『トンザン-サザジョウ道・白骨街道慰霊』 4
『ああわれいま アラカン山脈にありて』
詩 後藤實久
≪ ああわれいま アラカン山脈におりて
マニプール河を見下ろして
多くの斃れし将兵を慰めんとす
酒 地深くしみわたり 白米その白きを没す
線香天高く昇りゆき 埋もれし兵士の
声となって天にとどく
鈴の音 軽やかにアラカンに木霊して
その涼しき音色に 英霊こころ癒すや
その魂 西風にのって祖国日本に帰らん
ああわれいま ここトンザンにおりて
阿羅漢の主と 共に眠らんとす ≫
トンザン=ヤザジョウ道でアラカン山脈を背景に
トンザン=ヤザジョウ道の自動車新道(上)と旧道<日本軍進軍撤退路ー白骨街道>(下)
トンザン=ヤザジョウ旧道に設営、 アラカン山中にて祭壇を設け慰霊
トンザン=ヤザジョウ道にて作間連隊を想い慰霊する
アラカンの大地に眠る英霊に日本の味<米・梅干し・日本酒・天命水>を届ける
アラカン山脈を眼下に英霊と共に露営する
英霊と共に過ごす念願達成の瞬間である
アラカン山脈の英霊と共に一夜を過ごす
ああわれいまトンザンにありて
詩 後藤實久
《 ああわれいま アラカン山脈チン高地にありて
トンザンの激戦に従せし日英軍の両将兵と
七十年の歳月を越えてあいまみえおる
阿羅漢の山深き赤き地を真紅の血で償いて
何をや守り 獲らんとせしや 君たちに問ふ
チン族の人びとの平和な祈りを踏みにじり
おのれのなさんことのみに窮せしとき
平和や愛を省みない醜さに満ちたりし
ああわれいま 戦いを強いられ
おのれを捨てし すべての英霊と
チン族の無抵抗の亡きひとびとに
慰めと悲しみを共にするなり 》
《 ああわれいま マニプール川を望みし
アラカン山脈のチン高地に伏しおりて
醜い戦いに散りしおおくの将兵と語りおる
突撃せし日本兵 迎え撃ちし英印軍兵
たがいの顔を突き合わせたる肉弾戦
アラカンの地に屍をさらし退路続きて
白骨街道 靖国街道といわしめし
無謀なるいや無意味なる戦いを命じられ
無念の涙流して命すてし兵の哀れをなげく
ここトンザンの夜天に輝きしオリオンの
70年の輝きをいまわれはみるなり
遠くに犬の遠吠えありて上弦の月に響く
われ静寂を破りし英霊の声をきくなり》
《 ああわれいま 阿羅漢山脈 トンザンにおりて
わがこころに迫りくる宇宙の波 怨念の波動ありて
安らかに眠らんとする将兵の願い伝わりきし
静寂にその声たかまりて
わが背筋を伸ばして
線香の煙に 巡礼の鈴の音に ひとり舞うなり
この悠久の祈りに馳せ参ぜし将兵の御霊ありて
いまは彼我なく手をとりあいて
ともに神の子たるを喜ぶなり 》