徒歩巡礼 8月24日
水呑王子をでるとしばらく古道の杉立ちを楽しみながら伏拝王子に向かう。
途中、菊水の里にでると里人による巡礼者へのメッセージがあたたかく迎えてくれる。
外国からの巡礼者へのWelcome Board もある。
あと4kmの道案内、ありがたい。
里人の声援がいちばんうれしい。
官制の道標に安心感をおぼえ、里人手作りの歓迎案内板にぬくもりと安堵感をおぼえたのは
巡礼者の共通した魂のたかまりからであろう。
なんといっても異国の巡礼路、手描きの英語表記にかれらは歓喜したに違いない。
かれらの顔が光り輝くのが見えるようだ。
これこそ大和のこころ≪お・も・て・な・し≫である。
熊野古道、それは大和(やまと)のこころを歩くことである
大和(やまと)のこころ≪お・も・て・な・し≫をみた
手描きの道標に里人のこころがうれしい
◎ 93伏拝王子(ふしおがみおうじ) 93伏拝王子▲244m ⇒ 94祓殿王子▲100m
⇒熊野本宮大社▲43m
D:距離 3.1km H:所要シニア時間 1時間25分
丘の上から熊野本宮(大斎原)の森を一望した旅人が、有難さのあまり平伏し拝んだといわれる「伏拝王子」にでる。
たぶん伏拝王子跡の石碑であろう、刻字が長年の風雪に摩耗してしまったのであろうか判読がむつかしい。
和泉の式部が大齋原(おおゆのはら)にむかって詠んだ和歌がある。
「晴れやらぬ 身のうき雲の たなびきて月のさわりと なるもかなしき」 和泉式部
それに対し権現は、月のさわりなど気にせずにお詣りなさいと返していると伝えられている。
伏拝王子の向かいに村民が経営する休憩所があり、その隣に公衆便所・水汲み場がある。
笠塔婆 「伏拝」石碑
左手・森部分に伏拝王子の碑
右手奥・丘の茶屋休憩所
右手中央・公衆トイレ
この広場にバス停「伏拝王子」がある。
伏拝王子を下って行くと古道専用の陸橋があり平坦な空間に出る。ここが三軒茶屋跡である。
三軒茶屋には熊野に入る参詣者をあらため、通行税(十文=約200円)を取っていたという九鬼ヶ口関所がある。
その手前に熊野路への分岐「左・紀三井寺右・高野」をしめす当時の石柱道標がある。 当時は熊野詣の巡礼者でにぎわっていた古道の分岐であったのであろう。
熊野路道標
右 かうや (高野)
三軒茶屋跡より、上りの石畳みや丸太を横にした階段古道がつづき、大齋原の日本一の大鳥居が見える展望台に立寄って下って行くと番号道標#75のある「祓殿王子」(祓戸王子―はらいどおうじ)にでる。
中辺路ゴール>
D:距離 約200m H: 所要シニア時間 5分
祓殿王子(はらいどおうじ)は、熊野本宮に詣でるまえにお祓いをうけるための王子跡だったようだ。
祓殿王子跡解説板には次のように書かれている。
「前世と現世に心身に積もった穢れを祓い清め、日本第一の霊験をもって知られる熊野三所権現の神威にすがって、祈願し、生命力を蘇らせることを目的とする熊野参詣では、禊ぎや祓いが重視された。中でもこの王子での祓いは、熊野本宮参詣の前に行うもので、これまでの道中での祓いにも増して重要であった。」
巡礼者としての姿勢の在り方に、現代のわれわれにも学ぶべきものがある。
94 祓殿王子跡全景
徒歩巡礼 8月24日 へつづく