■<潜伏キリシタンの里探訪 自転車の旅630km 6日目>⑧ 2018年9月6日
<一匹の真赤な小ガニさんの訪問>
真夜中の2時10分、雨粒がテントをたたく音に目を覚ました。
動く気配に灯を当ててみると一匹の真赤な小ガニ君が首をすくめている、いや足を折ってうずくまり愛嬌のある二つの目をこちらに向け笑いかけている。この旅での初めてのテント訪問者に思わず言葉をかけた。「ようこそわが家へ」
空と海の境を見極められない真っ暗闇、一文字に引かれた線のうえに煌めく熊本の灯が、吊るされた上弦の真紅の月と語り合う姿をカニさんとうっとり眺めた。雨粒もまたテントを打ちながら、浜に打ち寄せるささ波とコラボして心地よい旋律を奏でている。
今に生きる可愛い訪問者とともに過ぎゆく時を楽しんだ。
裸の体に寒さを覚えて、Tシャツを着込んだ。秋が近くにやってきている。
朝の尊厳なる太陽のもと、
「星の巡礼」の同行の士であり、病床に臥す友、ふたりの写真にもこの美しい天池創造の世界を楽しんでもらった。
有明海の朝日に遊ぶ 小山昌一君 田中祥介君(右)
テント訪問の小ガニ君
<仲間、「星の巡礼」隊員昇天す> (再掲)
生前の親交に感謝し、このブログを捧げるものである。
ご家族の長きにわたる献身的な介護に頭が下がる思いである。
永生 死 <讃美歌472より>
そぼふる小雨のはるるも待たで
こずえにしぼめる花のすがたや
おもえばはかなし みじかき夜の
むすべどあとなき 夢路に似たり
ゆうかぜ過ぐれば みだれて落つる
小萩の葉ずえの つゆのいのちか
小川のほとりに 小松が丘に
ともども祈りし むかしこいしも
わが主はやすけく みちびきたまわん
<船友 小山昌一君昇天す>
鉄道マニアで、「青春18きっぷ」をこよなく愛し、駅弁をほおばりながら車窓から大自然を楽しんだジェントルマン、タキシードがよく似合う貴公子であり、世界一周船旅の友であった小山昌一君。笑顔がすばらしい友であり、志賀の里・孤庵にも足をのばしよく夢を語り、過ぎさりし日の青春話に、血潮を燃えたたせたものである。ミヤンマー(旧ビルマ)のアラカン山脈に連なる白骨街道(太平洋戦争におけるインパール作戦撤退路)を共に縦走(写真同行)した飯盒の友でもある。
長きにわたる闘病の末、この旅の直前に天に召されていたことを帰宅後、奥さまより知らされた。
君、滔々と流れゆきてー
「 岩もあり 木の根もあれど さらさらと たださらさらと 水は流れる」
いついつまでも、清く美しい星の王子様として 星空に輝きしや
<弥次喜多コンビ 田中祥介君帰天す>
同志社ローバースカウトの大切な仲間であり、彼もまた列車時刻表を愛読し、駅弁をこよなく愛した鉄道マニアであった。同志社ローバー創立50年記念 「中山道てくてく弥次喜多道中」をはじめとして、多くの「星の巡礼」に写真同行した仲間であり、隊員の一人である。
秋の空 おもえば悲し 君 の影 み手に抱かれ 花の香りや
時迎え 紅葉散るらん 生駒山 備えよ常に スカウトや君
君往きて 無の風吹きし 侘しさや 弥次喜多追いし 朧月かな 實久
<さあ、つぎは長崎に向かって出発だ>
いま思えば、あの朝、テントを訪れた小さな真赤なカニ君は、二人からの使者だったのかもしれないと思うと、不思議とこころが癒され、二人に対する愛おしさが湧きあがってきたのである。祈りを、そして愛語を交感できる仲間が、生死に関係なくこの宇宙に存在するということはなんと素晴らしいことであろうか。感謝でいっぱいであり、今後も見守ってもらいたいものである。
この旅で出会った電車を鉄道マニアであった二人に贈りたい。
<タイヤの空気圧に悩む>
ここ諫早に来る前、前輪の空気圧が減り、小石の感触を尻が感じ始めた。携帯用空気入れで、圧の回復を図ったが、かえって空気圧を減らしてしまう始末。これでは前に進めないので、近くの自動車修理工場に飛び込んでコンプレッサにより回復をお願いした。
携帯用空気入れは、あくまでも緊急・応急用であり、規定の空気圧を満たすことはできないので注意が必要である。パンク修理後を含めて、携帯用空気入れを使用した場合は、自転車店やDEPOなどの大型スポーツ用品店で規定空気圧を満たすことである。
原因は、フランス式(フレンチ)バルブとの携帯用空気入れのフィット性に問題があったと思われる。
スガオートさんで、エアーコンプレサーに頼ることとなった。ご協力に感謝したい。
サイクリング中に空気圧低下のため、押して歩くことになることを想像してみてほしい、万全の準備と対策が望まれる。