shiganosato-gotoの日記

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2019『星の巡礼 びわ湖冬景色・老人自転車ひとり旅』⑬

びわ湖冬景色―近江の歴史をたどる老人自転車ひとり旅』 ⑬
                                                                

■ 日目びわ湖一周のルート案内  Ⅲ  (20192月20日)
   
 
     <▲ 西浅井 大浦浜 ⇒  JR志賀駅 スタート地点に戻る  48km>


<ビワイチ・チェックポイント・JR高島駅観光案内所>

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ビワイチ・チェックポイントJR高島駅観光案内所とクイズ


高島町―大溝城下町>

高島町―大溝(おおみぞ)は、古くから都のあった奈良や京都そして日本海を結ぶ交通の重要拠点として発達した。  
一帯は、古代北陸道の三尾宿や、湖上交通の主要港・勝野津があったとされ、水陸交通の交差点として絶えず旅人や物資のゆきかう場所であった。 
 
また内湖である乙女ヶ池のあたりは、信長時代には大溝城の水堀として利用されるなど、軍事の要衝でもあった。  
そうした地形的特徴に加え、背後にそびえる比良山系の清らかな伏流水にも恵まれ、戦国時代末期の城下町建設時においてすでに上下水道が整えられ、まち全体に生活用水・防火用水のための水路が張り巡らされていた。 
豊富な水を利用して酒(萩の露)・醤油などの発酵食や染織などの文化も育まれていった。
 
現在も、文化芸術の里として多くの芸術家が移り住んで、いろいろな町おこし活動が息づいている。その代表的なものが大溝城下町の町並みを生かした<高島びれっじ>館であり、創作活動を支援し、地場農産物などを紹介・販売している。
 
今なお、高島の街道筋は、昔の面影が残り、賑やかな宿場町であったであろうことがうかがい
知れる。
古き良き中に先進性があり、北陸と近畿の真ん中にあって文化や芸術が交わり、独自性を生みだす高島、わたしの好きな街である。

歴史の風を受けながら、古きなかにも今に生きる高島の街をサイクルしてみてはいかがだろうか。

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大溝城下町の一角 江戸屋町 の升形
 
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大溝城跡の城壁遺構



<高島を抜けると白髭神社の朱色の湖上鳥居が目に飛び込んでくる>
 
近江の厳島として親しまれ、若い人たちのパワースポットとして知られている白髭神社がある。
WC/水補給)

びわ湖に浮かぶ朱塗鳥居もまた、時間によってまたは季節によってその背景や姿を変えるさまは
魅力的である。

その神社創建が、なんと1900年前の第11代垂仁天皇の頃で、近江最古の神社であるという
から驚かされる。


境内には、多くの歌人の歌碑があり、ゆっくりと歌を楽しむのもいい。
わたしの好きな紫式部の和歌、与謝野鉄幹・晶子合作の短歌と芭蕉の句を鑑賞した。
 
「三尾の海に 網引く民の ひまもなく 立居につけて 都恋しも」   紫式部


みをのうみに つなひくたみの てまもなく たちゐにつけて みやここいしも―
三尾が崎で綱を引く漁民が、手を休めるひまもなく、立ったりしゃがんだりして働いているのを
見るにつけて、
都が恋しいことである

 
「しらひげの  神の御前にわくいずみ これをむすべば 人の清まる」  与謝野鉄幹・晶子


鉄幹・晶子夫妻が白髭神社に参詣したおり、社前に湧き出る水の清らかさを詠んだ二人の合作。


 
「四方より 花吹入れて 鳰の湖」   芭蕉    
―しほうより はなふきいれて におのうみー


  びわ湖のまわりは、四方(しほう)から吹き入れてくる花吹雪で、湖面はすばらしい眺めである。


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湖上に建つ白髭神社の朱の鳥居をめざす
 

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白髭神社の朱の鳥居                                       白髭神社の駐車場にある芭蕉句碑「四方より」
 

白髭神社あたりで自転車通行可の歩道がなくなるので、対向車に注意しながら横断し、右側歩道を走ることになる。
もちろん車道にはビワイチ・ルートを示す青い矢印があるが、大型トラックの風圧や事故に巻き込まれることを避けるためにも右(西)側歩道を進むことをお勧めしたい。
 
また、ここは、大正91920)年から昭和441969)までの約半世紀、江若鉄道白髭神社の鳥居の
前を通っていた。
小学生の頃、大人に連れられて江若鉄道に揺られてびわ湖に泳ぎに行ったものである。
懐かしの白髭神社の朱の鳥居と江若鉄道の車両の写真を載せておきたい。
 
その後、江若鉄道を引き継いでいるのが、現在のJR湖西線である。


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昭 和40年ごろの江若鉄道と白髭浜水泳場大津市歴史博物館、江若交通蔵)
 

現在、白髭神社からJR北小松駅先まで湖西(高速)道路の延伸工事がなされている。
ビワイチ・ルートも迂回路となっているので、標識に従って自転車を走らせ、細心の注意を払うことが望まれる。
JR北小松駅を過ぎて、国道161号線を渡ったら、セブンイレブン(コンビニ)がある。


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比良山系を正面に自転車を南へ走らせる
 
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JR北小松駅付近の湖西道路延伸工事中


<琵琶湖周航の歌碑>

コンビニでソフトドリンクを飲み干して、ビワイチ・サイクルである県道307を南下すると、JR近江舞子駅の横を走り抜ける。ここ近江舞子駅裏の月見浜に「琵琶湖周航の歌碑」がある。

「琵琶湖周航の歌」は、大正61917)年6月、第三高等学校(現京都大学のフィックス艇クルーによる恒例のびわ湖周航の途次、現在の高島市今津町で生まれた。

びわ湖の美しい自然と、周航のロマンを情緒豊かに歌い上げているこの歌は、時代を超えて歌い継がれてきた。
だれでも青春時代に一度は歌ったことを思い出すであろう。
また、歌詞はびわ湖の美しい自然を歌い上げているので、ここに全歌詞を載せておきたい。
ぜひ口ずさんでみてほしい。


そしてびわ湖を一周する自転車の上で高らかに歌い上げて見ていただきたい。
思い出に残るびわ湖一周になるであろう。
 
 
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近江舞子の月見浜にある「琵琶湖周航の歌」歌碑(背後に沖島が浮かぶ)


「琵琶湖周航の歌」     作詞  小口  太郎
                  原曲  吉田  千秋


  われは湖の子  さすらいの
      
旅にしあれば  しみじみと
   
 のぼる狭霧や  さざなみの
      
志賀の都よ  いざさらば

  松は緑に  砂白き
      
雄松が里の  乙女子は
   
 赤い椿の  森蔭に
      
はかない恋に  泣くとかや

  浪のまにまに  漂えば
      
赤い泊火  なつかしみ
   
 行方定めぬ  浪枕
      
今日は今津か  長浜か

  瑠璃の花園  珊瑚の宮
      
古い伝えの  竹生島
   
 仏の御手に  いだかれて
      
ねむれ乙女子  やすらけく

  矢の根は  深く埋もれて
      
夏草しげき  堀のあと
   
 古城にひとり  佇めば
      
比良も伊吹も  夢のごと

  西国十番  長命寺
      
汚れ(けがれ)の現世(うつしよ)遠く去りて
   
 黄金の波に  いざ漕がん
      
語れ我が友  熱き心

 


万葉集にみる西近江の風景>


≪ さざ浪の 比良山風の 海吹けば 釣する海人の 袖返る見ゆ ≫     万葉集巻91715 
―さざなみの ひらやまかぜの うみふけば つりするあまの 袖かへるみゆー


 
楽浪(さざなみ)の地にそびえる比良山から吹き下ろす風が湖上に渡ると、釣船で糸を垂れる 海人の袖がひらひらとひるがえっている。


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近江舞子にある  万葉集「さざ浪の」歌碑

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びわ湖冬景色―近江の歴史をたどる老人自転車ひとり旅』⑭
(2019年2月20日) <▲ 西浅井 大浦浜 ⇒ JR志賀駅 スタート地点に戻る 48km> Ⅳ           
 につづく