『びわ湖冬景色―近江の歴史をたどる老人自転車ひとり旅』 ⑥
湖岸道路をさらに走り続けると烏丸半島にある国内最大級の淡水の生き物の水族展示「琵琶湖博物館」が見えてくる。その向かい側に<道の駅・草津>がある。チェックポイントは店内の奥にある事務所カウンターに、<06びわ湖一周>のスタンプが置かれている。
<琵琶湖博物館付近で声をかけられる>
琵琶湖博物館の近くで、初老のサイクリストが追い抜いたと思ったら戻ってこられ、話しかけられた。
当方が、オールドスタイルの長距離サイクリストに見られたのであろうか、親しみをこめて「日本一周ですか」と。
実際、外見は日本一周時よりも重武装であったかもしれない。
「いや、4泊5日の充実した老人のビワイチを楽しんでいるんですよ」という話から、
話は尽きず、約60年以上前に当時としては珍しいドイツからの輸入サイクリング車に乗って日本中を走り回った話や、後期高齢者になっても年相応のサイクリングを楽しんでいること、海外でのサイクリングの思い出話を交換し合った。
同好の士とはいいものである。お互いのサイクル体験を聞いているだけで楽しくなるのであるから不思議である。
<びわ湖一周―ビワイチのサイクルマーク>
ビワイチのサイクルルートの一部には、マークや標識でガイディングされている。
また、距離表示もあり、上手に使うことにより距離感を楽しむことができる。
しかし、標識の一部は車道の上にペインティングされており、安全面では問題が残る。いつの日か自転車専用道または専用ラインが出来る日が待たれる。
なお、びわ湖西岸には立派な<びわ湖レイクサイド自転車道>が部分的に歩行者・自転車専用道として設置されている。また、びわ湖東岸の湖岸道路には立派な歩行者道路が設置されており、ほとんどが自転車可のマークがついているのでうれしい。
びわ湖東岸の湖岸道路によく見られるサイクルルートサイン
車を運転する人にもサイクル走行のあることを注意喚起し、安全運転を促す効果がある。
サイクリストは、車線を走行していることを自覚し、ヘルメットを着用、点滅灯をつけ左端を走行するように心がけることが肝要である。
ただ、このサイクルルートサインは、びわ湖一周にあたって時計と反対(左)回りの路上にのみ設置されている。
JR志賀駅近くの松の浦浜公園の距離表示版
ビワイチ193kmとした、現在地の<表に左回りと裏に右回り>の距離を表示している。
距離表示はビワイチルート上に数か所設置されている。
びわ湖東岸の湖岸道路の歩道は自転車可
―ローソンびわ湖大橋東詰点: ビワイチ・サイクル・ステーション―
びわ湖北湖一周のサイクル起点でもある。
芭蕉が詠んだ句 「比良三上 差し渡したる 鷺の橋」の情景を肌で感じ取れると思う。
左に比良の山並みが、正面に豊かな水をたたえる琵琶の淡海(あわうみ)が広がり、
右に近江富士で親しまれる三上山が見られる。
時として両岸にまたがる虹がかかり、芭蕉の世界に浸ることができるのである。
食料購入としてここコンビニ・ローソンと、近くのショッピングモール・ピエーリ1階にある
フードマート<TOKUYA>がある。
またピエリには日帰り湯<守山湯元・水春 @850~>がオープンした。対岸の雄大な比良山系
を鑑賞しながら疲れをいやすことができる。
ローソンびわ湖大橋東詰点
ビワイチ・サイクル・ステーション
琵琶北湖サイクル起点
ショッピングセンター・ピエリのすぐ先に、2月に咲き乱れる菜の花畑が雪帽子をかぶった比良の峰々を背景に黄色い絨毯となってサイクリストの目を楽しませてくれる。
雪帽子をかぶった比良山系を背景に咲き誇る菜の花畑
がある。
びわ湖 サイクリストの聖地 <なぎさ公園>
<比良山系眺望―P吉川駐車場> 簡易WCあり
雪を冠る比良の峰々を一望できるカメラスポットでもある。
さらに湖岸道路を走ること2km、国道477号線との分岐にコンビニ・ローソンがある。
その向かい、湖岸側に紫式部の歌碑がある。
P吉川駐車場からの絶景・比良冠雪
紫式部の歌碑
< おいつ島 しまもる神や いさむらん 浪もさわがむ わらわべの浦 > 紫式部句碑
『 塩津山といふ道のいとしげきを、賤の男(を)のあやしきさまどもして、
「なほ、からき道なりや」 といふを聞きて
知りぬらむ 往来(ゆきき)に慣らす 塩津山 世に経る道は からきものぞと
湖に、老津島といふ洲崎に向ひて、
童べの浦といふ入海のをかしきを、口ずさびに
老津島 島守る神や いさむらむ 波もさわがぬ わらはべの浦 』
『びわ湖冬景色―近江の歴史をたどる老人自転車ひとり旅』⑦
につづく