徒歩巡礼 8月24日
今日は世界遺産中辺路巡礼の第二日目である。
昨日通過した熊瀬川王子への(公衆トイレ前の)分岐点にむかう。
分岐点の谷を下ると休憩所(谷水が引かれている)が目に入る。 熊瀬川をわたり、15分ほど草履峠への古道をあがり左に入ると、雑木林に囲まれた熊瀬川王子跡にでる。
◎ 88熊瀬川王子(くませかわおうじ)
< 88熊瀬川王子▲526m⇒89岩神王子▲646m⇒90湯川王子▲397m >
↓===⇒ 迂回路(岩神王子附近崩落)===⇒↑
D: 迂回路経由距離約5.5km H:所要シニア時間 2時間30分
熊瀬川王子に立って、熊野古道の最深奥に独りいる自分の存在を意識した。 深々とした静けさだ。
ここにはたして王子社があったのだろうか。
鎌倉時代には熊瀬川の名が文献に出ているらしいが、王子跡に佇んでみるとその可能性が萎えてきそうである。熊瀬川王子跡解説板に、古人はこのあたりで昼食をとったとの説明だが、継桜をよほど遅く、昼近くに出立したことになるのではないか・・・・・と考えつつ歩をすすめた。
88 熊瀬川王子
熊瀬川王子・岩上王子の分岐表示
草鞋峠692mにある案内板
草鞋峠692m は、岩上(岩神)峠671m と 三越峠(みこし)548m とともに三大難所といわれている。
杉木立の木洩れ陽に吸い込まれていく自分が天使のように飛び回っている。
わたしはいま熊野古道の神々の懐に抱かれているのだ。
草鞋峠▲592mの古道を越える
草鞋峠▲592mを下ると林道にでる。
「通行禁止標識」が目に飛び込んできた。
田辺市熊野ツーリズムビューローによるアナウンスメントに :
とあり、以下の迂回路地図を載せている。
地滑りの危険性があるので岩神王子付近について迂回路を設置したとある。
今回、残念ながら岩神王子立寄りは叶わないので、迂回路に従うことにした。
残念だが、迂回路に従うと89 岩神王子には立寄れない。
立入禁止・迂回路案内標識が立つ
谷川を左に見つつ400mほど林道を下ると、迂回路入口の標識が左にある。
遠くの峰々の曲線が美しい。 涼風もまたいい。
カナダ・ケベックからのピーターソン一家4人とであった。 両親と娘さんふたりが熊野の杉林の素晴らしさに驚嘆している。
わたしも海外の山や森をよくトレッキングするが、ほとんどが自然林であり、野生の森である。
年輪を重ね、天を突き、整然と隊列を組む熊野の杉木立に陽が射し込むその姿は、仏像の光背に似た幽玄の世界が広がる。
岩上(岩神)峠より下って行くと蛇形地蔵まで続く林道にでる。
ようやく迂回路終点近くの蛇形地蔵にでた。
中辺路正規のルートにもどり、最初の距離道標#51(▲410m)通過する。
古道での蛇との出会いは数回あった 「マムシに注意!」警告板
岩上(岩神)峠 671mを通過 蛇形地蔵
蛇形地蔵をあとに進み、左手に数字道標#51と右手に「湯川一族の墓」の標識をみながら谷川のそばの平坦な古道を歩いていくと「湯川王子」に到達する。
◎ 89岩神王子跡(いわかみおうじ) 崩落の危険があり立ち寄れなかった
◎ 90湯川王子(ゆかわおうじ) < 90湯川王子▲397m ⇒ 猪鼻王子▲233m >
D: 距離 3.7km H: 所要シニア時間: 2時間
湯川王子が、いまは廃道・廃村のように寂しく佇んでいる。 熊野詣での盛んな時は茶屋があり、宿があり結構にぎやかであったという。
迂回路越えはわたしひとりと覚悟を決めていたが、先に出会ったカナダ・ケベックからのピーターソン一家と、まもなく発心門王子まで追いつ追い越されつつ、会話を楽しんだオーストラリア・シドニーからのアンディ女史と出会った。
90 湯川王子跡石柱
90 湯川王子社
湯川王子からの林道の坂を上りきるとアスファルト道路に出て視界が広ける。
ここが三越峠(みこしとうげ)▲548mである。
「熊野古道入口」と書かれた山門の前方150mのところにトイレ、緊急電話と休憩所がある。 水補給をおこなう。
「熊野古道入口」と書かれた山門
古道入口を下りていき、急な階段をくだると林道に出る。
音無川沿いに進み、船玉神社へと向かう。
船玉神社にもトイレ・水汲場・休憩所がある。
赤木越との分岐・船玉神社より音無川沿いにくだると猪鼻王子に出る。
徒歩巡礼》 8月24日 につづく