツエルト使用不能となる

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 朝、暴風雨が止み希望の光を迎えた

 
◎比叡比良山系大縦走第三日目の露営(野宿)は、武奈ヶ岳1214m直下「細川越え」でおこなう。

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 蓬莱山直下での暴風雨でツエルトは破れ散り、三日目は防虫ネットをつけての野宿となった

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細川越えの野宿に体を横たえる


<ツエルトでの生活>


ツエルト生活の楽しみを縦走の都度書いているが、今回もまたあらたな楽しさを味わって帰ってきた。


ツエルトによる露営・野宿に入る前に、夕食の準備である。今回の主食はチキンラーメンと五目飯、ジップロックなど水漏れのしない袋に移すかまたはチキンラーメンの袋に直接水を注ぎ、やく15分で出来上がる、いやふやかすのだ。
そしてマヨネーズを混ぜる。絶品である。


比叡比良山系単独大縦走三泊四日のトレッキングである。
軽量携行(10kg以内)に徹している限り、この夕食は妥当といわざるをえない。
ここでは、いかに夕食を流し込み、エネルギーを蓄え、カロリーを補充しておくことかが大切である。


でもたしかに不味い、でも最高の贅沢でもある。


なぜかといえば、この夕食でさえペットボトルの半分の水を使用(350L)するからである。
比叡比良山系では水は命である。


重ね着し、寝袋カバーにもぐり込む。寝袋も重量制限にあい携行断念、ゴアテックスの寝袋カバーのみを持参した。


わずかな宇宙空間に、それも寝床の周囲に手をのばせば何でも手に入るのだから、まるで宇宙ステーションである。


左側には、小水袋、ヘッドランプ、ペットボトル(水)、ホイッスル、空腹用スナック、ストック、登山靴、足元にリュックサック
右側にラジオ、IPOT、記録用ノート(日記帳)、緊急用防寒・防水シートを配置する。


ツエルトとして、今回もエマージェンシーシェルター(165g 285円)を使用した。
素材であるアルミ蒸着ポリエステルが素晴らしい。
先にも述べたが中から外の様子がすべて見えることである。


星空も、落ち来る雨粒も、遠くでゆれる街の火も、風になびく梢の動きも、鹿たちの興味を示す顔もすべて観察し、楽しむことができるのだ。


しかも、外からはなかをうかがい知ることは出来ない優れものである。
暗闇で、息を凝らして自分の隠れ家に身を潜めていると、少年時代の自分をみているようでこころ躍らす
のである。


幾つになっても闇に潜む自分に興奮するものである。
宇宙と一体になる瞬間でもあり、男としての至福の時間でもある。


 
<ともに縦走したバックパック


わたしの体型は、長年の山歩き、世界を走りまわったサイクリング、カヤックでの川下りや海峡横断にあわせた背の丸みになっている。
どうしてもリュックが背中の後ろに倒れてしまい、正常な位置に戻すにはさらに前かがみにならざるを得ない。
山歩きには不向きな背中になってきている。


日常、背中をまっすぐに伸ばすように努力はしているが、この年になると矯正は無理なようである。
それならば、リュックを背中に合わせればいい、ということで60代後半から米国製パイプフレームを使っている。


改良点は、ウエストバンド(ハーネスト)を腰でのフィット性を高め、背中と肩への重量感を分散させたこと。
またチェストバンド(ハーネスト)を改良しリュックを背中にフィットさせる工夫をほどこしたうえ、肩バンド
(ショルダーハーネスト)をもちやすくした。


また腰のフィット性を高めるため小型スリーピングマットを背中のあたるリュック部分にとり付けた。
改良したリュックの重量はリュックカバー(150g)をふくめて1650gとなった。

イメージ 7

背負っ子スタイル・パイプフレーム・バックパック

 
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改良し携行したバックパック


                   <比叡比良山系より見る、びわ湖二景>


イメージ 9                    比叡山系よりびわ湖大橋をわたす、堅田の街を望む


イメージ 10                        比良山系よりびわ湖に浮かぶ沖島を望む







     『星の巡礼・比叡比良全山大縦走ルート案内』 ④
                         ― 34日老人てくてくトレッキング―


           <比叡比良山系大縦走に持参した携行品と重量>

                            につづく