2021星の巡礼『バグラデシュの旅 2010』 Ⅱ
<ラジャヒ ➡ ルクナ ➡ <ロケト・スチーマによる船旅> ➡ ダッガ>
■10月19日 8日目 ラジャヒ/RAJSHAHI➡クルナ/ KHULNA 路線バス移動
(途中、クシュティア/Kushtiaで乗継)
<🚐バス情報 ラジャヒ➡(3.5H 90TK)➡クシュティア/Kushtia(乗継) ➡ ルクナ>
ラジャヒからルクナ行きのバスは、バスターミナルではなく、リキシャで5~6分先にある<ローカル・バスターミナル>から出る。バスはオンボロなので、エンジンがかからないこともあった。乗客は、みなバスから降ろされて、男性客はバスを押してエンジンをかけるのである、楽しいバングラデッシュでの思い出となった。
ラジャヒ➡クシュティア行路線バスBRTC バスチケット
暑い日である。バスの中は無風、天井扇は沈黙を守り、汗は無数の筋をなして背中を流れ落ちる。ようやくランチのためのブレイクタイム、トイレ(5TK)に直行、チョロチョロ出る水をタオルに染ませ、体を拭いて生き還る。
ここは、クルナとの中間クシュティアという村、空腹を満たすためピロシキと揚げパン(35TK)を腹におさめる。
蒸し里芋が売られていた。バングラデッシュの人たちも里芋を食べていると思うだけで、親しみがわいた。カレーに入れて料理することもあるという。
この日<10月19日>の気温と湿度の表が新聞に出ていたので参考までにコピーしておいた。
ここラジャヒRAJSHAHIの最高気温30.5℃/最低気温24.2℃・湿度81%とある。蒸し暑い日である。
この国では小銭が沢山いる。トイレをはじめ、物乞いやちょっとした喜捨銭(バクシン)、リキシャによく乗るからである。とにかく小銭が重宝される国である。
長距離バスは、とにかくブレイクタイム(休憩)が多い、なかでも野外でのトイレ・タイムは独特な儀式の観を呈する。パキスタンでも経験したが、男性がしゃがんで小用を足す姿が強烈に印象として残った。立ちションに慣れた輩には異様に感じるものである。イスラムの男性には、立ちションそのものが恥ずかしい行為なのであろうか、立ちション文化はない。もしどうしてもというときは、われわれもしゃがんで小用を足すことに、こころしなければならない。
ラジャヒからルクナへの長距離バスは約10時間もかかるので、途中1~2度はしゃがんでの小用を経験することになる。バングラデッシュを知るためにも、率先して経験されることをおすすめする。オンボロバスの座席のスプリングの悪さからの振動にまして、猛スピードで無謀な運転とくると小用を耐えるのは至難の業であるからである。
それにしても、なぜこのようなオンボロで、かかるも勇敢に無謀な運転ができるのであろうか。それも次々に前の車やリキシャや人々を縫って走り抜けるのである。こちらも緊張に疲れが出たのであろうか、ルクナに到着する前には1時間ほどうとうとと1時間ほど寝てしまったようである。
この長距離バス旅行にも、ちょっとしたハプニングがあった。休憩時、バングラデッシュの毛虫にかぶれ、肌が赤く膨れ上がり痒いこと、毒素が回りだしたのか痒みが体中に広がりだした。親切な乗客も髪の毛でこすったら治るとかいろいろ教えてくれるが、こちらには通じない。しかし言葉の障壁を越えて見知らない東洋人を助けようとするバングラデッシュの人々の善意を感じるものである。ルクナに到着する頃には痒みも落ちついた。
ラジャヒの早朝風景 各地方都市にある便利なATM
ラジャヒ・ローカルバスターミナルのチケット売り場 <ラジャヒ➡クルナ>路線バスBRTC
ローカル・バスターミナルには、各方面への路線バスが沢山並んでいるので、乗車バスを特定するには注意を要する。特に行き先の表示文字と数字番号はベンガル語での標記であり、迷うこと必定である。時には探しているうちにバスに乗り遅れることもままあるので注意したい。
できればメモ用紙に行き先名と出発時間や車番号<例・KHULNA・Bus#8 Departure
07:30am>を書いておき、周囲の人たちの協力を得ることをお勧めする。またできれば行き先のKHULNAのベンガル語を教えてもらっておくと更に助かることがある。
また、路線バスの途中でのトイレ休憩では、自分の乗車バスの特徴やプレートナンバーや運転手の顔を覚えておくとよい。時として同じバス会社の逆方向のバスの同じ席に座っていることもあるから要注意である。
更に、自分の席の前後左右の乗客と、親しくしておくことも重要である。もし乗り遅れて、バスが出発しても、彼らが運転手に知らせ、待ってくれることがあるからである。
わたしは、世界旅行で何度も、乗り遅れてほっておかれたことがある。ペルーからボリビアに入ったチチカカ湖手前の国境で、時差を忘れ戻ってきたらバスはすでに出発し、バス停にわたしのリュックが放り投げてあったこともある。この時も乗客の運転手への連絡で、荷物は置いていってくれたから助かったものである。ほかにも失敗は幾多とある。みな懐かしい体験としてわが人生に花を添えてくれているが・・・。
だからこそまたバックパッカーはツアーと違い、自己責任での完結であり、冒険であり、人生そのものであり、喜怒哀楽の物語でもある。
バックパッカーの人生は、風に吹かれ、人の慈愛に触れ、土の温みにいだかれ、神の愛に包まれた浮き草の世界を生きてきたようなものであると云える。
人生は、冒険であり、未知への挑戦であり、夢を追い、心躍る体験の連続であったと云える。
流れゆく白雲を見るだけで、その代わりゆく変化に、おのれを重ねて心躍らせるものである。
生きる力みなぎる市場風景
バイク・プレート<RAJSHAHI> バス内でのランチ/揚げパンとオレンジジュース
ラジャヒからのバスは、ここクシュティアまでだということで、乗り換えてクルナまで行くことになる。
同じバス会社であり、同じ中古のバスであるが、多くの乗客もクルナ行だから、みなと同じ行動をとれば問題はない。
クルナでは、ロケット・スチーマ乗船にあたっての買い出しがしやすい街の中のホテルに落ち着いた。
<▲クルナ宿泊先―HOTEL PARK> 連泊計 1250TK
K.D. GHOSH ROAD, KHULNA Phone 20990, 25677 Room#15
屋台で夕食(35TK)として、オムレツ・付けカレー・ナン2枚で済ませたあと、バングラデシュで一番雑然とし、混とんとしたクルナの街を散策した。リクシャが無秩序に縦横に走り抜け、埃っぽく、汚物の匂いが漂うが、生きる力がみなぎった街である。暑さのなか、砂埃と汗にまみれた体で、ポッタ川(ガンジス川)の支流にある<ロケット・スチーマ―>の乗船場と、チケット売り場まで行ってみた。
クルナのメインストリートにある<HOTEL PARK> 2階の中央の部屋に投宿
クルナでの投宿先<HOTEL PARK> <Hotel Park – Khulna> Receipt
夕食(35TK)は屋台で、バナナと水(60TK)も購入
<ロケット・スチーマ―乗船にあたって>
バングラデシュは、ガンジス川の支流が網の目のように張り廻らされている川の国、デルタの国、ゼロ地帯である平野の国である。
その網の目の水路や運河は、バングラデシュの運輸を水上でしっかり支えている。
世界でただ一つの外輪船<ロケット・スチーマー>による船旅が出来るということで、さっそく乗船を決め、予約チケットを手に入れた。
1935年建造当時のロケット・スチーマ―は、蒸気による外輪駆動であったようだが、1990年代にディーゼルによる動力にとって代わられているという。
一等船室(エアコン付きの相部屋キャビン・食堂・展望デッキ・@1150TK)
二等船室(相部屋・天井扇・食堂・展望デッキ使用可能・@720TK)
三等船室は、デッキでの雑魚寝でプライバシ―がないのでお勧めはしない。
ロケット・スチーマ―運行会社BIWTCのオフィスで乗船説明を受けた。
➀チケットの予約は、市内の旅行会社で行い、乗船前に船着き場のオフィスで支払い、乗船券を受け取る。
②クルナ発ロケット・スチーマ―は、毎週月曜日と金曜日の二回出航予定である。
③今回乗船するロケット・スチーマ―は金曜日(土曜日早朝)出航の
<オストリッチ号>である。
④金曜日午後10時ごろ着岸・乗船開始し、土曜日(10月23日)午前2時45分出航予定。
⑤ただし、エンジントラブルや、遅延等で運行を取りやめることもある。
➅船上での盗難・紛失等一切の責任を負わない。
⑦乗船の前日までに、桟橋オフィスでチケット購入の事。
⑧運賃は、1等キャビン@1190TK ・ 2等キャビン@720TKである。
⑨キャビン一室を借り切ることが出来る
(1等@1190X2=2380TK・2等@720X2=1400TK)
⑩1・2等キャビンは、3等エリアと壁やドアーで隔離されている。
⑪食事は食堂でとることが出来る。
クルナ・ラマラシャバ通りにあるBIWTCオフィス<ロケット・スチーマ―>乗船券売場
ロケット・スチーマ―運営会社BIWTCオフィス と 壁にかかる初代ロケト・スチーマの油絵
(左・オフィスにかかるバングラデシュ初代首相ラーマン氏の肖像画)
ロケット・スチーマ―乗船場(クルナ・ポッダ支流バイラブ川河畔)
<われらの星を愛すること>
すべての人間がもつ根源的な感情である驕り・汚れ・醜さ・無智・破壊性を複雑にからめ合わせている光景が、ここクルナにはあるような気がする。この混とんとした環境の中に、おのれの根源を重ねる時、無常なる安心感を覚えるから不思議である。
こころの風景というか、懐かしい生前のよどみの中にいるような落ち着きを感じる。まるで泥の中に咲く蓮の花のような純粋な仏の慈しみあふれる笑みに包まれているような気持ちにさせられるのである。
人間は、すべてを支配し、知らずのうちに、生きる命題という御旗のもとに、あらゆる存在を喰いつくし、消滅させているという行為を、無意識のうちに遂行しているにことに気づいていないような気がする。いや気づいたとしても破壊をとめることが出来ないのが人間の性なのかもしれない。
人類がこの星を喰いつくす、いや破壊しつくすのにそれほど時間はかからないのかもしれない。
この星の美しさを、不毛の惑星に変え、貪欲な営みが尽きるのも時間の問題ではないだろうか。
いまこそ生きる者にとって、自然のすべてに愛を感じ、愛を惜しみなく注ぎ、愛を実行する時である。
■10月20日 9日目 クルナ滞在 <バゲルハット・ヒンズー寺院訪問>
朝8時半、クルナでの滞在先・パークホテルをでて、昨日散策したラマラシャバ通り/Ramarshapa Roadにある、ロケット・スチーマ―を運営するBIWTCの事務所に立寄り、予約チケットを購入した。
残念ながら一等船室はすでに満室であり、二等船室となった。
体を休めるために、一室分(2名x@720=1440TK)を支払って個室として使用することにした。
クルナより乗船し、ダッカまでの約26時間・総航行距離約500㎞におよぶ船旅である。
街角の屋台での定番朝食<ナンと付けカレーと7up/45TK>を済ませ、乗船待ち時間を使って<バゲルハット・ヒンズー寺院>に出かけた。
今朝は、ゆっくりと体を休めるためにバックパッカーにしては破格の部屋代を奮発したが、南京虫やダニに襲われ体中が痒みに音を上げている。これもまた未開の冒険旅行の代償と思えば、立派な勲章に見えるのである。
南京虫やダニからもらった勲章痕
ランニングシャツの良く似合う揚げパンを焼く男性
<バゲルハット/Bagerhatのヒンズー寺院群・
世界遺産 シャイト・ゴンブス・モスジット>
ロケット・スチーマ―に乗船する前に、クルナの南にある世界遺産・バゲルハット・ヒンズー寺院群を訪問することにした。
クルナ北西にあるバスターミナルより、バスで30㎞先にあるバス停<シャイト・ゴンブス>で下車(1H/35TK)し、リキシャ(100TK)で20分ほど走り、世界遺産<シャイト・ゴンブス・モスジット/Shait Gonbs Mosjit> を訪問した。
帰りは、バスでプルシャ・バスターミナルに向かい、ここからプルシャ川を渡し船でわたり、クルナに戻った。
<Khulna ➡(🚐 1H/35TK)➡ Bogerhat ➡(リクシャ 0.3H/100TK) ➡ Shait Gonbs Mosjit>
(往路)クルナ北西バスターミナル ➡ バゲルハット ➡ 世界遺産シャイト・ゴンブス・モスジット
(復路)世界遺産シャイト・ゴンブス・モスジット➡バゲルハット➡プルシャ・バスターミナル➡
渡し船(プルシャ川)➡クルナ
バゲルハット/Bagerhatのヒンズー寺院群の一つである世界遺産<シャイト・ゴンブス・モスジット>は、1459年建立、聖者ガン・ジャハンという王が造営したヒンズー寺院である。遺跡ではなく、現在でも村人の信仰の対象となり、人々の祈る姿が見られる生きた世界遺産である。
ムガール朝以前のモスジット(ヒンズー寺院)としては、バングラデシュ最大のものであり、幅48m・奥行32.5m・高さ9m、四角形の建物に12mのミナレット(尖塔)が建ち、60個のドームを持つ。
モスジットの庭で、バングラデシュの高校生男女6人と知り合い、憧れの日本について教えてくれといろいろと質問を受けた。そして、彼らはパキスタンから分離独立して間もない若いバングラデシュの置かれた不安と将来の夢とを聞かせてくれた。
バングラデシュの独立には、過去の歴史を精算せずには語れない多くの苦難の道があったことを語ってくれた。
この狭い国土に約1億5千万の人口をかかえ、世界一の人口密度で、大河ガンジス川の豊饒な三角州にその9割近くのヒンズー教徒がひしめく若い国である。
この多くの人口を生かすため、世界の生産基地としての夢を秘め、日本ほかの企業誘致が待たれる国でもある。
その若き国を支え、将来を嘱望される高校生の質問は真剣であった。
先程出会った池に浮かぶ蓮の花芽のように、明日のバングラデシュを背負って立つ熱き想いをひとり一人が夢をもって語ってくれたものである。
世界遺産<シャイト・ゴンブス・モスジット>の入口
世界遺産<シャイト・ゴンブス・モスジット> 庭園に囲まれたモスジット
世界遺産<シャイト・ゴンブス・モスジット>のチケット(100TK)
世界遺産<シャイト・ゴンブス・モスジット>の尖塔
世界遺産<シャイト・ゴンブス・モスジット>寺院の回廊
世界遺産<シャイト・ゴンブス・モスジット>のスケッチ (バゲルハット)
世界遺産<シャイト・ゴンブス・モスジット>は、モスジットのレンガと緑の芝生がよく映える空間である。モスジットは平屋で、四隅の尖塔と屋上に丸いドームが幾何学的に並び、修道院的雰囲気を醸し出している。
現役のモスジットとして、信者が訪れ、厳粛な礼拝が行われていた。
回廊より裏庭に出たら、大きな四角池があり、蓮の葉に混じって新しい芽が首を出していた。
帰りにモスジットのトイレを借りたが、やはりここでも立って小用を足す習慣はなさそうで、みなかがんで用を足しているのでこちらも郷に従った。食事の右手の指使用と同じく、ムスリムの習慣に少しは慣れてきたようである。
世界遺産<シャイト・ゴンブス・モスジット>で出会った高校生と
世界遺産<シャイト・ゴンブス・モスジット>の蓮池
<プルシャ川渡船の風景>
クルナへの復路は、プルシャ川側にあるバスターミナルに向かい、渡し船でクルナに戻ることにした。
(復路)世界遺産シャイト・ゴンブス・モスジット➡バゲルハット➡プルシャ・バスターミナル➡
渡し船(プルシャ川)➡クルナ
プルシャ川対岸の渡し場 と 渡し船
プルシャ川を渡りクルナ側に戻ってきた
■10月21日 10日目 ロケット・スティーマ―乗船待ち(クルナ・晴・35℃)
<クルナ 朝の散策>
クルナの朝も暑い。
日中や夕方の雑踏はどこに消え失せたかというほどにクルナの朝は、新鮮な静かな朝を迎えている。道路の清掃に励むご婦人たち、走り回るニワトリ、土埃の中を客待ちのリキシャがゆっくりと曳かれていく。学校に向かう制服姿の女子学生たち、世界のどの街角でも出会う風景に、ここがバングラデシュであることを忘れてしまいそうである。
尖塔で風にはためく国旗が飾られているのは役所であろうか、日本の国旗と構図が似ており親近感を覚える。
大草原のなかに今まさに真赤な太陽が上がらんとする国旗に、この国の物語が詰まっているように見える。
赤い円は昇りゆく太陽を表し、独立のために流された血と自由の新しい太陽の象徴を表しているという。
地の緑色は、若者の意気とイスラムの教えとガンジス川の三角州という豊かな大地を示している。
役所や街角で見られるバングラデシュ国旗
<川の国バングラデシュのバイラブ川/Vairab Riverの情景-クルナ>
クルナの街を抜けるとガンジス川支流であるバイラブ川に出る。
バングラデシュでは、川が水運の一大拠点であり、ここにも港を中心に多くの問屋の建物が立ち並び、白砂・レンガ・鉄鋼・果物・サトウキビなどを取り扱っている。
さらに港には、交通の要所でもあり大型フェリーや、商船、タンカーが往来するかたわら、小さな渡し船には多くの通勤客や学生たちが立ち乗りの姿で、対岸に向かっている。
立ち乗りの渡し船が、転覆したらはたしてどのような悲惨な結果になるのだろうかと心配しながら、行き交う小舟を眺めた。
物資運搬・通勤・通学用フェリー と バイラブ川の渡し船(ガンジス川支流)
川の流れは結構速く、大型船も渡し船も一度下流に流されてから船首を戻し、行き先に向かっている。
この川もガンジス河の支流であるが、粘土質でヘドロのようなセメント状の川岸が続く。川面には浮き草が漂いながら勢いよく流れている。
物流としてのサトウキビ と 川沿いに立ち並ぶ問屋倉庫
バイラブ川岸で洗いものをする老人
生活の場であるバイラブ川で食器を洗うご婦人とカラスたち
ヤシの木陰が意外と涼しい。やはり南国である。
ミルクティーの匂いに誘われ屋台に立寄り、3TKの紅茶を口にしながら港の人の流れに見入った。
<読書三昧>
今日は、体を休めるための休養日である。
パーク・ホテルに戻り、定番の朝食であるナンと付けカレーをいただいたあと、休養日の読書に耽った。
なんとこの部屋には宿泊者が残していった本を並べた小さな本棚があり、そのなかに2冊の日本語の小説を見つけた。なんとこの南京虫の出る部屋には、以前日本人が泊っていたのである。
それも日本の安全保障に関する憲法9条の問題点と、人類はどこからきてどこへ向かおうとしているかという根源的問題提起の本であるから、読み手も真剣にならざるを得ない。
体を休めながらと言いながら、二冊の本を読み終えた時には、足腰が立たないほどであった。
◎麻生 幾著「宣戦布告」上下巻 講談社
日本の安全保障体制の実態を鋭く描いた名著である。ストーリーは福井県の敦賀にある原子力発電所付近の海岸に北朝鮮の小型潜水艦が乗り上げ、特殊部隊が上陸し、付近の山林に潜んでいるところから始まる。
憲法第9条の呪縛と自衛隊を巡る神学論争の虜となっている政府は自衛隊の出動に及び腰のまま。予想通り機動隊は北朝鮮人により皆殺しにされる。自衛隊指揮官は敵を撃つにもいちいち永田町の首相官邸に使用許可を仰がねばいけないのだ。日本の安全保障体制の一体何が問題なのかを提起する小説である。
◎中江克己著 「神々の足跡」 PHP文庫
人類はどこからきて、どこへ行こうとしているのか。
超古代文明の謎とロマンを語っている本であるが、次の二つの意見に集約されるとしている。
宇宙人が超高速宇宙船に乗って地球を訪れ、高度な文明を伝えたとする説と、過去の地殻大変動により人類の歴史が大きく変わったとする説である。
この遠き地で、日本防衛という根源的問題と、人類の起源・歴史についての書物を読むとは思いもよらないことであった。まず日本の文字・漢字に接したという驚きと安堵に包まれた。
読後、あらためて英国植民地時代の遺産を引き継いでいる古いホテルの部屋をゆっくり観察したり、この国の紙幣を取りだして眺めてみた。ここがインドとミヤンマー(旧ビルマ)に挟まれたバングラデシュの地であることを認識させられたものである。
天井扇のスイッチ以外、インド・ビルマ(ミヤンマー)・パキスタンでも見られた英国植民地時代の古いスイッチがそのまま使われており、昔懐かしいノスタルジーにひたった。
バングラデシュもまた、歴史に翻弄されて今があることを思い、国の成立ちや民衆の苦悩を想い描いてみた。
バングラデシュのお金は、紙幣と硬貨があるが、手元にある紙幣の種類を紹介しておくことにする。
写真の左上から、1000TK・500TK・100TK, 右上から、10TK・5TK・2TK各紙幣とつづく。
英国植民地時代の古いスイッチ類(丸黒) これでも安全でない格安ホテルの二重錠前
バングラデシュの紙幣(1000~2TK)
船中携帯食購入(バナナ・オニオンリング・ゆで卵) 今夜の夕食(カレーライス・煮豆サラダ・7up)
■10月22日 11日目 クルーズ<クルナ➡ダッカ>乗船待機
<ロケット・スチーマー 《オストリッチ号 PS/OSTRICH》 乗船 - クルナ>
川の国バングラデッシュの象徴的な遺産が、風雨に耐え老朽化した<ロケット・スチーマー>であると云える。約26時間に渡る約500kmの外輪船での船旅。ロマンあふれる静かな時間にひたり、過ぎゆく大地を眺め、太陽と月が支配するこの地球に生きている喜びにひたって見てることにした。
川の船旅は、川に生きる人々の生活の場を垣間見ることになる。水上交通で結ばれた村々の間には、荷物である穀物や家畜の水上運搬はもちろん、小荷物や郵便物など生活に欠かせないものを運んでいる。また河畔は洗濯の場であり、漁の場であり、子供達の遊び場である。
見ているだけで楽しい船旅になること間違しである。
いままでも、アマゾン川やナイル川、揚子江やガンジス川、ミシシッピ河や淀川、ユーコン川など多くの川で、船旅を楽しんできた。そのほとんどの川旅が、生活水路を往来する川船であったり、テントを積んでのカヌーやカヤックの旅であった。
今日は昼から大雨が降り、ホテルから船着き場に至る道は、車のホコリも露天商の呼びかけも、リクシャの転鈴もなく静かである。
雨降りあとのクルナの静かな露天街
ガンジス川支流バイラブ川も大河であり、中型の貨物船や観光船が行き来している
19:00pm ロケット・スチーマ―乗船手続きが始まる。出航は、深夜10月23日午前2時45分である。
今夜は満月、ロマンティックな出航となりそうだ。すでに、満月は川面に映り、乗船客一人一人に笑いかけている。
今夜の船便は、運航している数隻のロケットスチーマ―の内の一隻で《オストリッチ号 PS/OSTRICH》という。
ロケット・スティーマ―乗船券表紙
ロケット・スティーマ―・チケット KHULNA➡DHAKA 2等船室(2名)1室貸切 @720x2=1440TK)
スケッチ <ロケット・スチーマー:オストリッチ号 PS/OSTRICH>
この旅では、クルナ発、ダッガ着のロケット・スチーマーの逆コース航路(寄港地ルート)を紹介しておく。
通常の観光コースは、ダッカで乗船し、クルナへの約26時間の船旅となる。
また、通常の航路はベンガル湾経由とのことだが、この便はベンガル湾を経由せず、内陸部水路(川)を経由し、ダッカの発着所であるジョドル・ガットに向かう。
乗船券購入時、航路(ルート)を確認することをおすすめする。
➀クルナ/Khulna 10/23深夜 02:45出航 ➡
②モングラ/Mongla 04:45寄港 ➡
③モレルガンズ/Morrelganz 08:20寄港 ➡
④チャークハリ/Charkhali ➡
⑤ ジャロカティ/Jhalakati 16:48寄港 ➡
➅ ボリシャリ/Barisal 10/24深夜 02:40寄港 ➡
⑦チャントプール/Chandpur ➡
⑧ダッガ/Dhaka 10/24 早朝 05:00到着
(ダッカ市内、オールドダッカ南のブリゴンガ川にあるジョドル・ガットへ到着する)
ロケット・スチーマ―航路図 (オストリッチ号 PS/OSTRICH土曜便・KHULNA➡DHAKA)
ノスタルジーを誘う外輪船ロケット・スチーマーの勇姿(LINEトラベルJP提供)
ロケット・スチーマーの船尾 ロケット・スチーマーの外輪
■10月23日 12日目 <ロケット・スチーム:オストリッチ号の船旅>
アメリカのミシシッピー川で乗船した蒸気外輪船を思い出させるような歴史の風化をまとったロケット・スチーマ―<オストリッチ号>は、今夜満月の晩にここクルナを後にして、ダッカのショドル・ガッドに向かって出航する。
歴史を刻み、風格を漂わせた老朽外輪船。哀愁と共に歴史のロマンを咲かせた蒸気船である。
現在の動力は、蒸気タービンよりディーゼル・エンジンに変わっているが、その外輪の重たい回転から伝わってくる振動が、キャビンにも心地よく伝わってくる。
満月を愛でながら出航を待つ
満月の夜、外輪の川面をかく心地よいリズムが大気を揺さぶり、ノスタルジーを十分に満たしてくれる。
英国植民地時代に、英国の紳士淑女がくつろいだであろう船室を紹介しておこう。
ロケットスティーム・オストリッチ号二等船室のキャビン と トイレ
2等船客は食堂で食事をとる 今回の旅の携行品のすべて
<バングラデシュ16日間の旅 携行品>
ペンライト・笛・ティッシュペーパー・ハンカチ・ウエットティッシュ・痒み止め(ムヒ)・細菌性下痢止め(ストッパー)・蚊取線香(マッチ)・虫よけネット・バッテリー用プラグ・洗面用具一式・持病薬/栄養剤・デジカメ(予備SDカード/バッテリー/充電器)・時計・鍵(チエーン含)・補修用具(銅線/ガムテープ/裁縫)・カップ・扇子・箸・サングラス・パスポート(コピー・写真各2枚含)・国際旅行保険・健康保険証・運転免許証(国際)・往復航空券・現金($&¥)VISA CARD・国際cash card・筆記用具・使い捨てレインコート・サブザック・封筒型シーツ・緊急食(チョコバー/リンゴ/煮卵)・見せ金(緊急用50$紙幣)・貴重品入(3か所分散用財布/胴巻/首巾着)・GPS付き携帯・ミネラルウオーター・情報ノート・地図・磁石・縫付緊急連絡先(ザック・ポーチ・ズボン)・現地領事館&邦人関係病院の連絡先
オストリッチ号の操舵室
三等船室(大部屋)の風景
三等船室は、大きく開かれた外壁から直接外気が吹き込む甲板であり、持参したムシロや、敷布を引いて地下寝・雑魚寝である。思い出したが、アマゾン川のベレンからマナオスへの約1週間の三等船室の船旅では、ハンモックに潜り込んだものである。
オストリッチ号のエンジンルーム
三等には食堂はなく、にわか売店が出来る 現地の乗客と交流
水上生活者たちの川舟 二景
ガンジス川に昇る悠久の太陽
<詩 ああわれいま ガンジスにおりて>
川面染まりゆきて 時ゆるやかに流れ
浮き草漂いて わが人生の伴侶のごとし
ああわれこの星にありて われを忘るる
綿雲動かずにして 川下りしわれを追い
われまた流れゆくわれを追いて 沈思す
ああわれいま ガンジスにおりて幸せ也
ガンジス川支流の静寂を楽しむ
オーストリッチ号は、ガンジス川支流バイブラ川のクルナ港を金曜の夜出航(02:45発)後、南西に向かって航行、川を下って次の寄港地モングラ(04:45着予定)に向かっている。
間もなく東、ダッカ方面から暗闇が切り裂かれ、夜が明けてくる。川面がパッとかわり、化粧したように紅色に染まりだした。
静寂の一瞬をデッキに出て、船旅の旅情に溶け込み、人生の今を楽しんだ。
水上生活の川舟が、静かに朝餉の準備を始めたようだ。
水上生活者の川舟
両岸の堤にはサトウキビを運ぶ荷車がのんびりと走り、その後に山羊の一家が続いている。
堤を挟んで無数の養殖池がつづき、オニテナガエビが養殖され、バングラデシュの食糧事情の改善に寄与しているという。
ガンジス川支流―のどかな堤の風景二点
ポッダ川(ガンジス川支流)を船で下っていると、アマゾンやスエズ、ナイルや揚子江と同じく、広々した川幅の両岸に平原がひらけ緑の草を食む牛達がいる風景がよく似合っており、人間の生活の営みを感じる川である。
ガンジス川の堤に草を食む水牛たち と 川沿いに広がる養殖池
ガンジス川支流バイラブ川/VAIRAB RIVERで漁をする川舟
船上のランチというだけで、心豊かな食事である。流れゆく混沌の時代から逃れて、文明発祥のガンジス川に迷い込んでいるだけでも贅沢であるのだから、幸せを感じずにはおられない。
バイラブ川を裂き、モングラを目指すロケット・スチーマ―<オストリッチ号> (右・外輪)
<ロケット・スチーマ―/オストリッチ号の寄港地風景>
オストリッチ号は、ルクナを出航したあと、モングラ・モラルガンズ・チャクルリ・ジャロカティー・ボリシャル・チャンントプールに寄港し、ダッガの近郊オールドダッガにあるジョドル・ガット(港)に到着する。
しばらく寄港風景を追いたい。
最初の寄港地モングラの埠頭 と 乗降船する客たち
< バイラブ川早朝風景スケッチ> モングラ村
船に掲げられたバングラデシュの全国地図
地図でもわかるようにバングラデシュは、ガンジス川とその支流による三角州にできた国であることが分かる。
拡大して、ロケット・スチーマの航路を見ておきたい。
拡大図(下)中央やや左に、出航地クルナ/KHULNAがあり、寄港地★印を経て拡大図上中央右のダッカ/DHAKAに向かっている。
ロケット・スチーマの航路図(拡大図) ★寄港地(便によって異なる)
寄港地 <モレルガンズ/MORELL GANZ>10月23日 08:20am 食堂で朝食をとる。
メニューは、トースト2枚・ポテトフライ・フィッシュフライ・オムレツ・水
二等船室の食堂で朝食
寄港地 <モレルガンズ/MORELL GANZ> 10月23日 08:20am
寄港地<チャクハリ/CHARKHALI> 11:30am
寄港地<ジャロカティー/JHALAKATI> 16:48pm
ゆったりと流れ去るガンジスの時の流れを楽しみながら、昼食をとった。指定された食堂にはすでに料理が並んでいた。メニューは、チキンスープ・チキンカレー・レモン付きライス・野菜の煮物・ミルクティーで、勘定は125TK(162円)であり、リーズナブルである。
ロケット・スチーマのランチ
ガンジス川の支流バイラブ川に沈む夕日
■10月24日 13日目 ダッカ➀
Rocket Stream “OSTRICH”号は、バイラブ川を静かに下り、日付が変って10月24日早朝4時45分モングラに寄港、5時20分に出港し、ダッカに向かう。外の暗闇は、静寂を破り時間と共に明るさが増していく。白鷺の飛翔する姿を彩る朝日が、バングラデッシュのデルタを優しく包み込んでいく。
船内も生活の匂いと喧騒が戻ってきた。
二等船客の朝食(150TK)は、揚げた川魚に煮ジャガイモ、オムレツ、パン、ジャムにミルクティーと英国風のブレックファーストである。この船は、英国植民地時代から就航している船で、統治者であった英国人が使用していたであろう個室は、その歴史を刻んでいるように塗装が剥げ、古い壁掛けの時計が時を刻むのを忘れて鎮座している。古い天井扇は時代を回顧するように、きしみながら首を回している。
まるで、70年前の英国商人になった気分で朝食を終え、英字新聞theinderに目を通した。
三等の大部屋は、鉄板むき出しの床にそれぞれの敷物を敷き、家族肩を寄せ合って坐っている。植民地時代の身分制、被支配者との格差を見せつけられているようである。
そこでは、持ち込まれたカレーにナンを付けて朝食がとられている。
わたしはいまバングラデッシュ独立前の英国植民地時代の古い外輪船に乗り、歴史の中にいる錯覚にとらわれた。
当初の航路予定であれば、川を下って一度ベンガル港に出て、本流をさかのぼってダッカに向かうはずが、今回はベンガル湾に出ず、内陸部の支流をショートカットするという。楽しみにしていたベンガル湾はまたの機会に回すこととなった。
船室に配られたモーニング・ニュース<theinder> 静寂の朝 すれ違う客船
水上交通路であるガンジス川(ポッタ川)を遡上し、ダッカに向かう貨物船
ダッカ到着・下船を待つ乗客 ロケット・スチーマで友達なった子供達
ダッガ郊外ショナルガオのモスクを通過
<ダッカ郊外にあるジョドル・ガッドーショナルガオ/SONARGAONの風景>
朝4時頃より、乗船客は下船の準備を始めたのであろうか、階下の3等船室の方が急に騒々しくなってきた。
サンデッキに出てみると、川はもちろん街一面が朝日を浴びてピンク色に輝き、燃え立っている。港には多くの大型船が停泊し、海と見まがうような光景である。
またガンジス川(ポッタ川)の支流ブリゴンガ川には、職場や学校に急ぐ人たちを乗せた渡し船が行き交い、スイカや野菜を乗せた小舟が走り回り、まるでアメンボー(水すまし)のように見える、
ロケット・スチーマの発着港であるショナルガオは、17世紀初頭ダッガに首都が移転するまで、インド大陸の東の貿易都市として繁栄した。ジョムナ川とメグナ川、ポッダ(ガンジス)川の合流する地点にあり、水運の活発な港である。
ガンジス川支流ブリゴンガ川にあるショナルガオ(オールドガッカ)の朝風景
大型貨物船に混じって仕事に向かうブリゴンガ川の小舟たち
ブリゴンガ川の渡し船も忙しい
<船旅おえたロケット・スチーマ・オストリッチ号はオールド・ダッカに帰港>
クルナを出航し、われわれを乗せたロケット・スチーマ<オストリッチ号>は、約26時間をかけて総距離 約500㎞の船旅を終え、ここブリゴンガ川に面したオールド・ダッガのジョドル・ガッドーショナルガオ/SONARGAONに早朝5時帰港した。
ここオールド・ダッガにあるジョドル・ガッド(港)ーショナルガオ/SONARGAONより北西方面にあるダッカ中心街へは25㎞程である。
ここからダッカ行きのバスは、1時間に2~3便ある<ショナガオ・エクスプレス>で45分程である。
下船客と出迎えの人達で大混雑のジョドル・ガッドーショナルガオ/SONARGAONの埠頭
<ジョドル・ガッドーショナルガオ/SONARGAON散策> オールドダッカ
ジョドル・ガッド入口に待機する三輪リキシャ オールドダッガ・SONARGAONの街並み
英国植民地時代の郵便ポスト
▲10/24~25 宿泊先<Imperial Hotel International> room #705
33-34 Bangabandhu Avenue, Dhaka 1000
宿泊代 @800TK X 2=1600TK
設備 AC/TV/SHAWER/TOILET
デポジット 500TK
エアコン・TV・温水シャワールーム付き
<Imperial Hotel International>
オールド・ダッガから眺めたベンガル湾へ沈みゆく夕陽
■10月24~25日 ぶらりぶらり ダッガ散策
ダッカ中心街
ダッカ朝の風景
ダッカ露店市
ダッカ・リキシャ修理風景
ダッカ・救急車
ダッカ・軽食屋台
ダッカ・ガソリンスタンド
ダッカ・路上魚売り
<ダッカ散策マップ>
ダッカ散策ルート図
ダッカ・路上親子シャワー 芸術性豊かなリキシャ
ダッカ・肉屋
ダッカ・映画館
ダッカ・バスターミナル
ダッカ・リキシャ・スタンド
■10月26 日 15日目 ダッカ国際空港より帰国の途に就く
いよいよこの混沌の国バングラデシュを離れる日である。
朝、喧騒の街はまだ眠りの中にある。ホテルの南にあるダッガ・グリスタン・バス・ターミナルには、すでに多くの人々で溢れかえっていた。空港までのチケットを20TKで購入し、乗客となる。
ダッカ➡空港行バスチケット (20TK)
ダッカ・空港行バスターミナル
空港行バスと並行する回送列車
ダッカ国際空港/HAZRAT SHAHJALAL INTERNATIONAL AIRPORT ADHAKA
15日ぶりにダッカ国際空港に戻ってきた。
ダッカ国際空港よりの出国を待つ。
バンコック経由関空行タイ航空
帰国便のタイ航空より台湾上空で拝した朝日
しばしの間、この国の事を想った。
仏教の一大中心として栄えたここベンガルの地は、チベット仏教やミヤンマーのバガンの寺院、インドネシア・ジャワ島の寺院などに多大の影響を与えたという。
また、今回の旅で回ったバングラデシュの仏教遺跡は、パキスタンのガンダーラに劣らない規模だともいわれる。しかし、仏教遺跡が世界遺産であることを多くのバングラデシュの人々にはあまり知られていないように思われた。 仏教遺跡がイスラムの地にあることに驚きを隠せないが、遺跡は現地の人々の生活の場でもあるのである。
特にここバングラデシュのイスラム人口が90%以上であることを想えば、自分たちの生活の場が、世界遺産として存在することにかえって驚いているのではないだろうか。
バングラデシュの各地を足早に巡ったが、まだまだ未開の、未知の国である。この国が観光客に対し解放される日は今少しかかりそうだとの印象を持った。
一方、今だからこそバングラデッシュは、バックパッカーの新天地であり、様々な提言により、この国の観光資源を開拓する使命があるといえる。
《 悠久に 流るガンジス バングラに 匂いし土の 咲きし笑顔や 》
―ゆうきゅうに ながるガンジス ばんぐらに においしつちの さきしえがおやー
2021星の巡礼『バグラデシュの旅 2010』
完
shiganosato-goto.hatenablog.com
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■参考資料
<不慮の事故(拉致・人身・盗難・病気)に備えること>
・パスポート紛失盗難:複数パスポート用写真・コピーを分散所持
・緊急連絡先のメモ・在日本大使館の住所・TEL
・海外旅行保険会社の連絡先の確認・現地医療センターの利用の仕方
・旅行代理店の現地連絡先の確認(エアーチケット購入の場合)
・健康保険証と持病薬の持参(薬名・効能の英訳)
・貴重品の分散収納:3分割(例:首掛け・腹巻方式・着衣ポケット)
<現地通貨・日本円・US$・クレジットカード・トラベルチェック・国際免許証等>
・見せ金・ワイロ(約20US―紙幣)の準備(強盗・役人・国境越え等の対策)
・盗難・強奪・置引き・スリ等にあった時は、必ず現地警察に被害届を出し、
被害証明書をもらっておく事
・緊急用食料(チョコレート・飴・ビスケット・乾燥バナナ等インスタント品)
や 水の携行
・救急用品(下痢止め・下剤・塩・止血剤ほか)
・修理用具(銅線・ガムテープ・針糸ほか)
<再両替時の注意>
- ATMより引き出した現地通貨は銀行等で再両替出来ないので注意
- 銀行・両替商でUSドルを現地通貨に両替した場合は、レシートを必ず保管のこと。
- 再両替時に提出・提示を求められる。
- 現地通貨の残額は、闇両替商に手数料名目約20%引きで再両替も可能である。
<バングラデシュの風物詩‐現地情報>
・この国は、まだまだ若い国である。近い将来、道路からゴミの山は消え、
バイクが歩 道を我が物顔に走ることもなくなることであろうが、過渡期の今は
大目に見て欲しい。
・一度赤信号になると、10分ほど待たなければならないことや、走り出したらお互い
神風運転を競い合う様には慣れてきたが、そこから派生する排気ガスの充満した
空間にも慣れてしまった。しかし、クラクションの競演には活気すら覚える。
・ガソリンは、3時以降は販売禁止であるから、1時頃からガソリンスタンド周辺は
車の縦列で大混雑である。
・新車よりポンコツ車が走り回って、ノスタルジーさえ感じたものである。
・最初、電線の垂れ下がりや、古い電線のむき出しに驚いたが、日を追って旅の風景
の中に溶け込んでいった。
・歩行者が道路を横断するには一大決心がいる。歩行者が合い寄ってかばいあい、
自衛しながら渡らなければならないから命がけである。とくに、全世界に広がる
英国植民地であった国々の都市計画は、アフリカの奥地であろうと立派に計画され、
道路の大きさは立派なものであり、横断するのに4~6車線ほどの幅があるから渡り
終えるのに大変である。それも自動車で埋め尽くされた道路をである。
・バングラデッシュは、三角州にできた網の目のような川の流れが交差している。
その川面に浮かぶ<布袋の青い草>が旅情を添えてくれるのがいい。
・バングラデッシュの男女が、汗拭きを首から垂らしているのを目にすることが多い。
オロナ(婦人用)・ガムチャ(紳士用)という。
・男性や老人に赤茶けた髪の毛をしていることがある。ヘナの木をすり潰した樹液で
染める<ヘナ染め>という。
・車は、新車に混じって目立つのが日本製中古車(特にTOYOTA)が多く目立つ。
日本と同じく右ハンドル・左側通行>が適しているようである。
・バングラデッシュの旅で多用するバスも、中古というより廃車同然の車
(特にHINO)が多い。
・バングラデッシュのカラスは、インド・カルカッタで見たと同じくタキシードを
着た貴公子である。日本のカラスのあのふてぶてしい姿とは似ても似つかわない姿
である。
・信号待ちの長いこと、無秩序な交通ルール、道路を渡るにはみな手をつないで
覚悟して、
・日本の男は立ちション、バングラデッシュの男は坐りション
・三輪オート・リクシャは貸切じゃなく、みな飛び乗ってくるから要注意
・バングラデッシュを旅して感じたこと:
とても暑い国に、低所得者層の人が溢れ、
インフラの整備が遅れ、独立国として未熟さが残り、
貧しさの中にも純粋な笑顔が健康的であり、
埃とゴミに埋もれながらも切磋琢磨して生きる力がみなぎり、
未開拓のなかに労働力が溢れ、日本などの製造業進出の余地があり、
世話好きで、人懐っこさが残る国民である。
<バングラデシュ バックパッカ-旅費研究 資料> 2010/10現在の物価
2010 バングラディッシュの旅 経費ノート | |||
10月12日 | Dhaka Airport | 現地通貨引出し(ATM)=10000TK(両替明細書保管の事) | |
ダッカ/Dhaka | 空港ーモカハタ・バスターミナル/バス代 | 200TK | |
モカハタBSーAdullahpur/バス代 | 300TK | ||
チップ(運転手) | 100TK | ||
Dhakaーディナジプール/バス予約代 | 300TK | ||
▲ホテル代 | 1100TK | ||
夕食(中華/水/チップ) | 200TK | ||
バス持込携帯食(果物/パン/水) | 160TK | ||
10月13日 | ディナジプール | 朝食(チャパティ/オムレツ/紅茶) | 30TK |
トイレ | 10TK | ||
間食(アイス/マンゴジュース) | 60TK | ||
リークシャ(バス停ーYMCA) | 90TK | ||
▲YMCA | 1000TK | ||
夕食(チキンヌードル・野菜サラダ・焼き飯) | 250TK | ||
10月14日 | ディナジプール | 両替(100US$X@72TK=7200TK | |
YMCAーカンタナガル往復/リークシャ代+チップ | 1000TK | ||
●カンタナガル(入場料/ガイド料) | 1160TK | ||
水/トイレ | 34TK | ||
日用品(ティッシュ/水/蚊取線香) | 50TK | ||
昼食ーライス/野菜炒/アイス/水 | 100TK | ||
携帯食ーリンゴ6/オレンジ2/アイス/水 | 195TK | ||
夕食(中華/水/チップ) | 150TK | ||
▲YMCA | 1000TK | ||
10月15日 | ディナジプール | ●カンタナガル2日目(ジボン入場料/ガイド料) | 1000TK |
リークシャ(YMCAーバスターミナル) | 30TK | ||
バス代(ディナジプールーヒルズHills) | 60TK | ||
バスターミナル移動(リークシャ/チップ) | 40TK | ||
バス代(Hills-ジョイプルハット) | 40TK | ||
バス代(Hills-パハルプール) | 30TK | ||
ジョイプルハット | ●世界遺産パハルプール入場料 | 100TK | |
▲ゲストハウス・マシュ-ズ(食事つき)+チップ | 500TK | ||
10月16日 | ジョイプルハット | リークシャ(GH⇔パハルプール往復)@30TK+チップ50TK | 110TK |
バス代(ジョイプルハットーモハスタン) | 50TK | ||
昼食(揚げパン2/7UP) | 60TK | ||
●モハスタン遺跡ガイド代 | 45TK | ||
リークシャ(モハスタン遺跡ーボグラーゲストハウス) | 50TK | ||
ボグラ | ▲Akboria Grand Hotel | 750TK | |
お土産(民族衣装) | 700TK | ||
間食(アイス/クッキー) | 100TK | ||
10月17日 | バス代(ボグラ-プティア) | 80TK | |
ラジャヒRajshahi | バス代(プティア-ラジャヒ) | 30TK | |
リークシャ(バス停―ホテル) | 50TK | ||
▲スカイ ホテルSky Hotel(TV/シャワー/天井扇) | 200TK | ||
昼食(チャパティ/肉まん/コーク) | 85TK | ||
果物(バナナ4/りんご3/オレンジ/水/アイス) | 133TK | ||
ボーイチップ | 50KT | ||
夕食(ナン/鶏1/2/コーク) | 267TK | ||
10月18日 | ラジャヒRajshahi | バス代(Rajshahi-Chot Shona Mosjit) | 80TK |
リークシャ(ホテルーバスターミナル) | 70TK | ||
両替CashCard=10000K | |||
昼食(焼きめし/チキン/水) | 140TK | ||
携帯食(コーク/バナナ7/アイス/ビスケット2) | 100TK | ||
▲スカイ ホテルSky Hotel(TV/シャワー/天井扇) | 200TK | ||
10月19日 | ラジャヒRajshahi | バス代(ラジャヒールクナ) | 280TK |
リークシャ(ホテル―バスターミナル) | 31TK | ||
昼食(ピロシキ2/揚げパン/マンゴJ) | 40TK | ||
携帯食(水3L/バナナ15) | 60TK | ||
クルナKhulna | 夕食(ナン2/オムレツ/カレー/デザート) | 35TK | |
▲PARK HOTEL(TV/クーラ付デラックス) | 1250TK | ||
10月20日 | クルナKhulna | 朝食(ナン2/カレー/7UP) | 45TK |
バス代(クルナーバゲルハットBagerhat) | 130TK | ||
●世界遺産シャイトコンブス・モスジット入場券 | 100TK | ||
乗船・入港税 | 3TK | ||
三輪オート(港ーホテル) | 100TK | ||
リークシャによる街散策 | 85TK | ||
▲PARK HOTEL(TV/クーラ付デラックス) | 1250TK | ||
10月21日 | クルナKhulna | 朝食(オムレツ/ナン/カレー/7UP) | 40TK |
<休息日> | 昼食・夕食(ホテルレストラン/チップ) | 241TK | |
▲PARK HOTEL(TV/クーラ付デラックス) | 1250TK | ||
10月22日 | クルナKhulna | 果物(オレンジ4/リンゴ4) | 160TK |
船乗船代(Khulna➡Dhaka)ガンジス川クルーズ船 | 1500TK | ||
<Rocket Stream号>乗船/ダッカに向かう | |||
夕飯(ピロシキ4/7UP) | 50TK | ||
クルナ出航 | ▲船中泊 | 船代込 | |
10月23日 | クルージング | ルームボーイ/チップ | 80TK |
船上昼食/水2L /紅茶/新聞 | 200TK | ||
10月24日 | 船上朝食(オムレツ大/トースト/ジャム/フィッシュポテト) | 150TK | |
昼食(ナン2/カレー/7UP) | 65TK | ||
▲インペリアル・ホテル | 800TK | ||
ダッカDhaka | 昼食(揚げパン6/コーク) | 110TK | |
お土産 | 485TK | ||
▲インペリアル・ホテル | 800TK | ||
10月25日 | ダッカ散策 | 朝食(ドーナツ2/紅茶/アイスクリーム) | 60TK |
昼食(スパゲッテイ/7UP) | 60TK | ||
夕食(野菜サンド/コーク) | 60TK | ||
▲インペリアル・ホテル | 800TK | ||
10月26日 | ダッカDhaka | バス代(ホテルー空港) | 20TK |
朝食 | 105TK | ||
空港にて現地通貨再両替(現地通貨残7000TK/@1.25TK) | |||
経費小計:1円=@1.3TK= 26618円 | 20925TK | ||
15日間 バングラデシュの旅 | 航空運賃 114750円 | ||
旅行総経費 141368円 | |||
(2010年当時の物価) |
By Sanehisa Goto