shiganosato-gotoの日記

星の巡礼者としてここ地球星での出会いを紹介しています。

2017『星の巡礼・奥の細道紀行-句碑の前でわたしも一句』 40

2017『星の巡礼奥の細道紀行-句碑の前でわたしも一句』 40
 
出雲崎を自転車で走る―Ⅲ
 


奥の細道 芭蕉「銀河の序」俳文の碑


「越後の国出雲崎といふ處より佐渡がしまは海上十八里とかや谷嶺のけんそくまなく東西三十里によこをふれしてまた初秋の薄霧立もあへす波の音さすかにたかゝらすたゝ手のとゝく計になむ見わたさるけにや此しまはこかねあまたわき出て世にめてたき嶋になむ侍るをむかし今に到りて大罪朝敵の人々遠流の境にして物うきしまの名に立侍れはいと冷しき心地せらるゝに宵の月入かゝる比うみのおもてほのくらく山のかたち雲透にみへて波の音いとゝかなしく聞え侍るに  荒海や佐渡によこたふ天河  芭蕉


芭蕉「銀河の序」俳文・現代語訳>

越後の国(新潟県出雲崎という所から、佐渡が島は海上十八里だという。谷や嶺のけわしいところの隅々まで、東西三十余里の島が波上に横たわり伏していて、まだ初秋の薄霧が立つこともできず、(初秋ゆえ)さすがに波も高くないので、ただ手が届くほどの距離に見渡すことができる。
なるほど、この島は金が多量に湧き出して、実にすばらしい島であるが、昔もまた現在に至っても、重い罪を犯した者や朝敵になった人々が、遠く流罪となる地で、物憂い島の名が有名になったので、寂しい心地がされるのだが、宵の空にかかる月も西に沈むころ、海面はたいそうほの暗く、山の形が闇をすかして見え、波の音がいっそう悲しくきこえてくる。
日本海の荒波を隔てて、流人の島佐渡が島が横たわり、天の川がそのうえにかかっている。七夕の夜ゆえ空の二星も年に一度逢うというが、島に流された人々は、どんなにか故郷を思い、あの星を仰ぐことか。」(按針亭・通釈より)


出雲崎における芭蕉止宿先「大崎屋」


芭蕉園の向かいが、元禄2年(1689)74日に泊まった商人宿「大崎屋」である。現在は民家になっている。
解説板によると「曽良旅日記」に「四日快晴、(中略)同晩、中ノ上刻(午後四時頃)出雲崎着宿ス」とあり、文中、雨強降と記している。この夜、海辺の窓を押し開けて大宇宙を観じた俳聖芭蕉は天下の名吟「荒海や佐渡によこたふ天河」の霊感をえたのである」 と書かれている。(一部抜粋)


芭蕉はここ出雲崎で霊感をえて、直江津(高田)の佐藤元仙宅で催された句会で吟じたものである。


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 現在は民家となっている商人宿「大崎屋」跡
 
芭蕉園と大崎屋をあとにして、さらに国道352号線を越えて、北に進んだ左手に日本海に突き出た浮見堂に見える「良寛堂」が海や空の青のなかに浮かんで見える。 そのシンメトリックな構成が素晴らしい。海側に良寛さんが背を丸め坐って、佐渡を凝視している姿に息をのんだ。すばらしい構図である。
 
良寛生誕地(橘屋 屋敷跡)
 
良寛堂は、生家橘屋の屋敷跡に建っている。
良寛は、宝暦8年(1758)10月2日、出雲崎町名主である山本以南の長男としてここに生まれた。
良寛堂は、佐渡島を背景に、日本海上に浮かぶ浮見堂を構想して立てられている。堂内の石塔には良寛の歌を刻んでいる。
 
「いにしへに かはらぬものは ありそみと むかひにみゆる佐渡のしまなり」 良寛
 
解釈 : 昔と少しも変わら ないものは、古里の岩の多い 海辺と、沖の向こうに見える佐渡の島である。 生きとし 生きる物は皆死に、また生まれ変わる。 盛者は滅び、また生まれる。喜怒哀楽の感情もその都度変わるものである。この、無常の世の 中で、大昔から変わらないものは、荒波 の打ち 寄せる海岸と、海の向こうに見える佐渡島だけ である。

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日本海に向かって浮見堂に見立てて建つ良寛


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空・海に向きあう良寛さんの後ろ姿がいい


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日本一周ツーリング、 日本縦断サイクリングに続き三度目の再会の良寛さんと

良寛さんと過ごした時間を大切に胸にしまい込み、自転車を走らせ寺泊を往復、日本海の越後路を楽しんだ。寺泊では寺泊温泉「きんぱちの湯」で汗を流したのはもちろんである。


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寺泊海岸を走る

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出雲崎より佐渡方面を望む

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雪におおわれた後立山連峰の絶景をみながら自転車を走らせる


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寺泊温泉「きんぱちの湯」で汗を流す

513日夜は、良寛さんの里・出雲崎でもう一泊し、翌朝日本海を南下することにした。
赤ワインが腑臓に沁みわたる。今宵は佐渡の漁り火に夢を託そう。

次に向かうのは親不知(おやしらず)、市振である。



                                             ㉔親不知、市振を歩く
                                           につづく