shiganosato-gotoの日記

星の巡礼者としてここ地球星での出会いを紹介しています。

熊野古道 小辺路縦走⑤<1日目・高野山⇒大股>

2019星の巡礼 熊野古道小辺路縦走』―老人山行の一考察―⑤
 
 
小辺路縦走日記>  (旅日記より抜粋)
 

小辺路縦走1日目 <高野山⇒大股>①
 
1日目小辺路ルート  <高野山⇒大滝口女人堂跡⇒薄峠⇒大滝村⇒水ケ峰集落跡⇒平辻⇒
1日目露営地・大股バス停付近>    6/17km
 

人は日常に生き、己を観察し、己の注意点を把握しておく必要があるということが出発にあったって
教えられることとなった。

老人としての非日常という社会性に欠けた生活は、生きるという原則的な基本を忘れ、薄れ去っていることが多いといえるのではないだろうか。

この老人の非日常から、大自然の中を歩くということは、研ぎ澄まされた野性的な思考、行動を取り戻せるかどうかにかかっている。

今朝も、熊野古道小辺路縦走に向け慎重に計画し、家を出たつもりであった。
 
JRの駅で、切符を買おうとしてポーチを覗くとデジカメがないではないか。私にとってデジカメは旅そのものを記憶に残すための第二の重要な機能であり、ツールである。
慌てたのは当然である。
その慌てようは滑稽であったかもしれない。
 
そんなはずはない。最終段階でのチェックもクリアしていたはずではないか。
一体どこへ忘れてきたというのか。

始発電車をあきらめ、家に飛んで帰り探したがどこにもない。
あきらめて電池式の別のデジカメをとりだし、車に戻る途中、道路上に何食わぬ顔でのんびりと横たわっているデジカメを発見。
口の開いたポーチから落ちたのであることに気づいた。
その時の安堵感と共に、おのれの間抜けさに呆れたものである。
この自分の意識や認識範囲外で起こる出来事が、遭難への引き金になりかねないのである。
気を引き締めて、小辺路縦走を終えたいものである。
 
わが人生そのものではないか。一番大切な第一歩でのつまずき、そこには己の滑稽さが現れているような気がしてならない。
だから今の人生があるといえば恰好いいが、呆れながらまたやったという思いで駅に向かった。

この一連の流れに沿った出来事を予知しえないのが、シニアいや人間である己の限界といえよう。

小辺路走前に考えさせられた今日の教訓であり、テーマであるように思われた。

お陰で、気負っていた小辺路歩きも、熊野詣に出かけた古の旅人と同じくその浮き立つ気持ちをおさえることにした。
 
このことを肝に銘じて、平常心、泰然自若を背負っての小辺路縦走になった。

縦走での些細な一つのきっかけ、例えばルート上の小石につまずくことにより、転倒を生み、滑落を誘い、転落死へと結びつくのである。

今回、小石に足を取られ転倒、渓谷側ではなく山側に転び滑落を免れることがあった。
若ければ踏ん張れるふらつきも、年をとることによりなんと簡単に転倒することか、恐ろしい瞬間を
経験した。
他の人々に迷惑をかけず、いかにこの老体を高野山より、熊野大社本宮までの68㎞を届け切るかということが頭をよぎった。
 
では、熊野古道小辺路を歩いてみよう・・・
 
ケーブルカー<高野山駅>で降りたら、南海りんかんバス奥の院方面行>に乗り換えて、
<千手院橋バス停>で下車し、
奥の院方面に向かって歩きだすと、左手に買い物ができるマーケット風の    カネ幸・慈幸商店がある。
昼時であったのでインスタントラーメンとパンを購入し、店先のピクニックテーブルで食した。

お店の向かいの路地角に<金剛三昧院>の石の標柱が建っている。

この路地が    <熊野古道小辺路>の高野山側の入り口である。しばらく緩やかな坂を上って行き、<別格本山 長老坊>に出会ったら右手に曲がって、小辺路に入っていく。


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食料購入ができる<カネ幸・慈幸商店>
 
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熊野古道小辺路>の高野山側の入り口
 
高野山から大股に至る小辺路は、山道と舗装道がほぼ3対1の割合である。舗装道はおおむね<高野龍神スカイライン>と<林道タイノ原線>である。
 
コースの表示は正しく確実で、標識に従えば道迷いなどは起こらないといえる。
 
峠へのアップダウンも規則正しく、上り下りに疲れを感じることがなかった。当初予定していた露営地も、さらにその先に変更するほど歩きやすいルートで、高齢者の体力を温存することができた。
 
お陰で、当初予定の45日の行程を34日に短縮ことができたのである。
これまた小辺路に祀られ旅人の安全を祈ってくれているおおくの地蔵尊の励ましがあってのことであろう。
感謝である。


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 小辺路の旅人の安全を見守るお地蔵さんたち


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 歩きやすい小辺路(古道)
 
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親切な標識に従えば小辺路は歩きやすい


尾根やスカイラインから遠く大峰・熊野の山並みを眺めながらの楽しい縦走路である。

 

 
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大峰・熊野の山並みを楽しみながら小辺路を歩く