shiganosato-gotoの日記

星の巡礼者としてここ地球星での出会いを紹介しています。

2017『星の巡礼 モンゴル紀行 』 12

2017『星の巡礼 モンゴル紀行 』 12
 

■ モンゴル帝国帝都カラコルム(現ハラホリン)、オルホン川畔にて露営 ④

大草原に暮れゆくすっかりおなじみになった夕焼けをみながらの設営、夕食、寝床の準備、エアーマットへの息の
送り込み、蚊取り線香の煙の揺れ、暗黒の世界へのいざない、すべては終末への安らかな一歩である。

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                                                               天地創造 モンゴル大草原の落日に息をのむ

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                モンゴル大草原で露営する


ここがモンゴルの大草原、モンゴル大帝国の首都の跡と思うだけで心がたかぶり、ねむれそうにない。
騎馬軍団と共に、ずんぐりした体格のいい蒙古馬にまたがり、しんがりをつとめているわが姿を思い描きながら、夜空にさそう星たちの出現を待った。

オルホン川は暗闇に一本の黒帯となって地平に消えている。
オルホン川の流れは南から北へ流れている。どこへ流れ着くのであろう。持参した情報ノートには「ハラホリン
近くにあるハンガイ山脈に源を発し北へ1,124 km流れ、セレンガ川合流して、ロシア・バイカル湖にそそぐ」とある。

もし若かったら好きなカヤックで読書しながら下ってみたい静かな川であり、行きつくところは北極海である。
大冒険旅行になりそうな誘惑に満ちた川である。

都をつくるための立地条件が、ここカラコルムには備わっていたのである。その第一の条件が、モンゴルの母なる川、オルホン川なのである。水こそすべての文明の発祥の源である。

オルホン渓谷は世界遺産でもある。

深夜、気温が下がりだしたので、重ね着して寝袋カバーに潜り込んだ。
 
翌朝4:00、早く目覚めたのでオルホン川で顔を洗い、撤収をすませ、涼しい間にゴール地点であるハラホリン橋へ向かってヘッドライトを装着し、トレッキング開始。一日目の万歩計とGPSによると、あと18kmほどでゴールに着けそうである。

出発前に、冷やしチキンラーメン(水を注ぎ15分ほど放置)とシリアル(カルビー・フルグラ)を腹におさめ、常備薬、Q&PKOWA、ニンニク錠アホエン、マルチビタミン剤を放り込む。

暗がりに乾燥した黒いピーナツ状のものや、どくろを巻いたものをみると、この辺りにも羊や牛たちが水を飲みにやってきていることがわかる。遠くに道が走っているのであろうか車のヘッドライトがモンゴル高原に一条の光を照らしながら遠ざかって行く。
 
朝日が昇りはじめると気温が急上昇し、一本の木もない大草原は熱をためはじめた。
暑さと戦いながら、オルホン川の流れに逆らって南へもくもくとすすむ。遠くに馬の群れ、草原に頭を垂れもくもくと草を食んでいる。

かってここにモンゴル帝国の首都カラコルムがあったとは驚きである。時間という流れは、すべてのものを自然に戻してしまうことがわかるように、文明も人間の営みもすべて消し去り、歴史としてかたりつがれていく。
                                 
 
広大なモンゴルの大草原を歩いている己の影を追いかけている間に、ハラホリンの郊外にあるゴール地点オルホン橋に
 
10:30amに到着した。
 
無事、約28kmのオルホン渓谷トレッキングを終えたことに感謝した。
 
モンゴルでの夢がすべて成就した瞬間である。
 
 
 
熱さをしのぐためテントを張り、吹き出た汗でまみれたTシャツを川で洗い着用、急冷の体が喜びの声を上げる。
 
しかし、湿ったTシャツはほぼ15分で乾き切ってしまう。モンゴル高原の夏は耐えがたい熱さである。
 
テントの中で涼をとり、裸でスケッチをしたり、持参したモンゴル帝国史書を読みふけり、斜陽を待った。

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オルホン渓谷トレッキング・最終地オルホン橋に到着

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暑さを避けるためオルホン川畔にテントを張る (正面はオルホン橋)

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テントの中で暑さをしのぎながらスケッチを楽しむ
 
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                     テント内からオルホン川にかかるオルホン橋をスケッチする     
 
 オルホン川より、ベースキャンプであるGAYA GUEST HOUSEまでは5kmほどある。ゲストハウスのある分岐まで立派なアスファルト路がつづき、途中には数軒のマーケット(ミニショップ)がある。あまりの暑さにアイスクリームと冷えたソフトドリンクを買い求めて、体をクールダウンさせた。

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 豊かなるオルホン川
 
<ああわれオルホン川におりて>
詩 後藤實久
 
モンゴル帝国を支えた水がめにして
 
悠久の流れは変わらず現在を流るる
 

チンギス・ハーンという英雄の夢乗せて
 
その流れは北海へと流れゆく
 

オルホン川の水に手をひたしおるに
 
水の精、わが魂に宿りきて満つるなり
 

ああわれいま、オルホン川畔におりて
 
モンゴル帝国の戦士と会いまみえしや



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  念願のゴビ砂漠とオルホン渓谷でのトレッキングと露営が成就する。
  携行食料で祝う  (いわし缶・ビスケット・シリアル・ミネラルウオーター)

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  黒山羊たちに見送られハラホリン(旧カラコルム)を後にする。



               2017『星の巡礼 モンゴル紀行 』 13 へつづく

                            ―モンゴル帝国チンギス・ハーンに関する考察