shiganosato-gotoの日記

星の巡礼者としてここ地球星での出会いを紹介しています。

2017『星の巡礼・奥の細道紀行-句碑の前でわたしも一句』 18

2017『星の巡礼奥の細道紀行-句碑の前でわたしも一句』

2-2-2 白河の関須賀川飯坂温泉奥の細道紀行 2>
須賀川を自転車で走る-2

須賀川宿在の江戸中期の俳人・相良等躬(さがらとうきゅう)のすすめで1週間滞在した芭蕉曽良は、その間、栗の木のある庵を結んでいた僧可伸を訪れている。
現在の可伸庵跡(かしんあんあと)は東屋が建ち、四代目の栗の木が植えられた小さいながらも、手入れが行き届いた素晴らしい小公園になっている。
そして、芭蕉句碑「世の人の・・」と対面した。

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 可伸庵跡                                                        芭蕉句碑「世の人の」

芭蕉   「世の人の 見付けぬ花や 軒の栗 」  (よのひとの みつけぬはなや のきのくり)
 
恐れながらわたしも一句
實久   「時経るや ひとも去らしむ 栗の庵 」 (ときへるや ひともさらしむくりのあん)


 
◎可伸庵跡
元禄2年(1689)4月22日(陽暦6月9日)、松尾芭蕉と門人の河合曽良は、おくのほそ道の旅の途中で、旧知の仲にあった相良等躬(さがらとうきゅう)を訪ねた。須賀川には八日間滞在し、近隣の寺社仏閣を訪れ、また地元の俳人たちとの俳諧を楽しんだ。
可伸庵跡は、等躬の屋敷の一隅に隠棲した僧・可伸(栗斎)庵跡である。
奥の細道」では、芭蕉が可伸庵を訪ねて、『此の宿の傍に、大きなる栗の木の木陰をたのみて、世をいとふ僧有』と書きとめている。
芭蕉は、可伸の閑寂な暮らしぶりに深く心を打たれ『隠れ家や 目立たぬ花を 軒の栗』と発句を読んでいる。


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栗の若木の側に立つ石碑


須賀川のみなさんの芭蕉を愛するこころに触れたような可伸庵跡訪問となった。感謝である。
 
須賀川の街から南へ離れた乙字ケ滝(おつじけたき)へ向かう。
アップアンドダウンを繰り返す坂道を阿武隈川畔にある滝見不動堂めざしての往復約10kmのサイクリング
である。
曽良旅日記」によれば、須賀川を立った日にここ乙字ケ滝(石河の滝)に立寄ったと記している。


可伸庵跡を出て、国道118号線、いわゆる石川街道を約7km南東へ下ると左への分岐路がある。
分岐手前に「滝へ500m」の標識がある。 左に入り少し走るとバス停「乙字ケ滝」終点、ここから分岐をさらに左に進むと阿武隈川に架かる鮮やかな朱色の橋が目に飛び込んでくる。

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 阿武隈川に架かる朱色橋                                       「乙字ケ滝」石碑


 渡ったところに「滝見不動堂」があり、ここから阿武隈川の中の100m幅で落差3~4mの壮観な滝を見ることができる。
この日は五月雨も集まらず、残念ながら豪快な滝姿を見ることはかなわなかった。
滝は大きく湾曲し、乙の字の形に見えることから乙字ケ滝と呼ばれているという。


御堂も阿武隈川を見下ろし、乙字ケ滝の景色に溶け込んでいる。

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滝見不動堂と阿武隈川を彩る乙字ケ滝

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水量の多い時の豪快な乙字ケ滝(O氏撮影)

この御堂の正面左手の湧水のほとりに「芭蕉曽良像」、「石河の滝」石碑に並んで芭蕉句碑が木陰にある。

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 滝見不動堂

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芭蕉句碑「五月雨の 滝降うづむ」                                           芭蕉翁と曽良


 芭蕉  「五月雨の 滝降うづむ 水かさ哉 」   さみだれの たきおりうづむ みかさかな)
意味 : この五月雨の降り方では、さぞや石河の滝は水嵩に耐えかねて埋まったようになっていることであろう


恐れながらわたしも一句
實久  「五月雨の 降らむ乙字も 滝姿」   さみだれの ふらむおつじも たきすがた)
意味 : 五月雨も降らないが、勇壮な乙字の滝姿を想像するだけでも楽しいものだ


芭蕉翁と曽良像に出会ったあと、乙字の滝に別れを告げ、国道118号線を北上、スタート地点の翠ヶ丘公園の駐車場にもどる。
自転車を解体し車に積み込み、飯坂温泉へ向かう。
国道4号線を、郡山、二本松、福島を経て飯坂温泉へ車を走らせる。 須賀川から飯坂温泉までは、約70kmである。


芭蕉曽良は、須賀川を出立し、一度もどって東南へ一里半のところにある乙字の滝を見に立寄っている。
その後、5月1日郡山を出、歌枕の地「安積山」(あさかやま)に至る。


「安積山」(あさかやま)では、古今集に詠まれた「かつみ」、いまでいう「ひめしゃが」を探し歩いたとある。


 二本松には、謡曲にでてくる「安達が原の黒塚」がある。 芭蕉は、塚のそば観世寺の境内に鬼女が住んで
いたという岩屋を訪れ、古人の心情に触れている。


こちらは、車で福島を通過し、飯坂温泉に急ぐ。


 


                                    2-   須賀川 飯坂温泉奥の細道紀行2>
                                           飯坂温泉を自転車で巡る につづく