shiganosato-gotoの日記

星の巡礼者としてここ地球星での出会いを紹介しています。

熊野古道 小辺路縦走⑫<3日目・二十五丁石⇒三浦峠⇒果無集落>

2019星の巡礼 熊野古道小辺路縦走』―老人山行の一考察―⑫
 
小辺路縦走3日目-Ⅲ
 
3日目小辺路ルート③<二十五丁石⇒▲三浦峠⇒古矢倉跡⇒出店跡⇒矢倉観音堂⇒西中バス停⇒
            昴の郷⇒果無集落⇒△          3日目露営地・山口茶屋跡> 11/20km くもり


6月1日 午前100分 小辺路3日目・山口茶屋跡の露営地にて>

 
26番観音石仏にある<天水田跡>を過ぎ、25番と24番観音石仏の間にある今夜の露営地<山口茶屋跡>16:30/673mに到着した。
 
この日の最難関は、総距離の半分が国道425号線のアスファルト道路を歩くことではないだろうか。
小辺路という山歩きを想像していた者でも、計画段階では想像しえた舗装道路は、巡礼者であり
縦走者にとっては試練の区間であるといえる。

国道425の、西中バス停から蕨尾にある十津川温泉<昴の郷>までの約7.5㎞の国道歩きである。
 
炎天下、汗を抑え、体温を落すため、川合神社前にある公衆便所でTシャツを水で濡らしての
行軍である。
アスファルトの反射熱を浴びながらの行軍はなかなか大変なものである。

小辺路のルートでありながら、この国道の途中には何一つ小辺路または熊野古道の標識が一切なかったのが不思議である。
熊野古道を歩くものにとっては、いかなる道標であっても励みであり、心に安心と安らぎを与えて
くれるものである。
この国道、約7㎞の歩きで一切の小辺路の標識が消されているのに対し、何か異質な世界を感じたのは
私だけの感想だろうか。
 
多分、ここ以外の小辺路ルート標識があまりにも立派で、完全なものであったからその差異に、違和感が生じたのであろう。

黙々と舗装を歩く小辺路高野山に向かう外国人の5人パーティにすれ違ったが、ただ額に汗して、
国道歩きの区間である世界遺産熊野古道小辺路を歩いていた。
もう少しで山歩きになることを彼らに伝えたのはもちろんである。

7㎞の国道歩きに何か工夫はないものだろうか。
可能であれば、西川の河原を歩くルートか、国道の山手の中に小路を設けられたら小辺路
イメージも変わるのではないだろうかと考えながら歩いた。
 
小辺路3日目の露営地として、果無集落から少し上ったここ山口茶屋跡を選んだ。
その主な理由は、テント設営地としての平地確保である。

山に入ってしまえば、なかなか平坦地を探すのは簡単ではない。山では傾斜地が普通で、平地があっても逆に窪地である場合が多い。

人間は、この傾斜に弱い。目には見えないわずかな傾斜でも、寝床を作り横たわればその傾斜に沿って体が知らない間に滑っていくのには驚く。今までの山行にはこの滑りを避けるためにエアーマットを持参していたが、今回は軽量化作戦のためレジャーマットを持参した。マットそのものがこの傾斜に沿って滑ったり、窪みに体ごと沈んだりと初めての経験に直面し、修正のため眠りが浅くなってしまった。
 
ここ山口茶屋跡は、『果無峠』(はてなしとうげ)越えに向かう途中にある。
蕨原口からの歩きにくい不揃いな石畳み坂を、息を切らして着いたところが山口茶屋跡である。
あたかもこの苦しさを癒すように西国三十三観音めぐりが33番から1番と続くのである。
山口茶屋跡は25番あたりで、不揃いな石畳みも終わり、歩きやすい山道(小辺路)にかわる
ところである。
 
防風のための石垣を背に200坪ほどの平地が広がるなか、その一角にツエルト(簡易テント)を張った。
ツエルトから仰向けのまま顔を出すと円形に開けた真っ暗な天空に星座が垂れ下がっている。
高野槙や熊野杉の漆黒な輪郭の中に、散りばめられた星たちや、星座たちが刻々とその位置を動かしながら瞬きと輝きを地上に送ってくるのである。


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小辺路3日目露営地<山口茶屋跡>
 
 
 
わたしもまた、その動きで自分が地球という星から、星たちの周りを回っていることに気づかされるのである。
 
この広大無辺な宇宙に生かされている己を自覚し、そして己を中心にこの全宇宙が反時計回りに確固とした静かなムーブメントを繰り返していることに感動を覚える瞬間でもある
 
幾つになっても天空を眺め、喜びに浸るため露営を常としている。
 
 
 

<ツエルト(簡易テント)から見る世界>

 
最近のロングトレイに必ず持参しているツエルトは、外からツエルトの内側を見ることができないが、内側からは外の世界を透かして見ることができる優れものである。

 
野生の動物たちが己のテリトリーに闖入してきた相手を観察するために近づいてきて、ツエルトの内に潜む敵の様子を探る姿を内から観察することができるのであるから愉快である。

 
鹿の訪問が多いが、一度はイノシシの子供、ウリ坊がツエルトを覗いたことがあった。この時は近くにいる親イノシシを刺激し、怒らせてはとウリ坊をポールで追い払ったものである。

 
先にも述べたが、ツエルトは前後に扉のない三角筒であり、昆虫や蟻たちは自由に出入りできる。特に大型蟻は人間の生活に興味があるのであろうか、まるで我が家のごとく寝袋はじめあらゆるものに潜り込んでくる。そして、柔らかい人間の肉を食いちぎり、毒を残していくのである。

 
見知らない人間が、自分たちの巣に上にテントを張って、自分たちの日常生活を邪魔するのであるから、おおいに憤慨しての行動なのであろう。蟻たちの精一杯の反撃であり、無許可に対する怒りなのであろう。

 
帰宅した今でも、蟻たちの訪問時の襲撃の跡が赤くはれ、痒みに顔をゆがめている。
 
ツエルトの中から天空の星たちを観察できる喜びに、蟻たちの襲撃をものともせずに露営を楽しん
でいる。


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 4日目小辺路ルート①
<3日目露営地・山口茶屋跡⇒観音堂⇒▲果無峠⇒七色分岐⇒八木尾バス停 ⇒道の駅熊野
 につづく
 
    ■小辺路3日目ルートガイド  
 
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