2017『星の巡礼 モンゴル紀行 』 6
◎ ゴビ砂漠の夕焼け、朝焼けに遊ぶ
―テントで楽しむゴビ砂漠―
午後10時30分、夕日が斜めにさし、砂漠を朧に包み込みつつある。
風強くなり、涼しくなってきた。夕日の染まる大空に白雲浮かびて、遠くの山並みはモルゲンロート現象に
赤く染まり、幽玄の世界のはじまりである。
ゴビには山脈があることはすでに述べた。砂丘もほとんどない、常識的な砂漠ではない。
ゴビ砂漠は、夜に近づくにしたがって風が強くなり、日が沈むと昼の灼熱が一転、気温も下がる。
深夜、体は震え、ダウンを着込み、寝袋に潜り込んだ。
そして、たまらず蝋燭の火で暖をとった。(テント内での火気は厳禁なのだが・・・)
僕の宇宙カプセルはゴビ砂漠に着陸した
カプセル内の僕
人類の炎
ゴビの詩(うた)
詩 後藤實久
ゴビの砂漠に沈む夕陽
茜色に染まりて 一片の雲を残す
待宵月(まつよいづき)に寄り添いて
変化自在の地平にとける
影なる羊 鳴き声残し
風に漂いて 砂漠に消えゆく
ああわれいまゴビにおりて
乾きし大地を 泪濡らしおる
ゴビ砂漠での露営を歌う
詩 後藤實久
テントを張るに、幾度も強風に飛ばされ
日が沈むと風ますます強まり、寒さ襲いくる
深夜の強風テントをゆがめ、その風歌高鳴る
遠くブリザードなる騒音、胸騒がせて耳を澄ます
暁、気温さらに下がりて、重ね着するも寒さあり
テント火気厳禁、だがローソクに点火、室温上げし
朝方、さらなる強風にテント傾き、体転びて驚く
日の出とともに、かすかに熱風はこび来て
熱砂の砂漠、今日も又戻りくるが、いまだ眠し
星と遊ぶ
詩 後藤實久
夜半起き出でて、満天の星座を観賞す
北天を見るに、地平線近き左に逆さ北斗七星
右にカシオペア座ありて、われに微笑む
普遍なる、皇帝の如し北極星、輝きて鎮座し
強風にわれ揺れ、星たちの姿定まらずして
星たちも踊りて、大気の揺れにとどまらず
女神なる明けの明星 04:40 東方に確認す
風が熱を運んでくる。猛暑になる前に撤収をはじめる。テントはセメントの粉を吹きつけられたように汚れている。歩くとセメントのような微粒子が舞い上がり、目や鼻に襲いかかる。肌や頭皮が白粉を塗ったようにさらさらしている。デジカメをジップ尽きプラ袋に収めて砂塵よりまもる。
モンゴル ゴビ砂漠に目覚める
◎ゴビ砂漠露営・トレッキング携行品 - 2泊3泊分
今回、持参した砂漠で露営するときの基本的な携行品を書きだしておく。
・水6L = (移動用2Lペットボトル-2本)・水(非常用ナイロン製水嚢2L-1袋)
ほか排尿浄水器と集水キット
・食糧 = 主食7+非常食2+行動食 (フルグラ・シリアル/チキンラーメン/ドライフルーツ/チョコ/
飴/チーズ/マヨネーズ)
・GPS = バックトラック「BACK TRACK・Bushnell」 (磁石機能式原点回帰用)
(高度・気圧・磁石・現在地確認(緯度経度)・現地時間・防砂ほか)
・露営用一式 = 一人用テント(防虫網・ポール・砂用板杭付)・NASA防熱寒シート・エアーマット・
ダウン上下・超軽量寝袋・ヘッドライト・防水マッチ・カッターナイフ
・遮熱小物= 巻スカーフ・折畳み傘・団扇・タオル
本格的に砂漠でサバイバルしてみたい猛者は、マスター・キートンMASTER KEATON「黒と白の熱砂・砂漠のカーリマン」のように軍隊や特殊機関におけるサバイバル訓練を受けられるか、決死の砂漠体験を自ら行うことをおすすめする。
ここでいうサバイバルキットを一切持たず砂漠に立ってみることである。ただし緊急脱出等の万全の準備を手配したうえで実施されることをおすすめする。まずは自宅の庭から試みられるとよい。
ゴビ砂漠では、地平線に沈む太陽をうけ、ながく伸びた自分の影をゴビに焼き付け、蜃気楼による黒い海へと
消えゆく陽炎をたのしんだ。
熱暑と暗冷、太陽と月、青空と星空、熱射と暗黒、その自然の織りなすコントラストは神への感謝へと
いざなわれた。
再度、神に感謝を述べたい。
2017『星の巡礼 モンゴル紀行 』 7 へつづく
―モンゴル縦断鉄道 寝台列車乗車記―