shiganosato-gotoの日記

星の巡礼者としてここ地球星での出会いを紹介しています。

2003 『星の巡礼・カミーノ・デ・サンチャゴ自転車巡礼800kmの旅日記』 Ⅵ

2003 『星の巡礼・カミーノ・デ・サンチャゴ自転車巡礼800kmの旅日記』 Ⅵ
 
イメージ 1 《カミーノ・デ・サンチャゴ 自転車巡礼のすすめ》 ⑥


2003/8/17Sun. 《 カミーノ・デ・サンチャゴ巡礼路 7日目》 

㉒レオン / Leon    ㉔ポンフェラーダ /Ponferrada    走行距離 /積算距離  109km/485 km


 ◎アルベルゲ(巡礼宿)を朝5時半スタートする。


<レオン>


ここレオンと、つづく巡礼の街アストルガには、ガウディの建築作品があるということを知り、楽しみにしていた。

中世、レオンはイスラム勢力との主導権を争ったイベリア半島キリスト教徒都市の地として知られる。


レオンは、有名なゴシック様式レオン大聖堂ガウディの建築作品カサ・デ・ボティネースがあるのだ。


ここレオンの市民は正装に身をととのえ、教会の礼拝に向かっている。

聖堂や教会の尖塔の十字架が光り輝き、パイプオルガンの讃美歌のメロディーがカミーノ(巡礼路)に流れている。中世の建築物が、神の栄光を讃えているようである。


カミーノ(巡礼路)を歩くすべての巡礼者も神の祝福に満たされ、あとわずかに迫った目的地カミーノ・デ・コンポステーラへの導きに巡礼者のこころも魂も満たされるのである。

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ゴシック建築で有名なレオン大聖堂          ガウディのカサ・デ・ボティネース(1892年ごろの作品)
                                                                                      
ここレオン地方で産する黑ブドウ<プリエト・ピクド>によるワインは、濃厚な色合いと芳醇なアロマを持つ
ワインとなるのが特徴だそうだ。

「かすかにリコリスの香りが漂い、強い味わいに、しっかりとしたタンニンを味わえるワイン」であると

立寄ったバルの主人は、ティエラ・デ・レオンのワインの特徴を説明して、絶賛していた。


バルでの一杯の赤ワインに、この地の歴史が見えてくるようであった。イスラムとクリスチャニティの神を巡っ
ての血を血で洗う戦いの深い悲しみを味わうこととなった。

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レオン郊外ののブドウ畑は続く


 
<アストルガ>


アストルガは、県庁のあるレオンの西約45kmに位置する。ガウディがカタルーニャ以外で手掛けた、数少ない

建築物のひとつである「アストルガ司教館・EL PALACIO EPISCOPAL (エル・パラシオ・エピスコパル)がある。


また、アストルガ大聖堂(ゴシック様式)もカミーノ(巡礼路)の歴史を残している。大聖堂正面のバロック彫刻が
晴らしい。

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アストルガーガウディ設計の司教館                      アストルガ大聖堂ゴシック様式


今日は天気も、身体の調子も晴れやかだ。 アストルガの高原地帯をカミーノの風に押されて<アメージング・

グレイス>をハミングしながら自転車を走らせる。

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 アストルガ―の山岳地帯を走る



AmazingGrace


Theearth shall soon dissolve like snow,      やがて大地が雪のように解け
  The sun forbear to shine;                          
太陽が輝くのをやめても
         But God, Who called me here below,         
私を召された主は
                  Will be forever mine.                              
永遠に私のものだ



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ポンフェラーダ付近 1600m峠越え (裸で失礼!暑い!)



 

2003/8/18Mon. 《 カミーノ・デ・サンチャゴ巡礼路 8日目》 

㉔ポンフェラーダ / Ponferrada  ㉖ セブレイロ /Cebreiro     走行距離  80km/674 km


  8月18日 朝 6:00 スタート


ポンフェラーダ /Ponferrada


ポンフェラーダ の巡礼街は、夏のバケーションと週末を迎え、巡礼客や他の客で賑やかである。

野宿するつもりであったが、1600mの峠を自転車で押しあがったこともあって足がつったために

ホットシャワーのあるホテルに泊まることにした。

◎ 『 HOTEL EL CASTILLO 』      (51€)


朝4時、すでに気温は20度近くの暑さであり、熱風を肌に感じる。今日も暑そうである。

巡礼者の出発はみな早い。自転車巡礼組は、防犯上ホテルの廊下に並べた自転車を表に運び出す。

用意された朝食をかけこみ、水をボトルに詰め、自転車の各部位を点検して、安全を祈っての出発となる。



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サリアーに向けてポンフェラーダを出発する

 

<自転車巡礼における問題点と走らせ方④>


1.  峠が多く、坂を押して上がらなければならなず、こむら返りや、筋肉痛に悩まされる(若さと体力が必要)

    巡礼路の峠の下りはスピードを楽しむどころか、砂利道も多く股関節がサドルに当たり痣(アザ)ができて痛い    (もちろん舗装道路の下り坂では、歓声を上げてのライディングとなる)


2.  夏とはいえ、暑さを避けて夜走ると、寒風に鳴かされた。雨具を重ね着してしのぐ


3.  自転車に乗ったままで峠越えをするには、持参したマウンテンバイク(自転車)を乗りこなせるよう出発前に
    訓練しておく必要がある。(わたし以外、誰一人として峠での自転車押しはいなかった)


4.  パンク、ブレーキの調整などの基本的な修理方法を習熟しておくこと(今回、パンク1回とブレーキ修理実施)


峠にかかり自転車を押して上がっていると、自転車巡礼のみなが心配して声をかけてくる。「お前の自転車、

大丈夫か」と。「高齢だから押しているんだ」とも言えず、体力のなさを嘆いたものだ。


1600m級の峠越えすら誰一人、自転車から降りて押しあがっている者などひとりもいない。体の小さなご婦人でさえ、あの急な上りを立ち漕ぎして上りきっている。自転車巡礼の試練をひとつ乗り越えているのだ。


股関節の骨がマウンテンバイクのサドルの一点に当たり、痣(アザ)ができ痛々しい。


カミーノ(巡礼路)の砂利道、凸凹道は容赦なく体を痛めてくれる。時にはサドルに座ることすら苦痛で、立ち漕ぎを余儀なくさせられた。カミーノ(巡礼路)は自転車巡礼にとっても苦難の道である。


ホテルのバスタブで熱い湯をため固まった脚の筋肉をほぐし、数日間の疲れをとることができ、朝6時の出発は心身ともに晴々としていた。


ほのかに東の空が白んできた。遠くで鶏が朝の到来をカミーノ(巡礼路)にいるペレグリーノ(巡礼者)全員に時を告げている。


<さあ、今日という日を神と共に歩もう! ウルトレーヤ!>


巡礼村を流れる小川が奏でるメローディーに合わせて小鳥たちも囀っているではないか。愛車もわたしもこころが浮き立っている。わたしも手をあげて天に向かって叫んだ。


<ウルトレーヤ!  ビバ・カミーノ!>


 


<パンク修理⑤>


カミーノ(巡礼路)の最後の登山路登り口にあるベガ村に入って愛車マウンテンバイクのパンクに気付いた。村にはかならずフォンティーン(水場)があるので安心して修理にとりかかる。


パンク修理にはパンク個所を特定するためにゴムのチューブに空気を入れ、水に通してエアバブル(気泡)を見つけるため水が絶対的に必要である。


自転車でサイクリングを愉しむかぎり、いや海外に出かけるのであればパンク修理は必須の技術である。出かける前に実地習熟しておくことをおすすめする。わたしの場合、パンク修理に20分を要した。


 

< ビラフランカ・デル・ビエルソ  / Villafranca del Bierzo


 

出発地サン・ジャン・ピエ・ド・ポーから617km、ずいぶん自転車を走らせてきたものだ。終着のサンチャゴ・デ・コンポステーラまで187kmの地点にたどり着いた。

 

この街ビラフランカ・デル・ビエルソは、9世紀ごろからサンチャゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼者によって栄えた典型的な巡礼の街である。


ビラフランカ城(要塞)は、外敵である英国軍やフランス軍を迎え撃った激戦場であったと、バルの親父は自慢げに教えてくれた。

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ビラフランカ要塞

 

少し疲れたのだろうか、雨が降りだしてふらふらと高速道路に迷い込んでしまった。

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雨に見舞われ高速道路に迷いこむ

 
△昼食  <ソーセージ・サンドイッチ・トマト・バナナ・チョコレート・水>

             トマト、あのもぎたての新鮮な味と匂いがカミーノ(巡礼路)の歴史と共に、巡礼者一人づつの苦行を

             癒したに違いない。

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 ビラフランカ・デル・ピエルソの峠1400mの茶屋で昼食をとる


 

AmazingGrace


When we've been there ten thousand years,        何万年経とうとも
        Bright shining as the sun,                                  
太陽のように光り輝き
                We've no less days to sing God's praise            
最初に歌い始めたとき以上に
                       Than when we'd first begun.                            
神の恵みを歌い讃え続けることだろう


 

ここ峠の風景は、わたしが約50年前に入植していたブラジルの軽井沢といわれているカンポス・ド・ジョルドン

にあるバウー山に似ているので驚きであった。
牧草を口にしている牛の群れ、首につけられたベルの奏でる清きメロディーにそのバウー山の風景を思い出
させてくれた。
牛追いが、牛の群れを追い、犬が吠えているこの風景が巡礼者を癒してくれている。この風景は、神が人類に
与えてくれた宝である。


この素晴らしい風景の中で、神に感謝しながらランチをいただいている。
この大地がまぶしい。


                      イメージ 13
                    セブレイロ峠1320mの十字架




                 《カミーノ・デ・サンチャゴ 自転車巡礼のすすめ》 ⑦へつづく