《短歌集―この星で出会いて》
―歩き遍路の 関本拓司さんを迎え―
2023_05_14～15
志賀の里 孤庵
短 歌 後藤實久 挿し絵 関本拓司
＜君 迎え― 志賀の里＞
《懐かしき 友を迎えて 覚ゆ君 有りか無しかと 老ゆる我おり》 （9年ぶりの久闊）
《メール見る 幾歳重ね 老いの身や 面影姿 膨らみ止まじ》 （旧友のイメージ膨らむ）
《雨粒の 伝わる頬や 仏顔 先駈け嬉し 松阪の華》 （すき焼き用松阪牛の差入れ）
《梅薫る 日向嬉しき 老いの身に おのれ褒めたし 足るを識りてや》 （74th Birthday）
《再会も 一期一会 如くにて 心の侘びも 寂びも変わらじ》（人は、そう変わるものではない）
《友来たり 久闊叙すも 老いのひと 禅問答も 楽しからずや》 （老人の頓珍漢もまた良し）
《腑臓満つ 仏の雫 般若湯 求めし日々を 互いに癒せし》 (CHATEAU MEDOC 2020)
《爽やかに 風と戯むる 君おりて 光りの中に おのれ沈めし》
《ほんわかと ひとを和ます 癒しあり 飛びし小鳥に 声上げし君》
＜歩き遍路終えし 君を称える＞
《遍路笠 手を合わせるに 微笑みて お大師二人 白装束や》 （覚悟促す白は、死に装束）
《鞭打ちて 暗き朝立ち お遍路 尊き教え 今日も生きしや》
《朝露に 祖なるお大師 出会いてや 同行二人 黙し語らず》（すべてにお大師さんがおらる）
《杖付きて 厳しき遍路 牛歩にて 露なる命 己見るなり》
《遍路みち 幾年過ぐる 今もなお 星の微笑み 心満つるや》
《果たし終え 溢るる泪 手を合わせ 艱難嬉しき 歩きの学び》
《影踏みて たどり迷いし 大師道 見果てぬ愛語 聴きて満つらん》
《遍路道 光りと影の はざまにて 表と裏の 織り成す行や》 （すべてが修行）
《生を受け 人生遍路 歩き終え 宿りし命 光りて眩し》 （結願で得られる喜び）
《遍路終え おのれ見つめし 君の顔 豊けき姿 光たたえし》
＜君と語りし露天風呂 & 焚火＞
志賀の里 「比良とぴあ」
《煙る湯気 坐せし仏や 君おりて 温泉もまた 変化なるかな》
《人の世の 航路不確か 五里夢中 露天の湯舟 われら癒せし》
《走り来て こころ満ちたる 老いの坂 湯船で語る 人の道をや》
《揉みほぐす こころの凝りや 志賀の里 われら結びし 露天風呂かな 》
《湯上がりて 焚火囲みし 老い二人 感謝満ちたる 夢路就きにし》
（老いの満足は至福である）
《雨音や 軒打つ君と 焚火をし 語り交わる 響き嬉しや 》
《ときめきの 心揺さぶる 雨滴音 炎揺らぐや ワイン交わせし》
(CHATEAU MEDOC 2020)
《友迎え こころに残る 榾火（ほたび）あり 再会もまた 燃え立つ薪や》
《赤ら顔 見つめし焚火 輝きて 血潮忘れじ 一献の味》
《希望なる 燃え立つ炎 目に映り 遍路道また 蘇り来しかな》
《友迎え 緑打つ雨 こころ満ち 君暖めし 焚火ありしや》
《大焚火 想い燃え立つ 生き様の 描きし老いの 高貴なりしや》
《燃え上がる われら青春 焚火をや 見つめる瞳 童顔嬉し》
＜手を合わせ 君見送りし＞
《今朝も又 長閑けき美空 光りあり 語りし友も 輝きおりて》
《フレンチの トースト食す 志賀の朝 切り残したし 老いの一コマ》
《この星で 老いたる我ら 王子様 豊けき来世 夢語らいし》
《老いの中 今なお追いし 道なれど 手を合わせてや 頭垂れにし》
《個展終え 尽きぬ想いや 老いのひと 過ぐる自分史 ロマンなるかな》
《生き抜きて 力満ち足る 君もまた 光り求めて 止むことなきや》
《残り香の 漂う森に いとまする 君見送りし 志賀の駅かな》
《光り受け 背中輝く 君去りて たゆたふ志賀に 至福残せし》
《我ひとり あなたもひとり 仏かな 星の数だけ 語りありてや》
短歌集
《星の巡礼 この星で出会いて》
―歩き遍路の 関本拓司さんを迎え―
ピースボート81回 船友
完
