2017『星の巡礼・六甲全山縦走のんびり2泊3日のトレッキング』（シニア向き） Ⅲ

■ 『六甲全山縦走のんびり2泊3日のトレッキング』序説　③

◎第2日目露営地：六甲の山「記念碑台」に伏して

ここ2日目の露営地・記念碑台からの展望景観は素晴らしい。遠くに四国の連山が

瀬戸内に影を落とし、眼下に横たわる阪神の街は夕日に赤く染まり、百万ドルと言われる

夜景へとその姿を変えていく。

六甲の山は昔から、瀬戸内海という自然環境や立地条件により、沢山の人々を定住させ

てきた。集落・都市化により、人々は背後にそびえる六甲の山から生活に必要な木々を

伐採・調達してきたといえる。

また同じく砕石により山を破壊し、多くの戦乱の戦場として荒廃をすすめ、その延長を現在

の六甲もおしすすめているようにみえる。

都市の近代化、地域開発の名のもと、六甲の山はその姿を変えてきた。

自然破壊は進み、六甲の山は電鉄、生活道路をはじめ有料観光道路によるトンネルが縦横

に設けられた。神戸淡路大震災にあたっては、わたしをはじめ多くの人々がその甚大な被

害との因果関係を六甲の山々の荒廃に結び付けて考えたものである。

六甲全山縦走路においては、六甲を自然破壊から守ろうという多くの標語や啓蒙の標識に

出会った。そして景観を守る運動や、美観を損ねるゴミ処理にも行政が力を入れている姿

に接して、意識の改善がみられるようで安堵した。

六甲の開発がなされたのは、2日目の露営地としてお世話になった「記念碑台」にある自然

保護センター広場に建立されているイギリス人・グラバー商会出張員であったアーサー・

ヘスケス・グルームによる。

胸像の裏面に次のように紹介されている。

『古来荒涼に遺棄せられたりし六甲の山嶺今や避暑の名区となる其の開拓創始者を実に、

君と為す。君は西暦千八百四十六年英京倫敦に生まれ貿易商として我が明治元年四月

甫めて神戸港に来れり業を営む。同二十八年偶々六甲山を跋歩して遊猟を試む此の地

避暑に適すると見るや別荘を経営し爾来斡旋尽力労を執りて吝まず。遂に今日の昌勢を

致すその功績実に尠少にあらず、今茲に有馬郡唐櫃村、武庫郡六甲村及び関係有志者

相謀り開祖の功を永く後世に伝へんが為めに記念碑を建設すときに明治四十五年五月なり』

また、彼は開発と同時に、私費を投じて六甲山へ植林や登山道整備を行い、行政に対して

砂防や植林の必要性を説いてもいた。

アーサー・ヘンリー・グルーム氏こそ六甲開発の祖といわれる所以である。

◇携行品・

携行品は天気予報に従い、夜間に必要な防寒対策を中心にリストを作った。

単独行、露営（ビバーグ）、ロング・トレイルを考慮して携行重量を決めることにした。

当初の予定携行品総重量は１０ｋｇを越えていたが、テント一式の代わりにツエルトに変更、

２Ｌの水を１Ｌに半減、救急用品を最小限にとどめることにより最終携行品重量を８．５ｋｇに

抑えた。

それでも夏場の高島トレイル時の総重量５．５ｋｇにくらべ３．０ｋｇオーバーとなった。

原因は夜間の低気温に対する防寒対策にある。

ロング・トレイルを歩くとき、リュックが肩にくいこんだり、その重量に膝の痛みや筋肉痛に

見まわれるほど悲痛なことはない。しかし、いくら減量したとは言え、老人にとって８．５ｋｇは

重すぎるといっていい。

装備関係	登山計画書/長袖シャツ/Ｔシャツ２/パッチ/下着上下/靴下２/防風ジャケット/帽子/
	手袋/タオル/ハンカチ/ザック&カバー/ストック/登山靴/ポーチ/寝袋＆耐水カバー/
	エアーマット/空気枕/アルミシート２/ゴミ袋大/雨具・簡易ポンチョ/ダウン上2・下1/ニット帽/
	サングラス/腕時計/ツエルト/簡易トイレパック/ヘッドランプ/ラジオ/笛/地図/磁石/カメラ/
	GPS携帯電話/高度気圧計/時計/野帳/筆記具/ティッシュ予備電池
食糧関係	行動・非常食（チキンラーメン２・インスタント釜飯２・菓子パン２・落花生・チョコ・飴・乾パン
	・ビスケほか）/水（非常用500ml・行動補給用500ml）/疲労栄養ドリンク（チオビタ＋ウイスキー)
救急緊急	下痢止ストッパー・正露丸・傷消毒液・Q&P・傷軟膏・塩・銅線・ガムテープ・針糸・防水マッチ
	バンドエイド・常備薬・健康保険証・郵貯ATMカード・免許証・現金・個人病歴データー

『六甲全山縦走のんびり2泊3日のトレッキング』　④　に続く

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