《 ユーコン讃歌 》
(記念として、ユーコン日記に書きとめた詩を書きとめておく)
詩 後藤實久
月光の流れ ユーコンに映りて驚嘆す
一筋の絨毯に向かいて われを迎える
月の光慕い 狼とともに合唱す
われ愛語に舞いて月と遊ぶ
ここユーコンには純真なる命と魂が宿る
生きる姿の歓びをわれわれに伝えるなり
おのれに命と魂を引込みて 神の国を創る
原始の姿に触れ 天地創造をよろこぶ
寒さ腰に忍びよりて身を縮み上がらせ震える
夜空に揺れるオーロラ 凍でつくマントまといて舞う
妖しくうごめくオーロラに われを忘るるなり
<オーロラ と 狼>
天空の舞 悠久の営みにわれを託す
ユーコンの闇に響き渡りて重し
神の贈りし光の舞に酔うなり
<ユーコン復活>
アメージング グレイス
地平を一筋に染めし復活の朝を迎える
讃美の豊けき歌 ユーコンに木霊する
いまわたしは自分を見つけることができる
いまわたしははっきりと見ることができる」
光を受け入れ 静かに魂を震わせるなり
食を求めて彷徨(さまよ)うなり
ユーコンの野に糧を探すなり
ヒップベリーの赤き實のみ輝きし
生きる力と望み一身にあびる
命の連鎖の 偉大なるを識るなり
人の入りを拒みて、その原始の姿を残す
幽玄の霧中に 欲望の息づかい残る
人の心を震わせ その光明を残す
われ闇を飲みこみて 寂にして孤を残す
歓喜に酔いて 忘却の影を認むるなり
流転の旅 万物の姿写し今日に至る
愛語を語りて 哀愁の歌声を交感せり
その清き天地の流れ魂を揺さぶりて速し
宇宙に響きわたりて歓喜を残す
栄光繚乱たる人生あるを喜びて咽ぶなり
立ちのぼる朝靄に姿変えてや幸せなり
清き曙に あたたかき母なる温もりを感ず
われを抱きしめ慈しみを伝え 沈笑す
悠久の命 満ちおりてよろこび重なるなり
今あるを 母なる子なるを感謝して黙す