ウランバードルから南へ約550km、モンゴル南部のゴビ砂漠に位置するダランザドガドは南ゴビ県の県庁所在地であり、人口は約16000人で、大多数の住民はゲル村をつくって住んでいる。大きな建物といえば、スタジアムや国立博物館、ホテル、マンションアパート、公共の建物などである。
ウランバードルよりの長距離バスは、街中にある旧バスターミナルに着いた。
旧バスターミナルに面してスーパーマーケットがあり、衣料品と食料品を手に入れることができる。
なお、ウランバードル行き長距離新バスターミナルは、街の中心より北へ約3km、徒歩で約40分、タクシーで15分のところに移転している。
中心街は新市街地にあり、ホテル、銀行、郵便局、電話局、学校、病院、ガソリンスタンドなどがある。南北を分断するように東西に延びる公園の南側がダウンタウンである。ここには雑貨店やマーケットが並ぶ。
新市街地より北へ5分ほど行くとゲル村がひろがり、さらに北へ進むと新長距離バスターミナルへとつづく。
降車した旧バスターミナルから西にのびる公園伝いに約350m行くと、新バスターミナルに向かうメインストリートに出る。
メインストリートとの角の広場にT.ポル(反革命分子との闘争で、若くして命を落とした南ゴビ出身の生年同眼の女性・1971年にモンゴル人民共和国英雄の称号をうける)の記念碑の彫像が立つ。
革命戦士 T.ポル像 北約3km先にある新バスターミナル
メインストリートを北(右)へ曲がってすすむと、右手に「ホテル・ダランザドガド」(旧ゲストハウス・デビシル)、左手に「ホテル・ゴビ ゴルバン サイハン」がある。
「ホテル・ダランザドガド」は新築で、シングル60000Tg=約3000円 (旧デビシル・ゲストハウス)
「ホテル・ゴビ ゴルバン サイハン」は、ツイン15000Tg=約750円であるが、シャワーなし、トイレ共同
情報収集のため部屋を借りた「ホテル・ゴビ ゴルバン サイハン」 と 部屋の様子
ゴビ砂漠での露営を計画しているので、露営の準備、食糧調達、情報収集のため「ホテル・ゴビ ゴルバン サイハン」に部屋を借りる。街に出て情報を集めると、すでにゴビ砂漠の真ん中におり、求める砂丘はステップ草原に小さいがわずかに点在するにすぎないという。
「ゴビは砂漠である」という常識はふっとび、現状のモンゴル大草原がゴビ砂漠であることを認識させられた。
これから露営するゴビ砂漠は、5~20cmほどの短い草がまばらに生え、小さな瓦礫がセメント状の土をおおっている。
歩くとセメントの粉末状の砂塵が舞いあがり、足跡がくっきりと残る。
友となったホテルマンであるボジ氏(Mr. Bozy)と「GOBISANDS HOTEL」の最上階にあるレストランでダランザドガドの夜景を楽しみながら夕食をとり、ゴビ砂漠での露営とトレッキングのアドバイスを受けた。
ゴビ砂漠の微細砂土できた足跡 GOBI SANDSHOTEL ホテル最上階のレストランでボジ氏と夕食
◎南ゴビ砂漠での露営
日が沈む前、午後7時にホテル「ゴビ ゴルバン サイハン」をチェックアウト。予定設営地にむかって行動を開始する。日没は午後10時30分ごろなので約3時間のゴビ砂漠でのトレッキングを楽しむことにした。
不毛の砂漠にも生き物はいる。ガタガタと羽をこすりあわせて大きな音をだすバッタたちが飛び交い
まばらに生える背の低い草たちも素敵な花を咲かせている
夕日がぼくの長い影をゴビの大地に描き出し
遠く大地に溶け入りそうに、ゴビに横たわっているゴビ・ゴルバン・サイハン山脈が夕日に浮かぶ
時として地平線上に浮かぶ蜃気楼の島々、自然の織りなす動画や、アートに釘付けになり
一陣の風にさえ体がこたえる
ゴビ砂漠の大地の表面は礫が覆い、トレッキングにむいている。
足跡は下層の土にくっきり残し、すこしの風でもセメントの粉のように舞い上がる。
ここは憧れのゴビ砂漠である。夢にまで見たゴビでの露営地へ向かってトレックを開始した。
露営地は、ダランザドガド北、約6km地点に決める。
砂漠での道迷い、いや行方不明を防止するため<GPSロケーションファインダーBACK・TRACK>に
出発地点である現在地(マーク地点>を記憶させる。
マーク地点から離れると距離と矢印が表示される。
360度、目印や目標物のないゴビ砂漠で、矢印に従って進むとマークした地点まで戻ることができる。
7月のモンゴル、出会った雨というほどの雨はなかった。大陸高地の湿気の少ないからっとした快適な気候である。
過酷な乾期にいのち育む、可憐な砂漠の草や花たち、そしてバッタたちが出迎えてくれた。
トレッキングを励ましてくれた砂漠の妖精たち <ゴビバッタ>
ただ昼間は、高地(平均して1500km)なので直射日光は容赦なくその熱を体にふりそそぐ。十分な水分補給にくわえ、長袖の上下、帽子が必要である。
この熱さをすこしでもやわらげるために、出来るだけTシャツを水で濡らし着込んで体温を下げた。
20分ほどで乾燥してしまい、耐熱水シャツもすぐに効果がなくなる。
ゴビ砂漠では、今回持参した昔懐かしい団扇(うちわ)が役だった。
ゴビ砂漠での露営、トレッキング、星座観察、朝夕焼けなど写真を交えて紹介したい。
◎ゴビ砂漠でテントを張る
露営地に到着した。
N43‘35’33‘72(北緯) / E 104’24‘27’19(東経) がゴビ砂漠での露営地の仮住所である。
ここは標高1455m、大気圧は現在845hpa・ヘクトパスカルである。
風向き、星空観察などの条件に合うようにテントの位置をきめ、愛用のモンベル一人用テントをはる。
砂塵の侵入をふせぐため、グラウンドシートを二重に敷き、四隅に砂嚢(強風対策として袋に砂をつめた重し)
を置く。
テントを張り終え、今回はじめて持参した携帯食である「Calbee フルグラ」(シリアル)をかじる。
栄養剤として「Q&Pコーワ2錠・マルチビタミン1錠・めいらくアホエン(ニンニクエキス)2カプセル」と持病薬を
口に放り込む。
ゴビの砂漠に強風が吹きぬけ、陽も傾いてきた。 テントを張り、ゴビ砂漠での眠りの準備をする。
テントも夕やみにつつまれ、静けさを愉しむ。
2017『星の巡礼 モンゴル紀行 』 6 につづく