shiganosato-gotoの日記

星の巡礼者としてここ地球星での出会いを紹介しています。

2017『星の巡礼・奥の細道紀行-句碑の前でわたしも一句』 24

2017『星の巡礼奥の細道紀行-句碑の前でわたしも一句』 24

⑪平泉を自転車で走る―22017510日>

金色堂よりつづく
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金色堂は奥に見える覆堂内にある               金色堂と経蔵との間に芭蕉句碑「五月雨の」

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覆堂のなかの金色堂イメージ写真(東芝東北ASHITAプランより)


中尊寺は、平安時代嘉永3年(850)、比叡山の高僧慈覚大師円仁によって開山されたという。
藤原清衡が長治2年(1105)、関山に中尊寺を造営する。その規模は寺塔40余、禅坊300余とある。
鎌倉時代に入り、文治5年(1189)源頼朝を頭とする鎌倉軍勢が奥羽に兵を向け、藤原氏を滅亡させ、
義経を高館に攻めて自刃に追い込む。
その後、江戸時代に移り、伊達藩領となり、中尊寺を熱く遇し、現存する樹齢350年の老杉や多くの御堂を建立し保護した。


源義経が平泉に自害し、奥州藤原氏が滅亡して500年目にあたる元禄2年(1689)の春、芭蕉(46才)は門人曽良(41才)とともに「奥の細道」の旅に出て、この地を訪れている。


わたしは、義経が平泉にある居城・高館で自害して828年目(2017)の春に中尊寺を訪れたことになる。芭蕉よりわずか328年後であることを思うと、歴史の流れは滔々と流れていることに気付かされるのである。


生きるとは、時の流れの中にあって、時代を超えた歴史の証人として、時を行き交うことで情報を共有し、伝達することではないだろうか。


毛越寺(もうつうじ)


中尊寺表参道前の駐車場より、国道4号線に出て南東へ500m先を斜め右に自転車をすすめると、藤原秀衡が富士山をまね、黄金の鶏を埋めて造ったと言われる金華山が雑木林に様変わりし、麓に平泉郷士館が建つ。
なお道なりにすすむと観自在王院跡、その先を右に入ると突当りに、毛越寺が目の前にあらわれる。

 
初代 清藤原衡公建立の関山中尊寺に対し、医王山毛越寺は二代基衡公造営の寺であり、日本を代表する浄土庭園が目の前に広がる。


いまは浄土庭園と礎石が残っているにすぎないが、平成元年に完成した本堂前に、芭蕉翁真筆だと伝えられている芭蕉句碑「夏草や」や新渡戸稲造英訳の英文句碑が立つている。
 
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 芭蕉句碑「夏草や」(中央)

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 新渡戸稲造英訳碑“The summer grass” 「夏草や」


芭蕉  「夏草や 兵どもが 夢の跡」   (なつくさや つわものどもの ゆめのあと)
意味 :  弁慶や兼房など選りすぐりの義臣、この城に立てこもって戦ったものの、その功名も一時の夢と消え、
     すべては夏草の中に埋もれて果てた


新渡戸稲造英訳碑 :  The summer grass
            ‘Tis all that’s left
            Of ancient warriors’ dreams. “    Inazo Nitobe

恐れながらわたしも一句


實久  「人の世や 仮染居りし 夏の夢」  (ひとのよや かりそめおりし なつのゆめ)
意味 :  人の世というのは、偶然にして、一時的に身をおく夏の夢みたいものだ、義経もわたしも


平泉の浄土庭園で、義経の霊魂と芭蕉翁の句心(くごころ)に出会ったような、夢の時間を過ごすことができた。
これこそ、「奥の細道」ではの出会いである。


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浄土庭園といわれる毛越寺伽藍の図  毛越寺所蔵)

 
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現在の毛越寺浄土庭園  毛越寺HPより)

毛越寺をあとにして、まっすぐ東に向かい、JR東北本線平泉駅」に立寄って、「道の駅 平泉」の駐車場に
もどった。

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世界遺産 中尊寺毛越寺・高館義経堂の玄関口であるJR東北本線平泉駅

芭蕉は、義経最期の地 北上川畔に建つ高舘義経堂に立って、「夏草や 兵どもが 夢の跡」と、
義経を慕い、万感のこころを込めて詠んでいる。
いま平泉で、義経芭蕉が時間を越えて語り合う姿に会いまみえていると思うだけで、歴史の中に
生きている己を強く意識するのである。

次なる目的地、山寺への途中、陸奥上街道と出羽海道中山越え、さらに山刀伐峠をできるだけ歩いて
みたい。


                                            

                                           奥の細道  岩出山陸奥上街道を走る
                                                                             につづく