shiganosato-gotoの日記

星の巡礼者としてここ地球星での出会いを紹介しています。

2017『星の巡礼 モンゴル紀行 』 10

2017『星の巡礼 モンゴル紀行 』 10


■ モンゴル帝国帝都カラコルム(現ハラホリン)、オルホン川畔にて露営 ②


◎ 世界遺産「エルデニ・ゾー」

オルホン川での露営、トレッキングの前に、オルホン渓谷の文化的景観である世界遺産「エルデニ・ゾー」を観賞した。

 
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ストウーパで囲まれた世界遺産「エルデニ・ゾー」
 
 

モンゴル帝国首都カラコルム(ハラホリン)はモンゴルの真中、臍の位置にある。

 

ランバードルより西へ約300km離れたモンゴル大草原のなかに、モンゴル帝国の往時を偲ぶ寺院群「エルデニ・ゾー」がひっそりと遺されている。

 

ハラホリンという古都カラコルムが、モンゴル帝国の首都としてその栄華を誇ったであろうことは、その広大な平原に都が築かれていたであろうことで想像できる。

 

現在のハラホリンの街は、「エルデニ・ゾー」の南側からオルホン川にかけてゲル村を形成し、観光に頼る小さな地方都市である。

 

モンゴル帝国の栄枯盛衰の夢にあつまる訪問客は、このモンゴル大平原に消滅した幻の帝都にノスタルジーを感じる。

 

モンゴル帝国、旧帝都カラコルムの歴史をみることにより、現在の観光地ハラホリンの成り立ちを見ておきたい。

 

9世紀にウイグル帝国が現在のハラホリンの前進の町を造っている。 1235年、チンギス・ハーンの次男、モンゴル帝国第二代のオゴタイ・ハーンがここに都を建設し、壮麗な宮殿や寺院群が建設され、カラコルム命名されたという。

 

当時、この帝国の首都を訪れたマルコポーロ旅行記に、ハーン(皇帝)の壮麗な宮殿と多くの仏教寺院があり、沢山の建物が建ち並んでいたと書かれている。

 

ユーラシア大陸の中心にあった帝都カラコルムは、東西交易の中心地で世界の文物や民族が集まる国際都市であった。

第五代ハーン(皇帝)のフビライ・ハーンがカンバリク(現在の北京)に都を移し、帝国の首都の機能は失われたが、モンゴル地域の中心都市として栄えたとある。

 

しかし、15代トゴーントウムル・ハーンがタハイという城壁都市を造って移転したことにより、古都カラコルムは衰退を繰り返し、現在のハラホリンとして残った。


「エルデニ・ゾー」は、地方の遊牧君主たちの群雄割拠がはじまり、人々の信頼獲得のためチベット仏教の力を借りるためラマ僧の指導のもとに建立された。
1917年にはストウーパに囲まれた「エルデニ・ゾー」の境内に62棟の寺院と500の建物があり、10000人を超す僧侶が居住していたといわれる。

1936~39年にかけて、モンゴルの共産革命後、ソビエト連邦の政治的弾圧によりモンゴル全土で17000人の僧侶が粛清、惨殺された。
1938年当時、「エルデニ・ゾー」は破壊され18棟に減り、僧侶の多くが殺され64人になったので、全員還俗し、閉鎖されたという。

現在は、国家保護を受けた唯一つのモンゴル建築物として公開されている。
 
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 世界遺産「エルデニ・ゾー」入口(東門)

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「 ゴルバン・ゾー 」(三つの寺)   中国式木造建築物 (左より西寺・中央寺・東寺の伽藍が並ぶ)
 
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ラブラン・ゾー (ラブラン寺)は、 僧堂として使われ、沢山の僧侶が修行に励んでいる
 
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 チンギス・ハーン率いるモンゴル帝国将兵が炊飯した鉄なべが並ぶ
 

「エルデニ・ゾー」の西口から一歩外に出ると、旧帝都カラコルムの街が大草原の中に広がっていたという。

エルデニ・ゾーを囲むストウパー一つ一つに五体投地をしながら巡礼し、祈りを捧げている熱心な信者さんを

みかける。

ベルギー人夫妻に声をかけられる。

どうもラブラン寺での細密スケッチをしていたわたしに興味をもったようで、親しくモンゴル帝国チンギス・ハーンの歴史について語らった。


「亀石をぜひ見てらっしゃい」という。

西口から西南約500m先に遺跡発掘現場があり、その手前に立派な亀石がある。


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 現存する亀石の中でその姿を破損されることなく残っている一つだという
               「エルデニ・ゾー」のストウパーの遠景が眺められる

ここは標高1470m、五位鷲が砂丘の湿地に静かに舞い降りる様は見事である。五位鷲を近くで観たい場合は、エルデニ・ゾーの入り口前で写真撮影用に飼われているので立ち寄ってみるとよい。
五位鷲の精悍な顔に、モンゴル帝国将兵の顔を重ねた。

断雲から漏れ来る夏日に、汗がしたたり落ちる。
ひんやりした水シャワーが心地よい。
ゲルには、東京からの正(まさ)さんと、ニュージランド・クラストチャーチからの青年と同宿と相成った。
出合とは、不思議なものである。

今夜もここモンゴル、それもモンゴル帝国帝都カラコルムで、それそれの人生が交差する。


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交差した人生の跡「エルデニ・ゾー」の寺院内に白い花が咲いていた
 
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 「エルデニ・ゾー」内、ラブラン寺のスケッチ
 
 
 
 
 
                                      2017『星の巡礼 モンゴル紀行 』 11 へつづく


               ―モンゴル帝国帝都カラコルム(現ハラホリン)、オルホン川畔にて露営 ③―