『星の巡礼 頬杖の刻ー短歌集』
―ボーイスカウト元隊長を囲むOB有志の会に集いて―
西伊豆・小土肥温泉・『頬杖の刻』(ほおづえのとき)
2023_07_13~14
久しぶりに老友、元隊長時代のスカウト達のOB有志に囲まれて、西伊豆の小土居温泉で一夜を過ごした。
元隊長であるわたしはもちろん、参加者全員が70歳を超え、それぞれに与えられた
使命を果たし終えての豊かな再会であった。
それぞれの物語の主人公として生き抜いた顔には、安堵と優しさと、自信と満足の
顔が滲み出ていて、誇らしく思った。
82歳を弥栄<イヤサカ>で祝われ、祝いの言葉・品を贈られ、至福の時間を過ごす
こととなった。
感謝の一語に尽きる。
スカウト精神に導かれた仲間、各々が人生のバックボーンとしてスカウト精神に
導かれ、助けられたと自信に満ちた言葉で語ってくれた時は、己を重ねてボーイ
スカウトであったことに感謝した。
小土肥温泉での集いの合間に詠んだ短歌を紹介し、わたしからの感謝の言葉、
報告としたい。
幹事役のみなさんに、<頬杖の刻>での至福の時間を設けていただき、
心からお礼を申し上げたい。
2023年7月16日 志賀の里にて 後藤實久
(ボーイスカウト京都第11団BS隊元隊長)
《頬杖の刻 短歌集》
ーほおづえのときー
《透き通る 葉裏射す陽の 西伊豆に 流離いの子ら 集い契りし》
―すきとおる はうらさすひの にしいずで さすらいのこら つどいちぎりし―
《スカウトの 老いて集いし 伊豆の海 迎え嬉しき 頬杖の刻》
―すかうとの おいてつどいし いずのうみ ごくろうさまと ほおづきのとき―
《懐かしき 友集い来て 久闊の 伊豆の海見る 老いて豊けき》
―なつかしき ともつどいきて きゅうかつの いずのうみみる おいてゆたけき-
《幾年の 友の心の 優しさに 触れて嬉しき 涙溢るる》
―いくとしの とものこころのやさしさに ふれてうるしき まみだあふるる―
《入魂の ハンドメイドや 鹿の角 仕込みしナイフ こころ潤す》
―にゅうこんの はんどめいどや しかのつの しこみしないふ こころうるおす―
《再会の 友のこころや 変わりなく 心の侘びも 寂びも変わらじ》
―さいかいのとものこころや かわりなく こころのわびも さびもかわらじ―
《無一物 たらんと欲す 心意気 飲んで騒ぐや 煩悩の夜》
―むいちぶつ たらんとほっす こころいき のんでさわぐや ぼんのうのよる―
《スカウトも 久闊叙せど 老いのひと 昔のまんま 楽しからずや》
―すかうとも きゅうかつじょせど おいのひと むかしのまんま たのしからずや―
《土肥岬 湯船に揺れる 老いの皺 大海眺む 若き瞳や》
―といみさき ゆぶねにゆれる おいのしわ たいかいながむ わかきひとみや―
《旅の途次 向かいし浄土 集いてや 近きに求む やすらぎの里》
―たびのとじ むかいしじょうど つどいてや とおきもとむる やすらぎのさと―
《集い来て 青春咲かす スカウトの 老いて変わらじ 星の王子や》
―つどいきて せいしゅんさかす すかうとの おいてかわらじ ほしのおうじや―
《皺も増え こころ満ちたる 老骨の 土肥の温泉 花を咲かせし》
―しわもふえ こころみちたる ろうこつの といのおんせん はなをさかせし――
《湯上がりて 焚火囲みし バーベキュー 懐かしき歌 営火の祈り》
―ゆあがりて たきびかこみし ばーべきゅー なつかしきうた えいかのいのり―
《幾筋の 戯る波や 土肥の海 スカウト招く 旅人岬》
―いくすじの たわむるなみや といのうみ すかうとまねく たびびとみさき―
《スカウトの こころに残る 榾火(ほたび)燃え 追跡話し 想い出尽きじ》
―すかうとの こころにのこる ほたびもえ ついせきばなし おもいでつきじ―
《燃え上がる われら青春 焚火をや 瞳に映る 老顔優し》
―もえあがる われらせいしゅん たきびをや ひとみのうつる ろうがんやさし―
《願い星 老いしスカウト 聴き入れて 死して後もや スカウトなりと》
―ねがいぼし おいしすかうと ききいれて ししてのちも すかうとなりと―
《伊豆の海 変化自在の 浮雲に おのれ重ねて 旅路(人生)眺めし》
―いずのうみ へんげじざい うきぐもに おのれかさねて たびじながめし―
《老いてなお 追いしスカウト 北極星 導く君に 感謝せしや》
―おいてなお おいしすかうと ほっきょくせい みちびくきみに かんしゃせしや―
―しおさいに ゆらぐしろなみ といみさき すかうとつどう ろうじんとうみ―
《生き抜きて 足るを識りたる 君もまた 光り求めし スカウト仲間》
―いきぬきて たるをしりたる きみもまた ひかりもとめし すかうとなかま―
《手作りの マフィン嬉しき 友の味 焼き姿見ゆ 君の温もり》
―てづくりの まふぃんうれしき とものあじ やきすがたみゆ きみのぬくもり―
《光り受け 背中丸める 我おりて みなと触れてや 至福満ちにし》
―ひかりうけ せなかまるめる われおりて みなとふれてや しふくみちにし―
《無の風に 雲なす伊豆や 笑い満ち 語るも涙 聴きても涙》
―むのかぜに くもなすいずや わらいみち かたるもなみだ ききてもなみだ―
《集いきて 青春語る 土肥岬 笑いの中に 君もおりてや》
―つどいきて せいしゅんかたる といみさき わらいのなかに きみもおりてや―
《君なりの 背負いし重荷 成し終えて 笑いの中に 満ち足りおりし》
―きみなりの せおいしおもに なしおえて わらいのなかに みちたりおりし―
《贈られし 八十二を祝う Tシャツに 何をか言わん 至福の時に 》
―おくられし やそじをいわう Tしゃつに なにをかいわん しふくのときに―
《わが道を 貫き終えし スカウトの 静かな闘志 不気味な自信》
―わがみちを つらぬきおえし すかうとの しずかなとうし ぶきみなじしん―
《想い出の VSOP飲みし 土肥岬 我を染めゆく 暮色豊けき》
―おもいでの VSOPのみし といみさき われをそめゆく ぼしょくゆたけき―
《西伊豆の 漁村に燈る 漁火に 帳落ちてや 豊かさ覚ゆ》
―にしいずの ぎょそんにともる いさりびに とばりおちてや ゆたかさおぼゆ―
《スカウトの 血潮躍りし 舎営にて 隣りの鼾 老いの夏かも》
―すかうとの ちしおおどりし しゃえいにて となりのいびき おいのなつかも―
《歳背負い 集いし健児 土肥岬 靴(サンダル)を揃える こころ忘れじ》
―としせおい つどいしけんじ といみさき くつをそろえる こころわすれじ―
《歳重ね 久闊叙せし おいおまえ 焼きお握りに 和弓の話し》
―としかさね きゅうかつじょせし おいおまえ やきおにぎりに わきゅうのはなし―
《海風の 白髪なびかす 土肥岬 老兵集い 残心遺せし》
―うみかぜの しらがなびかす といみさき ろうへいつどい ざんしんのこせし―
《もう一つ マフィン食べたし 友の味 石窯に会う 日を願いしや》
―もうひとつ まふぃんたべたし とものあじ いしがまにあう ひをねがいしや―
《温もりの 握り離さぬ 手を重ね またの再会 いつの日にかと》
―ぬくもりの にぎりはなさぬ いぇをかさね またのさいかい いつのひにか―
JR修善寺駅にて
東海バス切符 土肥漁協経由バスW39系統に乗車
土肥漁港下車 小土肥温泉に徒歩で向かう
土肥漁港を眺めながら旅人岬へ
旅人岬よりの眺望
正面絶壁の上に一棟貸ハウスがある
《幾筋の 戯る波や 土肥の海 スカウト招く 旅人岬》
一棟貸ハウス ハウスは土肥港を見下ろす丘にある
《スカウトの 老いて集いし 伊豆の海 迎え嬉しき 頬杖の刻》
ハウスからの土肥港の眺望
エントランス 海を見渡すデッキ
《湯上がりて 焚火囲みし バーベキュー 懐かしき歌 営火の祈り》
《土肥岬 湯船に揺れる 老いの皺 大海眺む 若き瞳や》
《皺も増え こころ満ちたる 老骨の 土肥の温泉 花を咲かせし》
《集いきて 青春語る 土肥岬 笑いの中に 君もおりてや》
《幾年の 友の心の 優しさに 触れて嬉しき 涙溢るる》
《伊豆の海 変化自在の 浮雲に おのれ重ねて 旅路(人生)眺めし》
《歳重ね 久闊叙せし おいおまえ 焼きお握りに 和弓の話し》
Akira's Hand Made Craft Knife
《入魂の ハンドメイドや 鹿の角 仕込みしナイフ こころ潤す》
82 years old commemorative T-shirt
82歳祝いのTシャツを贈られて
《贈られし 八十二を祝う Tシャツに 何をか言わん 至福の時に 》
《透き通る 葉裏射す陽の 西伊豆に 流離いの子ら 集い契りし》
《海風の 白髪なびかす 土肥岬 老兵集い 残心遺せし》
《温もりの 握り離さぬ 手を重ね またの再会 いつの日にかと》
友情に感謝
―スカウトは死してのちもスカウトだー
Boy Scout Kyoto 11
Neckerchief
『頬杖の刻ー短歌集』
―ほおづえのとき―
ボーイスカウト元隊長を囲むOB有志の会に集いて
詠み人 後藤實久
完