<潜伏キリシタンの里探訪 自転車の旅630km 出発にあたって>
2016年7月、前回の日本一周自転車の旅において、九州、熊本県三隅(みすみ)で旅を終えている。
愛読書である遠藤周作著の『沈黙』の地に眠り、風と遊び、瞑想にふけり、主なるかたの面影に触れたいと、自転車に乗り、おのれの力だけで駆け巡ることにしたのである。
後期高齢者という肉体的限界もあったが、一日平均30kmという歩きと変わらないのんびり旅が20日間という時間を解決してくれたこと、元気に旅を終えることができたことに、主なる神に感謝したい。
巡礼途次、出会った多くの方々の励ましや、潜伏キリシタンを祖先や先代にもつ方々の尽きないお話に耳を傾けるという大切な時間を共有できたことにも、おひとりお一人に対して御礼を申し述べたい。
雨のなか濡れた体を温めるため銭湯を探しているとき、自らしてご案内いただいた佐世保市にあるエムアイ興産の池田正喜さん。
そして、西海橋公園からの夕陽を観賞しながらご自身の人生物語をお話いただいた地元の山下絹代さん。
そのほか、多くの方々からキリシタンとの関わりのお話や人生物語、キリシタン共同墓地などへの案内などをしていただいた。この旅でお世話になった、そして出会ったすべての方々に感謝とお礼のこころをお伝えしたい。
潜伏キリシタンというイメージから、抑圧され、差別された暗いイメージが占めていたが、現地に立ってみてその考えは一変した。
信仰に生きた潜伏キリシタンのこころの平和にいささかでも触れることができ、何とも言い表せないおのれのこころの弱さに気付かされた。
いまから300年ほど前に、大自然のなかで繰り広げられた人間の信仰に対する国家権力による弾圧という悲劇は、時の流れや、人間の和解という英知により解決するという断面も見せてくれた。
外海(そとめ)からの天地創造の情景に神の偉大さに触れた。
「潜伏キリシタンの里」のすみずみを訪ね、潜伏キリシタン信徒のみなさんの苦しみや希望に触れてみたいという気持ちでの行程であったはずだったが、約20日間という時間的制限や、年齢的体力からくる限界などを考慮して、抑えた行程となった。
この自転車旅行の主なるルールとして・・・次のことに心がけた。
1. 大自然そして大宇宙との交流、瞑想はじめ霊的交流の環境として野外で露営、テント生活を主とすること
2. 疲労回復、洗濯や補給等のため1週間に一日は民宿やホテルでの舎営とすること
3. 地元での出会いの人々との交流を大切にすること
4. 自転車旅行中は、潜伏キリシタンの迫害の苦しみや環境、思考に身をおくこと<質素・祈り・共感>
今しばらく、行程図と行程表で、「潜伏キリシタンの里探訪 自転車の旅630km」の全体像を見ていただきたい。
Map bySanehisa Goto