shiganosato-gotoの日記

星の巡礼者としてここ地球星での出会いを紹介しています。

2019『星の巡礼 びわ湖冬景色・老人自転車ひとり旅』⑤

びわ湖冬景色―近江の歴史をたどる老人自転車ひとり旅』 ⑤
                                                                

■ 2日目びわ湖一周のルート案内  Ⅰ  (2019217日)
     
  <▲膳所城址公園 ⇒ 湖岸緑地 岡山園地 35km>

水鳥の朝餉(朝食)は早い。
フナ、コイ、モロコ、オイカワ、アユ、ナマズ、ドジョウ、シジミ、ハゼ、ゴリなどびわ湖固有の小魚や貝、藻が餌である。
集まったカモ、オオバン、ハジロらが水に潜ったり、湖面に浮かぶ昆虫をついばんでいる。
みな潜水が達者である。

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びわ湖は水鳥のパラダイスである。  水鳥の朝餉(朝食)は早い、水鳥観察も楽しい
 
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一宿に感謝する
 
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朝日を迎える
 
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出発の準備は忙しい  <びわ湖一周耐寒サイクルの全携行品>


びわ湖一周耐寒サイクルの全携行品リスト>

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びわ湖一周徒歩旅行 2日目 工程表

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<露営地・膳所城址をスタートする>

膳所城址をあとに、南へ湖岸沿いに散歩道・粟津浜が続く。
北に近江大橋、南に国道1号線が走る瀬田川大橋を眺めながらペダルを踏む。
 
近江八景―粟津晴嵐の地>

ここ粟津の浜は、広重の浮世絵で知られている近江八景の一つ<粟津の晴嵐>の地である。
広重の浮世絵には、多くの帆船が大津港に入港するさまが描かれている。その背景の高い山は、
多分比叡山であろうか。また前面には松並木の続く粟津の浜が描かれている。
 

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現在の粟津浜に建つ<粟津晴嵐>の石碑

 
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 ⑥広重 ≪ 近江八景―粟津晴嵐 ≫ (あわづのせいらん)  粟津原/大津市

     <雲はらふ 嵐につれて 百船も 千船も浪の 粟津に寄する―広重>


 
石山寺

粟津の浜を南へ向かい、瀬田唐橋を渡る前に、南に自転車を走らせ近江八景の<石山秋月>で有名な石山寺に立ち寄るのもいい。唐橋から往復約2kmである。
浮世絵<石山秋月>を見るに、唐の大橋が架かり、遠くに比叡山が満月のもと霞んでいる。

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⑥ 広重筆 <近江八景石山秋月>いしやまのしゅうげつ)=石山寺大津市


<石山や 鳰(にお)の海(=琵琶湖)てる 月かげは 明石も須磨も ほかならぬ哉(かな)> 広重
 


 
<瀬田唐橋>    大津市瀬田町と唐橋町の瀬田川に架かる橋)
 
戦国時代、東海道中山道から京都に行くには、びわ湖を船で直接わたるか、びわ湖の南北を回ることになる。
橋は、ただ一つ瀬田川にかかる<瀬田唐橋>だけであった。
唐の大橋は、軍事や物流の面で最重要拠点であるとともに、都である京都を守る関所的な役目をも果たしていた。
古来より「瀬田の唐橋を制する者は、天下を制する」といわれるほどである。
なかでも信長は天下取りのため、いち早く瀬田唐橋の地政学的重要性を認識し、びわ南西の
地の支配に気を配っている。

また信長は、坂本城・大津城・膳所城を配して京や叡山への睨みや、びわ湖の水運、街道往来の警備や取締り、兵糧の備蓄、瀬田唐橋の防備に力を尽くした。


東国から京都へ上るには矢橋(やばせ・現イオン草津付近)の港から大津港への航路が最も早いとされていたが、比叡山からの吹きおろしの強風により操船が難しかったようである。瀬田まで下れば風の影響をまともに受けずに瀬田唐橋を渡ることができたのである。
 
芭蕉は次なる二句を詠んでいる。

< 五月雨に 隠れぬものや 瀬田の橋 >

< 橋桁の 忍は月の 名残り哉 >

ここ唐橋は、京都にある宇治橋・山崎橋とともに日本三大橋や日本三名橋とも言われてきた。
江戸時代の「瀬田の唐橋」は、広重の浮世絵「近江八景・瀬田の夕照」に、往時の瀬田の唐橋の様子が描かれている。
遠くに見える高い山は、近江富士と言われる三上山であり、山の前に浮かぶ二艘の帆船のあたりが矢橋(やばせ)の港であったと思われる。


また、浮世絵の左の二隻の帆船のあいだに突き出たところが膳所崎であり、昨晩露営地としてお世話になった膳所城址の浜である。


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 瀬田唐橋(西側・唐橋町より眺める) 

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 広重筆<近江八景―瀬田夕照>
 
     ⑤近江八景―瀬田夕照(せたのせきしょう)=瀬田の唐橋大津市


     <露時雨(つゆしぐれ) もる山遠く 過ぎきつつ 夕日のわたる 勢多の長橋 ―広重> 


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東岸(瀬田町)より瀬田唐橋を眺める



<湖岸道路を一路チェックポイント「道の駅・草津」に向う>
 
途中、イオンモール草津WC/水補給/食料調達//サイクルショップ)に立ち寄り食料を調達する。ほか、疲れを取るのであれば日帰り湯である草津湯元<水春>(@700-)に立ち寄るのもいい。

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イオンモール 草津  <食料調達に立寄り>
 
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草津湯元「水春」(イオンモール草津) <体を休めるため立寄り湯もいい>

イオンモール草津を出て、湖岸道路を北へ向かうと二つの橋<矢橋>と<帰帆路橋>とを渡る。
この辺りが瀬田唐橋を渡らず、また北回りをせずに対岸・大津へ船で渡れる「矢橋港」(やばせこう)があったところである。
 
矢橋からの写真と、広重の浮世絵<矢橋帰帆を見てみると、その写実性において一致する。比叡山の麓にある大津港に向って帆船が人や荷を運んでいるさまが描かれている。

ただ、先にも述べたがびわ湖の西岸には、比叡山系や比良山系からの比叡おろしや比良八荒という強風が吹きこみ、向かい風となって船の行く手を阻んだ。

 
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矢橋(やばせ)から大津港・比叡山を眺望  

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 ⑦近江八景―矢橋帰帆   (やばせのきはん)=矢橋/草津市


    <真帆ひきて 八橋に帰る 船は今 打出の浜を あとの追風 ―広重>

 

 

 

 

 びわ湖冬景色―近江の歴史をたどる老人自転車ひとり旅』 ⑦
 (2019年2月17日) <▲膳所城址公園 ⇒ 湖岸緑地 岡山園地 35km>  
      につづく