三上山 (近江冨士 423m)登頂日誌①
芭蕉発句 『 比良三上 雪さしわたせ 鷺の橋 』
びわ湖の上を白鷺が渡っていく。白鷺よ、比良岳と三上山の間にお前のように真っ白な、琵琶湖をまたぐ雪の桟を掛けておくれ、と芭蕉は詠んでいる。その橋は現在びわ湖大橋として実際にかかっている。その大橋をわたって自転車を三上山へ走らせた。いや、僕は芭蕉の心の中を走って三上山に向かっていたのである。
正面が三上山<近江富士>
百名山を登り終えてからは、美しいものは征服するよりも眺めるのがよいという心境に達したかのようにおもえたが、すがすがしい秋晴れと秀麗なマウンテンボディーのはなつ色香にさそわれてとうとう三上山を登ってきた。
びわ湖の南湖のみならず北湖からでも遠望でき、漁船、カヤックーやヨットにとってのランドマークであり、船艇の方向や位置を確認するための重要な指標でもある。僕も二度の琵琶湖一周のラフティングと帆付カヤッキングで羅針盤代わりとしてお世話になった。
山頂までは、御上神社側から山頂を結ぶ表登山道(岩場が多く約60分)と、近江富士花緑公園から山頂を結ぶ裏登山道(約50分)がある。頂上からは、びわ湖や比叡山(ひえい)・比良(ひら)連邦の眺めが素晴らしい。
サイクリング車<ワイルド・ローバー号>を裏登山口の駐車場にとめ、表登山道より頂上に達し、
裏登山道をおりるルートをとった。
獣よけのフェンスを通過して急階段を少し登ると、分岐がある。直進が表登山道、右折れは裏登山道へつづく。10分ほどで石灯籠が数基残る妙見堂跡に着き、なお岩石交じりの道を行くと狭い岩の割れ目をすり抜ける「割石」というところに至る。スリルある岩場だ。
<三上山登山日誌② につづく>