■<潜伏キリシタンの里探訪 自転車の旅630km 9日目―④> 2018年9月9日
― 外海・出津教会 ⇒ 9日目露営地・擢坂岩公園 ― 走行距離 2 km
<ド・ロ神父記念館 と 旧出津救助院>
出津カトリック教会をあとに引き返し、最初の三叉路を左に曲がって急な坂を集落の方に下って行くと
左右にド・ロ神父
記念館と、向きあって旧出津救助院がある。村の子供に抱きつかれているド・ロ神父像が優しく
迎えてくれる。
神父は慈善事業にも力を入れ、出津救助院などを創設して女性の自立を促した。2012年には「長崎市
外海の石積集落景観」として国の重要文化的景観に選定されている。
取り上げておきたい。
<ド・ロ神父の偉業―外海の人々を貧しい生活から救いたい>
「明治12年(1879)外海地方に赴任した、フランス人宣教師マルコ・マリー・ド・ロ神父は地域住民を窮状
から救うために、農業指導、漁業指導、医療事業、教育事業など様々な活動をしたが、旧出津救助院
も、その一つで、女性のための授産施設として明治16年(1883)に創設された。自ら創立し養成した
聖ヨゼフ会の会員たちの協力を得ての創設であった。2003年12月、これらの施設の一部は、貴重な
明治初期の授産・福祉施設の遺構として、当地域の歴史と文化を語るうえで欠くことができない重要な
ものとして国指定重要文化財に指定された。」
出津カトリック教会 鬼瓦に焼き付けられた十字架
石積が特徴的な旧出津救助院旧出津救助院全景
▲9日目露営地 長崎市・外海・擢坂岩公園にて露営 テント泊 <夕陽絶景ポイント>
<夕陽絶景ポイント・外海・擢坂岩公園>
500mほど進むと、左手の断崖の上(高台)にある「外海・擢坂岩公園」の夕陽絶景ポイントに着く。
少し時間的に早いが、今宵はここ夕陽ポイントである擢坂岩公園に露営することにした。
テントを張り、海の彼方に沈む夕陽を待った。
夕陽観賞前の腹ごしらえは、質素な野営食であるオニギリ2個、イワシ練天2個、バナナ1本、水である。
振り返ると遠藤周作文学館の白亜の建物が、ここからも夕陽に照らされ、美しいシルエットを断崖に浮かび
上がらせている。
日没の時間と共に、夕陽観賞のため人が集まり、その瞬間を待ちわびている。
海の色、雲の色、見守る人たちの顔の色、そして周囲の風景の色が時間と共に紅く染まって行く。
そして、わたしのこころの中まで紅く染まり、夕陽の中に溶け込み、その瞬間、幸せが充満、爆発した。
―この世を焼き尽くさんばかりの夕焼け―
わたしもまた、外海にいまなお漂う潜伏キリシタンの息吹にふれ、眠りて眠られない一夜を過ごすこととなった。
<9日目露営地 テントの中から暗闇の外海の海を眺めつつ、深夜1時41分記>
「われを憐れむ」
ああわれいま 迫害の地に
外海の断崖の上に露営せり
暗闇深く 海風吹き寄せては
テントをゆすり 眠ること不可
遠くに一条の光 風に揺れて
近くに秋虫の大合唱を聴くは
わがこころ響きて安けきありて
信仰篤きキリシタンの魂と和す
眼を閉ずれば 迫害 拷問の嵐
人をおとしめる声 諌める声々
それぞれの苦悶の声風に乗り
灯に揺れ 人の心を揺するなり
ああわれいま 風に向かいて
灯に向かいて 神に向かいて
なお見失いしわれを憐れむ也
ああわれ外海にて眠りて眠らず
潜伏キリシタンの里探訪 自転車の旅630km 10日目
2018年9月10日 ― 9日目露営地・擢坂岩公園 ⇒ 西海大橋公園 ― 走行距離 31km
につづく