―副題 B 《露営(野宿)のすすめー楽しみ方》―
高島トレイル縦走全食糧と飲料水 6.4kg
高島トレイル縦走全携帯装備 15kg
2分割した後半デポ用食糧と水 3.3kg
<デポ方式の研究・貯蔵品目・方法・回収> -デポジット・Deposit>
予備日を含めた6泊7日分の食糧・飲料水の出発時重量は6380グラム(6.4キロ)にも
なる。
携行総重量15000グラム(15.0キロ)の40%(4割超)となる。
いかに減量するかが縦走成功の鍵となる。
前半と後半に二分割し、デポ(デポジット)方式を採用し、後半分の食糧と飲料水
約3200グラム(3.3キロ)を中間地点の桜峠に貯蔵設置した。
<高島トレイル・目印リボンや標識・ルート状況に関する考察>
・ 「歩くのに最小限の標識しかない」との忠告はただしい。現在地や方向の確認は地図とのこま
めな照合が必要だ。
・ 標識としての表示案内板の約半数は朽ち果てていたり、欠字があったり、剥離して地面に落ち
ていたりしていた。
・ 公式ナイロン・リボン(目印)は「中央分水嶺・高島トレイル・TAKASHIMA TRAIL」という緑文字
が黄色地のナイロンテープに印刷され、一応ルート上の必要な場所の木の幹や枝に結びつけ
られている。
・ もちろんこの公式リボンが存在しない区間(ルート)も多々見受けられた。
・ ほかの山の会が自分たちのルートやコース設定のため取り付けた「パーティ・リボン」(赤テー
プ)を多く確認できた。
・ 紅葉の季節には落葉によりルートが隠されたり、確認がむつかしい個所もいくつかあった。
・ 羊歯(シダ)・ブッシュ(雑草)の繁茂によりルート確認がむつかしい個所もあった。
・ 倒木によるルート迂回個所や直登にあたって複数のルートにわかれ不鮮明な個所もあった。
・ ルート入口や曲がる個所にリボンや標識がなく慎重になる場合もあり、ルート全体の流れから
判断を迫られることもあった。
・ 公式リボンの材質上、風化や風圧により破れ散りルート上にそのテープ残骸を見ることが多
かった。 これさえルート確認の手掛かりとしてわたしを助けてくれたので、重要な情報
として
ありがたかった。
・ 高島トレイル縦走全ルート80KMを保全することは至難の事業だとおもう。縦走者がルート
設置者に協力できる体制を創設したらいかがなものであろうか。 例えばルート維持やリボン
設置、標識修繕・水場の情報提供や維持などの協力の一端を縦走者に協力してもらう
システムの立ち上げである。
・ ルート上の公式リボンである《黄色いリボンに緑色文字》は環境保護の観点から採用されたの
であろう。 テープの色が目立ちにくいのは確かだ。 リボンが人命第一を考えて設置されてい
るのであれば、やはり赤地に白文字はいかがであろうか。 これも高島トレイルを愛する
縦者の一つの提言である。
・ 公式リボンの材質も現在のものでは、風化がはやいうえ破れやすいようだ。せっかくの設置
が風化により短期間で破れ散るのは設置者の努力を無にしているように思えて残念である。
リボン材質の研究も高島トレイルの安全縦走の重要課題といえよう。
・ テープを頼りに歩くのではなく、「正しい道」を歩くと目印テープに出会うつもりで歩くことが
肝要であろう。
ことができた。感謝である。
<高島トレイル縦走 シニア携行品軽量化対策>
・ 予備日を含めた6泊7日の縦走となると食糧・飲料水・露営用具(炊事・野営)の重量をいかに
軽くするかに完全踏破の成否がかかってくるものである。
・ まず年齢的に考えて、日本アルプス縦走等の山小屋泊利用時の総重量は6キロ前後である。
・ 今回の高島トレイル縦走には山小屋を利用できないので野宿による露営である。
減量のためテントではなく、露をしのぐだけのツエルト(ビニール)を持参した。
・ つぎに食糧や炊事道具をいかに軽くするかである。
・ 朝食は、高カロリーの揚げパン(1個あたり約600Kcal)に決定した。パンだと
調理用水を節約できる。
・ 昼食は、チキンラーメンに乾燥野菜を加えることにした。 これだと1食あたり約400Kcal、
約150mlの水を入れ20分で立派な汁なしチキンスパゲッティーができあがる。
・ 夕食は、NISSINの「そばめし」などインスタント(アルファー米)にこれまた乾燥野菜や
乾燥昆布それにカロリーを高めるためチキンラーメンを加えた。 これで約700Kcalと
なる。昼食と同じく水170mlを加えて約40分で立派な冷や飯ができあがる。
・ ガスバーナーや炊事用具を使わずに食事をつくる減量大作戦である。 たった1枚のチャック
付ナイロン袋で調理完了である。
・ 昼食はお昼30分前に袋に水をいれ、チャックや水漏れを確認してリュックのサイドポケットに
いれておけば出来上がっている。
・ ただ背負うとリュックに圧力がかかり、調理袋の破裂や水漏れを起こす原因になるので
ポケットやポーチにおさめるなどの工夫が必要である。
今回はチャック付ナイロン袋を二重にして水漏れを防止した。
・ 夕食は、最終露営地につき設営開始前に袋に水を入れておくと約30分後の設営完了時には
出来上がっている。
夕食にはカレーもの、ピラフもの、焼き飯ものなど毎食の風味に気を配った。 そして栄養を
考えて夕食には必ずマヨネーズを混ぜた。
<デポによるリュック軽量化対策>
・ 一度に7日分の食料や水を運ぶことは、シニアの私にとっては無理であり不可能である。
まずは高島トレイル縦走をあきらめなざるをえない。
・ そこで取り入れた方法が、吉野より熊野へ縦走した5泊6日の「奥駈け」で利用したデポジット
方式である。
・ たとえば、「奥駈け」を縦走したときは宿泊できる山小屋として、弥山小屋があるが利用せず
露営(野宿)だけで縦走することにこだわった。
食糧も水も持参しなければならない厳しい縦走路であったが、その時の経験を生かした。
・ デポ(デポジット)は、縦走行程を前後に分け、その中間地点に食糧・飲料水や栄養補給用
物資を貯蔵しておき、回収して後半の縦走用に供する方法である。
・ 今回の縦走では中間点である「桜峠」にデポ地点を設置したことはすでに述べた。
・ デポ用の食糧・飲料水・栄養補給のための品をチャック付袋に入れ防水を確認後、ポリ
バケツに収納し蓋をする。
・ ガムテープで密封し、蓋に注意書きを添えて目印となる場所に設置残置するのである。
・ 一体、デポにより常時携行総重量はどれほどになったのだろうか。
縦走時リュック平均総重量 15000g
デポによる重量 -3040g(食糧1540g・水1500g)
縦走常時携行リュック総重量 12960g
重量調整での水の処分 -1000g
ポーチへの分散 -1000g
調整後の総重量 10960g
・ この高島トレイルにおける縦走常時携行リュック総重量12960g は、山小屋利用縦走時の
約6000gの倍の重量である。
・ ずっしりと肩に食い込む。 膝にかかる重量を感じる。一瞬不安がよぎる。 このすべての重量
から来る問題を解決しなければ高島トレイルへの挑戦を諦めなければならないわけだ。
<総重量15000gを減量後11000gにする研究と対策>
・ その解決方法としていくつかの改善を加えて縦走成功に結びつけた。
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機能性タイツにより重量圧を分散させた<タイツのおかげでアルプス縦走時におこる太ももの筋肉痛を感じなかった>
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左脚の膝の痛みを防ぐために膝あてを準備した<重量による問題は、膝ではなく足指の圧痛に悩んだ>
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アルミパイプ製背負っ子に厚手の腰ベルトをつけ、肩にかかる重量を腰に分散した。
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背負っ子の肩ベルト左右に紐2本を取り付け、両腕をこの紐にとおし、肩への重圧を分散させた。
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いちばんの重量は水である。水の量を調整することにより重量調整をした。最重要携行品は命にかかわる水である。 今回の調整方法は、出発時点で水の補給地点の確証のあと、二日分の最少量の水を残して処分することとした。 その最大処分量は1L=1000gとした。ただし水補給地点ではかならず補充しておくこと。 翌日の水補給地点がなければ1Lを背負うことが鉄則である。
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リュック重量を分散するため、ポーチ収納品を増やした。<デジカメ・携帯・予備バッテリー・磁石・地図・記録ノート・笛・小型ライト・各種証明書と現金・携帯歯ブラシ・ティッシュ・常備薬・老眼鏡・サングラス>約1000gのリュック減量となった。
調整後の総重量 10960gでさえ老体の肩にはこたえる。 ずっしりと肩にかかる。 背負ったり
降ろしたりするのに難儀するが、この重さを背負って縦走を終えた。
『星の巡礼 中央分水嶺 高島トレイル縦走6泊7日ぶらぶら老人日記』 ④ に続く
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