shiganosato-gotoの日記

星の巡礼者としてここ地球星での出会いを紹介しています。

2003 『星の巡礼・カミーノ・デ・サンチャゴ自転車巡礼800kmの旅日記』Ⅲ

2003 『星の巡礼・カミーノ・デ・サンチャゴ自転車巡礼800kmの旅日記』Ⅲ

イメージ 1  《カミーノ・デ・サンチャゴ 自転車巡礼のすすめ》 Ⅲ
 
 


パンプローナ市は、スペイン北東部、フランスとの国境沿いピレネー山中にあり、ナバラ州の州都で政治・
経済・文化の栄えた土地である。


中世に栄えたナバラ王国の首都であったところで古い建物が残る街であり、カミーノ・デ・サンチャゴへの
フランス『銀の路』の入口としても栄えた由緒ある中世の街である。


近郊には日本に初めてキリスト教を伝えた聖フランシスコ・ザビエルの生まれたハビエル城がある。

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ハビエル城                            巡礼路シンボルマーク


パンプローナ―の美しく波打つ麦畑の彼方に、昨日越えてきたピレネーの山々が静かに横たわっている。
その美しい山越えのルートで暑さのため音をあげたものである。
自転車の前輪ブレーキの利き具合に一抹の不安が残っていたが、ピレネーでの酷使にも耐え、
かえって調子が良くなっていることに安堵した。


カミーノ・デ・サンチャゴを自転車で20回も走ったという爺さんに声をかけられ、激励を受けた。カミーノは
不思議な世界だ、そこにいるだけでみな兄弟であり、家族なのだ。神に見守られているというだけで、
またおなじ目的を持っているというだけで、みな愛に満ち満ちているのである。


フォンティン(水飲み場)で休んでいると、『神との出会い』といえようか、同じく自転車乗りの巡礼者である
サイクリストがわたしに尋ねてきた。


「あなたはなぜカミーノを走るのですか」、わたしは「自分への挑戦、神の愛に導かれたい」ことを願って
自転車巡礼をしていることを告げた。


God Bless You !」と祈りあって別れたが、またひとり、神の姿でわたしに語りかけてくれたのである。
り旅ではない、神との同行二人であることをしっかり認識させられた。


過ぎゆく花々、新たな花々が語りかけてくれている。


「よく来てくれましたね、出会えてよかった」
「わたしたち花の仲間が、カミーノの巡礼路を案内して差し上げますよ」と・・・


花々にも神を感じ、体じゅうに歓びが走った。


自転車巡礼には、単独、グループのほかに、カップルによる二人乗りダンデム、クロスバイク、マウンテン
バイクやロードレーサーと多種多様である。わたしはマウンテンバイク、その重量に難点があったが、
その強度は山岳地帯において十分に能力を発揮してくれた。


パンプローナ―の平原は、麦畑あり、向日葵畑ありとスペインを代表する風景を楽しませてくれる。
なんども言うが、8月のスペインの夏は耐えられないほど暑い。裸で走っては、直射日光を避けて何度も
木陰に身をよせた。


いや、あまりの暑さに昼に寝て、夜に自転車を走らせた。夜に走って、溝に突っ込んだことも何度もあった。
しかし夜は気持ちがよく、涼しい夜風と戯れながらの夜間巡礼も幾日か続けることになるであろう。


夏の暑さに立ち向かう、これまた巡礼者に与えられた受難でもある。


△<中間食 :ハムサンド & コーク : 1.16€・ユーロ>


 
プエンテ・ラ・レイナ/  Puente la Reina  /  レイナ橋>


レイナ橋は、 サンチャゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼路の途上、パンプローナエステージャの
間にある。
ピレネー山脈ソンポール峠を越え、ハカサングエサを経由する巡礼ルートとロンセスバイエス峠を
越え、パンプローナを経由する巡礼ルートが、ここプエンテ・ラ・レイナで合流する。合流後は西進して
エステージャへと向かう。


プエンテ・ラ・レイナ(王妃の橋)という名は、アルガ川に架かるロマネスク様式の橋に由来するものであり、
11世紀に命名された。カミーノ・デ・サンチャゴの巡礼路を歩む多くの巡礼者がこの石橋を渡って、
西のサンチャゴ・デ・コンポステーラへ向かうのである。


わたしも巡礼者のひとりとして<レイナ橋>を渡っているのだという感動にひたった。たくさんの巡礼者が
おもいおもいにレイナ橋に抱かれるように、記念写真に収まっている。


ブエンテ・ラ・レイナ(レイナ橋)近くにある聖フランシスコ大聖堂の前に立つザビエル師の銅像に挨拶をして
エステージャへ向かった。

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自転車巡礼もレイナ橋のアーチをくぐる                                   歴史に架かる石造りのレイナ橋

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 有名なレイナ橋、9世紀以来何千万という巡礼者がこの橋を渡った

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祈りを背負って人生の十字路であるレイナ橋を渡る

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レイナ橋  今までの自分を捨てられるか、問う橋でもある

 
<カミーノ巡礼道中、多くの神の子に出会った>


まず、ユーロパスを利用して<バンプローナからログローニョ>を歩いているドイツ青年に出会う。
かれは大学院生で、毎夏カミーノ巡礼路の区間を決めて歩いているという。


カミーノ巡礼はそれぞれの方法で歩き通せるのがいい。馬に乗り、孫に手を引かれ、夫婦やカップルで、
修学旅行やグループで歩いている。


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巡礼路では多くの巡礼グループと出会う           道中一区間を共にしたアイーナ


 ポーランドからのアイーナとの道中二人三脚もまた巡礼での出会いである。大学生である彼女は、
亡き父親の意志を継いで一人巡礼旅を続けているという。巡礼者にはそれぞれのカミーノ巡礼を神に
導かれて歩く動機があるのだ。

わたしの<星の巡礼>は、星の巡礼者として地球であるこの星を巡礼しながら、出あった風景を詩や句、
スケッチや写真をとおして記録しておきたいという思いからである。


カミーノ・デ・サンチャゴもまた<魂の旅路>として、神の恵みを識る<星の巡礼>なのだ。


AmazingGrace


Twas grace that taught my heart to fear,    神の恵みこそが 私の恐れる心を諭し
And grace my fears relieved,                
その恐れから心を解き放ち給う
How precious did that grace appear,       
信じる事を始めたその時の
The hour I first believed.                    
神の恵みのなんと尊いことか



エステージャ /Estella


連日の暑さに、村営のプールに飛び込んで体を冷やして、午睡(シエスター)をとることにした。
エステージャは、巡礼路上のロマネスク都市、いや、こじんまりした「星降る街」である。


暑さ対策としては夜間に走ることに限るが、事故など危険も多くひそんでいる。
そこで昼、自転車を走らせるときは暑さを抑えるため、フォンティーン(水飲み場)や小川、池などで
Tシャツや帽子を濡らし、絞らずにそのまま着用して走った。

ロマネスクの街・エステージャイメージ 11

ロマネスクの街・エステージャ 

 

 シエスター(午睡)の街は眠りに入ったのだろうか、ロマネスクの街・エステージャは静けさの中にあった
このままだと2日目の目的地ログニーニョに着きそうにない。暑さにより体力消耗が激しい。
夜間走行に切り替え50kmを残して、はやめの露営に入った。


◎サン・ミゲル聖堂前で野宿に入る


街では聖墳墓教会にも足を運んでみた。中世の村はシェスター(午睡)にまどろんでいた。

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 サン・ミゲル大聖堂贖罪の門                             シェスターにまどろむ聖墳墓教会

 
 
2003/8/13Wed. 《 カミーノ・デ・サンチャゴ巡礼路 第3日目》


エステージャ /Estella  ⇒  ログローニョ / Logrono    自転車走行距離 44.3km/178.0km


サン・ミゲル大聖堂前で露営(野宿)し、十分な睡眠をとっての真夜中1:45スタートとなった。
スペインでの初露営、心配していた蚊の襲撃もなく安眠できたことはなによりうれしかった。
まだ闇の中である。二日間の暑さ体験から昼間に休み、夜に走ることにしたためである。


深夜の出立、闇にうごめく姿なき精霊たちが励ましのエールを送ってくる。魂の一条のひかりがこころの
なかに広がり、体じゅうを駆け巡りだした。さあおのれに目覚め、この清きカミーノ(巡礼路)におのれを
沈める。出立の時間だ。
今日も一日、聖ヤコブ(サンチャゴ)の導きがありますように・・・おのれの魂の旅路が拓かれますように・・・
静かな朝だ。遠くで犬の遠吠えが闇を切り裂く。目を覚ますすべてのものに幸あれと祈る。


サン・ミゲル大聖堂前には、フォンティン(水飲み場)がある。多くの巡礼者がのどを潤したであろう聖なる
水をいただき、天なる父に祈りを捧げてコンポステーラにむかって暗闇の中、カミーノ(巡礼路)を走り出した。

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3日目、ログローニョへの途上、砂利道を帆立貝のシンボルマークと黄色い矢印に導かれる
 
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巡礼村 デ・パルカルセ / DE VALCARCEの巡礼自転車道を走る (石柱の自転車道)


満月の光りのなか、満天の星たちに導かれ、朝日に祝福されログローニョ / Logronoに到着した。
ログローニョ駅で『巡礼手帳』に通過スタンプをもらう。巡礼路通過スタンプは、アルベルゲ(巡礼宿)
をふくむ宿泊施設・役場や駅など公共施設・ガソリンスタンドやレストランなど多くの場所で押印して
もらうことが出来る仕組みになっている。
今日はゆっくりと休息をとりたい。連日の暑さに体も悲鳴をあげかけている。
 
△朝食 : ドーナツ・コーヒー・オレンジジュース
さっそく、木陰で午睡(シエスター)をとったあと、ホテルにチェックインする。


AmazingGrace
 
Throughmany dangers, toils and snares    これまで数多くの危機や苦しみ、
I have already come.                   
誘惑があったが
'Tis grace hath brought me safe thus far,  
私を救い導きたもうたのは
And grace will lead me home.            
他でもない神の恵みであった



◎アルベルゲ・アルバス(巡礼宿  Albergue Albas  19€+夕食代36€
 

イメージ 16
 アルベルゲ・アルバス(巡礼宿)入口





                    《カミーノ・デ・サンチャゴ 自転車巡礼のすすめ》 Ⅳへ続く