2003 『星の巡礼・カミーノ・デ・サンチャゴ自転車巡礼800kmの旅日記』Ⅱ
《カミーノ・デ・サンチャゴ 自転車巡礼のすすめ》 Ⅱ
16:14着 <バイヨンヌBayonne駅>(乗継駅)17:30発 ⇒ 18:29着 <サン・ジャン・ピ・エ・ド・ポー駅>
TGV(フランス高速鉄道)の終点・バイヨンヌBayonneには遅延することなく、定刻16:14に着いた。
ここからローカル線に乗り換え、今回の「カミーノ・デ・サンチャゴ巡礼路」の出発点サン・ジャン・ピ・エ・ド・ポーに向かう。
バイヨンヌ駅で乗り換えたローカル列車の二両編成に乗って驚いたことに乗客が少ないことであった。巡礼者がこの列車に鈴なりに乗って、カミーノ・デ・サンチャゴ巡礼路の小村に向かうと思っていただけに、ペア3組とわたしの7名しか列車に乗っていなかったことにまず驚かされた。
そのうちの一人が自転車で巡礼路を走るようである。むこうも笑顔で親指をたててシグナルを送ってきたのには安堵させられた。わたしのなかに、独りではないという安心感がひろがった。
巡礼地へのローカル列車は、連結器を軋ませながらサン・ジャン・ピ・デ・ポー駅に向かっている。窓からは涼しいピレネー山脈の風が入り込んでくる。しかし暑い、大粒の汗が流れ落ちる。巡礼列車には冷房どころか扇風機もついていない。中世の巡礼地に誘ってくれているのどかな風景だけが車窓を流れていく。
◎ < ドミトリー・カミーノ21> 12€
サン・ジャン・ピ・エ・デ・ポーの中心から、川を渡り東へ15m、左側にある <ドミトリー・カミーノ21>
鉄製パイプや木製二段ベットが所狭しと並べられた部屋である。
カミーノ・デ・サンチャゴ巡礼中は原則として星空のもと露営することにしているが、出発前夜にあたっての
第1日目の宿泊は、自転車組立準備や長旅での疲れをとるため舎営とした。
3階建ての古宿である。カミーノへの出立にあたって多くの日本人が泊まって行くと主人がゲストブックを
見せてくれた。
出立式を兼ねて、ドミトリーに隣接する広場にあるレストランで無事を祈って祝杯をした。
その後、自転車組立てを行う。 前輪ブレーキの調整に手間取る。
△<オムレツとパンとワイン・14.50€・ユーロ>
巡礼の道・カミーノ デ サンチャゴ通過チェックポイント
<巡礼手帳に載っているカミーノ・デ・サンチャゴ巡礼路ルート地図>
巡礼路出発地 <サン・ジャン・ピエ・ド・ポー駅>
■2003/8/11Mon. 《 カミーノ・デ・サンチャゴ巡礼路 第1日目 》
①サン・ジャン・ピエ・ド・ポー/ Saint Jean Pied de Port ⇒ ④パンプローナー / Pamplone 距離74km
カミーノ・デ・サンチャゴ巡礼路の最初の朝である。
△朝食(2003/8/11) フランスパン・ママレード・コーヒー・ミルク (12€・ユーロ)
さんさんとそそぐ朝日に身を投げ出し、身体を解放する自分がここカミーノにあることを確認する。
近くで、大聖堂の澄み渡った鐘の音がこころを包んではなさない。
わたしを遠くへ、ふかく誘ってくれているようだ。
カミーノのひかりの波が、わたしのこころの波に重なり、染み込んでくる。
最初の巡礼村出発・通過スタンプ <サン・ジャン・ピエ・ド・ポー>
< ウルトレーヤ! ウルトレーヤ! >
早朝3時頃から、ここサン・ジャン・ピ・エ・ド・ポーの街角では出立する巡礼者たちの発声による掛け声が響く。
<ウルトレーヤ!Ultreya !>: 「勇気をもって前進せよ!」とか「神のご加護がありますように!」として使われているのであろう。 ラテン語で Go Beyondという意味か 「いざすすまん!」とも響いてくる。
夏休みを利用して巡礼路を歩く世界各地の若者たちの雄叫びがあちこちの街角でおこる。
<ウルトレーヤ!>
自分たちを鼓舞するような魂の叫びである。これより850kmの巡礼路を約39日間かけて歩くのだそうだ。
それなりの覚悟が、<ウルトレーヤ!>にこもっている。
わたしはサンチャゴ・デ・コンポステーラへの約800キロ自転車完走を祈念して、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーの中央にある礼拝堂<Saint ConQure >の早朝ミサにでて、単独自転車巡礼の出発式を済ませた。
多くの巡礼者が、ただしい導きがありますようにと膝をつき、手を組合せ、頭を垂れ祈りをささげている。
その真摯な、美しい姿に感動した。
礼拝堂<Saint ConQure >にて礼拝し、出立式をおこなう
出発にあたってサン・ジャン・ピエ大聖堂で、巡礼中の深き
霊的交わりがありますようにと祈りを捧げた。
<カミーノ・デ・サンチャゴ巡礼路オフィスで巡礼手帳の交付を受ける>
1.La Credencial<クレデンシャル・巡礼手帳>の交付を受ける
2.巡礼手帳に巡礼者氏名・巡礼者番号・巡礼開始日の記帳および証明をうける
3.担当者より、第1日目のコース案内、全行程地図、各宿泊地の宿泊先の紹介をうける
4.カミーノ・デ・サンチャゴのシンボルである<帆立貝>を贈られる
(巡礼者は巡礼中、シンボルである帆立貝を身に着けて歩くことになる)
5.巡礼結願証明は、自転車巡礼の場合、規定された条件をみたし、
通過する巡礼村で巡礼手帳に 証明スタンプをもらうこと
わたしを担当してくれたボランティアのジョナサンは1973年に訪日し、参禅したのが自分の一生を変えたと喜び
を語ってくれたのが印象的であった。ひとはそれぞれ機縁、地縁そして霊的交わりが与えられていることがわか
る。大切にしたい。
<巡礼手帳「グレデンシャル」の表紙> <巡礼者登録と巡礼開始日>
<巡礼村通過証明スタンプ①> <巡礼村通過証明スタンプ②>
巡礼者を示す、交付されたシンボルマーク<帆立貝>をバックパックにくくり付けて歩く。
<カミーノ・デ・サンチャゴ巡礼者シンボル・帆立貝>
その後、もう戻ってくることがないであろう「サン・ジャン・ピエ・ド・ポー」駅ホームで記念写真におさまる。
サン・ジャン・ピエ・ド・ポー駅をバックに記念写真におさまる
「サン・ジャン・ピエ・ド・ポー」村から、ピレネー山脈を越えること21km、ただただ暑さの中、
自転車を押してあがる。汗が滝のように流れ落ちる。水分補給、木陰への避難を繰り返す.。
これまたカミーノ・デ・サンチャゴ巡礼の修練・修養の一つなのであろう。
ピレネー山脈を流れる小川には子供たちが暑さをしのぐために水遊びをしている。
一緒になって水かけ交流するも、実に楽しい。Tシャツを搾らず、そのまま着用して自転車を押す。
体温を抑える賢明な方法であり、これ以降の常とした。
自由に飲むことが出来ることだ。
ピレネー山脈の峠越えは、暑さと体力消耗から来るこむら返りに音をあげることになった。
ピレネー山脈イパニエタ峠1057mを越える
この霊の道を歩くにあったって、その成就を願い、またつまずきの時に自分を鼓舞するために
<AMAZING GRACE・アメージンググレイス>をテーマソングにすることにした。
その歌に込められた神への憧れの素晴らしさ、その霊的向上の高揚と希求の真摯さを旅の友に
選んだのである。
<テーマソングとしてのAMAZING GRACE / アメージンググレイス>
<AMAZINGGRACE/アメージンググレイス>ほどカミーノ・デ・サンチャゴ巡礼路のテーマソングとして素晴らしい歌はないと思っている。
一字一句、魂をこめて歌うとき、神の声に導かれている自分が<いまここにいる>ことを自覚させられるのである。
< Amazing Grace ①>
Amazinggrace how sweet the sound
That saved a wretch like me.
I once was lost but now amfound,
Was blind but now I see.
アメージング・グレース何と美しい響きであろうか
私のような者までも救ってくださる
道を踏み外しさまよっていた私を神は救い上げてくださり
今まで見えなかった神の恵みを今は見出すことができる
カミーノの道中、自転車の上で、巡礼宿のパティオ(中庭)で、野宿マットの上で、峠越えをしながら歌った。
日本語訳より英語の歌詞の方がシンプルで、直截的で聖霊に満ちて好きである。
■2003/8/12Tue. 《 カミーノ・デ・サンチャゴ巡礼路 第2日目》
パンプローナ―6:00 スタート
カミーノの標識<SANTIAGOと ホタテ貝> 約1000年前のホタテ貝だと言われる石彫(下部)
写真(左)のように、標識の右側が自転車巡礼路であり、左が徒歩巡礼である。この辺りは両方とも砂利道である。
◎ <ホテル ジョルディ / HotelYoldi> 15€ San Ignacio 11, Pamplona
パンプローナ市中心・PlazaPrincipe de Viana (サークル)よりサン・イグチシオ通りに入ってすぐ右側にある。
△朝食 : パンケーキ・コーヒー 2.80€・ユーロ
巡礼塔の向かって右・自転車巡礼路、左・やや細い徒歩巡礼路(この辺りはどちらも砂利道)